幕間 源さんの本心
次の日の午後、凛は青文堂に一人で訪ねてきた。
最近、優作さんのところに来た若い女性だ。
話がうまく、妙に引き込まれる。
邪魔してもいいですかというから、どうぞと言ってから、また続きを読んでいた。
彼女は何も言わず、ただ座っていた。
私は本が読みたかったので、自分の世界に没頭していたが、やがて彼女が話しかけてきた。
青文堂を続けたいか、と。
私は四十年、この場所で本を読んできた。続けたいに決まっている。
しかし——後継者がいない。
続ける方法があると凛さんは言った。
続ける場合と続けない場合、両方を聞いてみた。
誠実な答えが返ってきた。
あなたは優作さんに似てきたと言うと、少しびっくりしていたので、
悪い意味ではないと慌てて付け足した。
本を置いて、彼女の目を見て、本音を話した。
続けたい。
でも後継者がいない。だからいつか終わる、と。
すると凛さんはファイルを取り出して、私に渡してきた。
丁寧に読んで、私は驚いた。法人化して続けることができる。
しかも店はそのままで、費用まで負担してくれるという。
普通なら信じられない話だ。だが——彼女たちには実績がある。
私が青文堂をつづけたのは、この場所が好きだったから。
単純な理由だ。私はこの場所で本を読んでいるだけで幸せだ。
グループならば、私が死んでも青文堂は続いていく。
ならば、私の答えは決まっていた。




