第十五章 第二幕 あだ名
河原。
風香は子供たちと遊ぶBeシリーズを見て、ここでも個体差が出ているのを確認した。
座っておしゃべりを続けるBe3。
積極的に走り回るBe2、Be1。
鳳邸では、あんなに積極的に動いていたBe10は、ここでは一歩引いて観察に回っていた。
Beシリーズは、まだまだ子供たちの動きについていけなかった。
風香が安全面を考え、モーター出力を大幅に抑えていたからだった。
それでもバッテリーから警告音が出るまでBeシリーズは子供たちと遊んだ。
「ありがとうね。でも、バッテリーが切れそうだから、もう帰らないといけないの」
風香は子供たちにそう話すと、Beシリーズにバスに乗るように告げた。
「また会える?」
子供たちは不安そうに風香を見た。
「ええ、また来るわ」
風香がそう答えると、子供たちは両手を握りしめて喜んだ。
Beシリーズがバスに乗り込むと、子供たちも名残惜しそうについてきた。
「ニーちゃん。またね」
「Qちゃん。さようなら」
風香はもうあだ名が付いていることに、少し驚き、そして微笑んだ。
バスの中で、Be1だけ複雑な表情だった。
「何かあったの?」
『僕もあだ名をもらいました。なんで僕とBe5だけ「ちゃん」がないのかな?』
「どんなあだ名?」
『イチとゴウ』
そんなことが不満なんだと思うと、風香は吹き出してしまった。
するとBe6の首が回った。
ウィーン――
『僕も「ちゃん」はないよ、僕はロックンだから……』
風香の目元が緩んだ。
なんだかあったかい気持ちになった。




