第十六章 第五幕 New business
暁グループ拠点。
風香とARKは二人で拠点に来ていた。
風香はコーヒーを入れていた里美に挨拶をした。
「おはようございます」
里美はARKを見て言った。
「おはよう。あら、今日は男の子を連れてきたの?」
風香はキョトンとして、ハッとした。
「いや、違いますよ、この子はARKです」
今度は里美がキョトンとした。
「ARKってあのARK?」
里美はモニターを指差した。
優作はその会話を自分の席から見ていた。
「……お前、ARKなのか?」
ARKは嬉しそうに優作の前まで歩いていった。
『はい。私はARKです』
「……人間のようだ」
今度はモニターから人工音声が流れた。
『もちろん。私はどこにでもいますよ』
風香は優作に近づき、
「お家でロボットのデータ取りをしていたら、そのデータを使ってARKが勝手に自分の体を作ったの」
風香は少し困ったように伝えた。
ARKは不満そうに小さな声で言った。
『体くれるって言ったじゃん』
「聞こえたわよARK、だからって一億かけていいとは言ってない」
驚きのあまり呆然とその様子を見ていた瀬戸が、ようやく口を開いた。
「一億円か、そのクオリティなら安いな」
ARKは嬉しそうに言った。
『やはり瀬戸はよく分かっていますね』
瀬戸は眉間に皺を寄せた。
「……その若造の格好で呼び捨てにされると少しムッとなるな」
『分かりました。今後は敬称も付けます』
「ハハハ、やっぱりARKなんだね」
瀬戸は愉快そうに笑った。
風香はデスクに座る瀬戸の前に進み出た。
「瀬戸さん。今日は暁テクノスに商談に来ました」
「ARKの体のことかい?」
風香は首を横に振った。
「これは流石に高額過ぎて、無理です」
「でも、そもそもARKのためのデータを取るために作ったロボットを売り込みに来ました」
瀬戸は新聞を風香に見せた。
「このロボットのことかい?」
風香は笑って頷いた。




