第十五章 第七幕 あーそーぼー
鳳邸。
「テーンーちゃん。あーそーぼー」
慎吾が友達数人と鳳邸のBeシリーズに会いに来た。
鳳邸に入ると、広い庭と豪邸に子供たちは面食らった。
「すげー、でっけー」
風香は子供たちをBeシリーズのところに連れて行った。
『慎吾、来た』
テンちゃんは嬉しそうだった。
『何して遊ぶ?』
「なんでも!」
『じゃあサッカーしよう』
イチ、Be2、Be6、Be8、そしてBe9が参加した。
風香は、もう大丈夫だと思い、その場を離れた。
しかし……。
鳳邸の庭でサッカーをしていたら、執事にこっぴどく怒られた。
「ここでサッカーをするなど、とんでもないことでございます」
執事は広い中庭に子供たちを連れて行くと、ここなら遊んでもいいと言った。
「遊びに夢中になって、窓ガラスは割らないでくださいね」
執事はそう一言だけ告げると持ち場に帰って行った。
子供たちは思い切り体を使って遊んだあと、少し休憩していた。
メイドがジュースを持ってきてくれた。
慎吾と一緒に来た春樹はそれを見て興奮した。
「すっげー、毎日来たい」
メイドは少し苦笑いをした。
春樹は、遊びに参加していないBe5に目をやった。
「ゴウはどうして俺たちと遊ばない?」
『……野球してみたい』
春樹はゴウの様子を見た。
「じゃあするか」
イチが春樹に尋ねた。
『質問があるんだけど』
「何?」
『どうして僕とゴウには「ちゃん」が付かないの?』
春樹は怪訝そうに答えた。
「知らないよ、イチちゃんは言いにくいからじゃないの?」
「ゴウは勢いかな?」
イチは納得したような、しないような複雑な気持ちになった。
春樹は人差し指を立てた。
「野球する人、この指止まれ」
ゴウは動かなかった。
春樹は首を傾げた。
「なんで?」
『僕は人じゃない』
春樹は少し呆れた。
「もうね、面倒くさいよ、そのへんは適当でいいよ、友達だろ?」
『……友達。うん。友達だね』
ゴウとBe3、Be4、Be7は優しく春樹の指に自分の指を重ねた。
初めは、春樹が投げたボールを誰も取れなかった。
しかし、学習を重ねるうちに、ゴウたちは全員取れるようになった。
だが、春樹の投げたボールをBe3が打ち、そのボールが窓ガラスを割ったことで、
その日の遊びはお開きになった。




