第十五章 第五幕 意思
翌日。鳳邸。雨。
Be10は風香にお願いをしてみた。
『公園に行きたい』
風香は眉をひそめた。
「え? 今日は雨だから、駄目だよ」
『……でも』
「また晴れたら行きましょう」
そう言うと、風香はガレージの方へ歩いて行った。
『……』
夕方、Beシリーズの充電をするために、全員を集めたが一体足りなかった。
(Be10がいない)
風香は血の気が引いていった。
ウイーン、ウイーン……。
Be10は傘を差し、雨の中を歩いていた。
精密機器であるBe10は多少の防水機能はあるが、完璧ではない。
小さな体で、傘を差して歩くその様はまるで未来のようだった。
それでも、Be10は公園を目指した。
『……』
誰もいなかった。
振り返ると慎吾が立っていた。
「どうしてここにいるんだよ」
『約束だから……』
慎吾は震えた。
涙がこぼれた。
「……何で来るんだよ」
Be10は答えた。
『会いたかったから』
二人は公園のドカンの中で雨宿りをした。
鳳邸。
「駄目だ、どこにもいない。GPSを付けなかったのが痛い」
風香はGPSを学習の妨げになると思って付けなかった。
イチが風香に言った。
『公園だと思う』
「雨が降っているのよ、それに私は駄目だって言った。ありえない」
『僕たちはARKがベースだよ』
風香はそれを聞いて冷静になった。
「そうだった」
風香はバスで公園に急いだ。
ドカンの中を覗くと、眠っている慎吾の隣にBe10が座っていた。
Be10のカメラと風香の目が合った。
『……』
「……」
風香は執事に慎吾を抱きかかえるように指示を出し、Be10と慎吾をバスに乗せた。




