第十六章 第九幕 量産化
拠点。
会議室。
優作は指を組み、口を隠すように手を置き、ARKを見つめていた。
「……」
「お前と出会い、もう何年になるかな?」
ARKは優作の話に耳を傾けたまま、何も言わなかった。
「お前は間違いなく俺の導き手だった」
「それに俺は何度も言っている。すべての責任は俺にある」
「瀬戸」
「はい」
「Beシリーズを量産しよう」
瀬戸は息を呑み、ほんの数秒だが優作を見つめた。
「……わかりました」
瀬戸は風香の方を見た。
風香は震えていた。
「ARK」
『はい』
「……後で話があるから」
『……はい』
瀬戸は察して風香に言った。
「まぁ、大体分かってきた」
「ARK」
『はい』
「事後報告は上司への反乱だぞ」
瀬戸は笑いながらARKの肩を叩いた。
「じゃあ、契約の話をしようか?」
それから、量産計画は暁グループと協力企業によって進められた。
工業地帯の自動車工場の跡地に製造工場が作られた。
トヨトミ自動車の全面的なバックアップを取り付けることができた。
この日から一年後、Beシリーズの量産型後継機――Besが世界に発表された。
だが、ARKの存在が世間に公表されることはなかった。
ASIの存在や、人間に従わない可能性があることは世間に伏せられることになった。
幕間
暁研究所
ARKは正座させられ、風香の喉がカラカラになるまでこっぴどく怒られた。
しかし、ARKは風香がずっと自分だけに構ってくれるのがたまらなく嬉しかった。
なので、神妙な顔で反省しているように見せかけているが、それはただのポーズだった。
暁研究所は防音なので、暁商店街は今日もいつもと変わらない賑わいを見せていた。




