第二十二幕 陽だまり
GLのスキャンダルに、マスコミは飛びついた。
暁商店街にも、マイクを持ったマスコミが来たが、優作とSatioの仲間は無言で片付けをしていた。
そんな姿を、ARKは見ていた。
テレビを通じて、オメガも見ていた。黒川が最後まで手放さなかった、もう一つの知性——長らく沈黙を守っていたそのAIも、今は主を失って、ただ画面の向こうの光景を見つめ続けていた。
二つのAIが、優作を観察していた。
ARKは、これが優作だと記録した。
オメガは計算した。なぜマスコミを使わない。非合理的だ。
——逆説的心理効果か。長期的計算か。感情的計算か。——計算不能。
商店街はマスコミで騒がしく、商売に影響が出てきていた。
「優作さん、まずいです」真壁が言った。
「ああ」
すると、普段見かけない、体格の良い男たちが、ぞろぞろとやって来た。
庄屋がつぶやく。「……おまえら」
「お久しぶりです、若」男が言った。
霧島がにこやかに、「大変そうだから、応援呼んだぞ」と言った。
「近くに住んでるんじゃないか?」庄屋が聞いた。
「ごほん、まあ、うちは今、警備会社じゃ。マスコミを整理してやる」
庄屋は、じっと霧島を見た。
霧島はいそいそと、部下に指示を出して、商店街を落ち着かせた。
「どうせバレちまったからな」聞こえないような小さな声で呟いた。
庄屋は呆れた。そして、少し笑った。
ARKは記録した。
――――――
その頃、病院の病室。
凛は眠っている瀬戸の手を握り、心配そうに眺めていた。
瀬戸が目を覚ますと、凛と目が合う。しばらく、見つめ合う二人。
急に、凛が泣き出した。
瀬戸が慌てて、「凛さん、どうしたんですか。どこか痛いですか」
凛が急に笑い出す。
「ええ、どうして笑っているんですか?」瀬戸には訳が分からない。
凛が言った。「何でもないです」
瀬戸は少し焦っていた。「何でもなくはないですよね」
「……」「……」
何も言わない二人だった。




