第十六章 第十六幕 現実
ダニエルはまず国際NPOに参加した。
そして、研修、渡航手続を経て、アフリカに到着した。
空港で現地スタッフと合流した。
現地スタッフの男性が手を差し出した。
「ようこそ、ダニエルさん」
ダニエルは笑みを見せ握手した。
車に乗って地方の教育施設に移動することになった。
「ふう、暑いな」
朝早く到着したが、気づけば昼を過ぎていた。
着いた時は寒いくらいだったが、今は気温が40℃を超えていた。
ダニエルの服は汗で濡れていた。
舗装されていない悪路を揺れながら走っていたが、突然車が止まった。
「なんだ? どうした」
ダニエルは顔を出して前を覗いた。
ダニエルは思わず目を見張った。
まだ十代前半の子供たちが自動小銃を下げ、道を塞いでいた。
「……銃」
ダニエルはゆっくりと頭を引っ込め、小さく呟いた。
スタッフの男性が、ここは私設の関所みたいになっていると小さく伝えてくれた。
車の中から複数の少年兵を観察していると、その背後でニヤついている一人の大人が目に入った。
「あの男が、この子たちを……」
ダニエルの胸の内はざわついた。だが今はまだ状況がわからず、動くわけにはいかないと判断した。
現地スタッフは物資といくらかの金銭を渡すと、関所を通ることができた。
ダニエルは自動小銃を持って立っている少年を見えなくなるまで見つめていた。
少年たちが見えなくなっても、ダニエルはしばらく考え込んでいた。
「……いつも、あそこで物資と金銭を支払っているのですか?」
スタッフは少し困ったような顔になった。
「安全に通るためには仕方がないんです」
ダニエルは察してそれ以上は聞かなかった。
二時間ほど走ると、思っていたよりも小さな学校が見えてきた。
学校に着くと、大人と子供が車に近づいてきた。
すると、大人たちが一斉に車に群がり、積んでいた物資を次々と持っていった。
誰も許可を求めようとはしなかった。
物資の中には、子供たちの教科書もあった。しかし、それさえ持っていかれた。
(要するに、タダでもらえると彼らは思っているのか……)
(だからいつまで経っても状況が良くならないのか)
ダニエルは頭が痛くなってきた。




