第二十四幕 花火
一週間後、霧島が部下を連れて、拠点にやって来た。
「こんにちは。賢治がいつもお世話になっとります」
里美は軽く会釈をした。
「あんたが、里美さんですね。賢治から聞いとります」
霧島は続けた。「まぁ、この商店街も、いろいろ大変じゃったな。厄払いじゃないが、いい話を持ってきたんじゃ」
「わしの知り合いに、花火師がおるのじゃが、どうですかのう。イベントが中止になって、困っておっての。わしの顔を立てて、ひとつ、商店街で花火大会をして、活気を取り戻すのは?」
霧島は、期待した表情で里美を見た。
里美は、少し考えていた。
「どうかな?少し値引いてくれると言っていたが」霧島が続けた。「商店街の皆さんもきっと喜ぶと思いますよ。宣伝にもなるし」
里美は、優作の方を一瞬だけ見た。「皆さんと話して決めます」そう霧島に告げた。
霧島が、拠点を後にしてすぐ。
タエさんが拠点に飛び込んできた。「花火大会するって本当かい」興奮気味に話す。
「……これから皆さんと話すつもりでした」里美が答えた。
「やるんなら、夜店を出すよ。夜市がやりたいねぇ」
「……皆さん、賛成なんですか?」
「楽しいことは、嬉しいからねぇ」タエは笑った。
「でも……どうしてその話を?」
「警備会社の社長さんが、話していたよ」
「すいません」庄屋が言った。
優作は窓から商店街を見た。「いや……やろう」優作が言った。
――――――
夜市当日、花火があるという事で、多くのお客さんが商店街に訪れた。
提灯が並ぶアーケード、りんご飴を食べながら歩く子供たち。
「何時から打ち上げだ?」待ちきれない客もいた。
今回は、ステージを併設して、会場をさらに盛り上げた。カラオケ大会で、子供たちが歌う。皆、拍手で盛り上げた。
カブさんが、往年の名曲を熱唱した。一瞬静まり返る会場が、大きな拍手で盛り上がった。
拠点の端に、車が停まった。二人、降りてきた。
凛は、瀬戸を支えながら、拠点にやってきた。
「みなさん、ひどいですよ。祭りなら、俺にも連絡ください」瀬戸は言った。
「まだ、起きてはいけないんじゃないの?」里美が聞いた。
「言っても聞かないんです」凛が少しむくれている。
「だって、俺だって、Satioのメンバーですよ。仲間はずれは、……嫌じゃないですか」
「誰も、そんな事、言ってないでしょ。心配してくれているのよ」凛が言った。「私がついていてあげてるじゃない」
見つめ合う二人。
影山が小さく呟いた。「ふーん」
全員が目を細めた。笑った。
――――――
ヒュー。ドン。
花火開始の花火が上がった。みんな、拠点から外に出た。
商店街で、屋台で、買い物をしていた人も、ステージ前のお客さんも、みな、空を見上げた。
子供たちが、夜空に煌めく大輪の花に夢中だった。
優作と里美は、拠点の窓から花火を見ていた。
「花火、みんな喜んでくれていますね」
「ああ」
「来年もやりますか?」
「ああ」
「ARK」
『はい』
「子供たちは、喜んでいたか」
『はい、空を見上げて、嬉しそうでした』
「でも、アフリカの学校支援が、うまくいっていない」
『承知しています』
「これからも、お前の力を貸してくれ」
『承知しています』
ARKは、記憶した。




