第十五章 第一幕 キャラクター
暁研究所。
風香はBe2からBe10まで、すべてのBeシリーズを起動させた。
大体が作業台から滑り落ち、それでも必死に立ち上がろうとしていた。
Be2がBe1と風香を見てなにか言いたそうにしていた。
その様子を見たBe1は、ふらふらしながら風香に近づき尋ねた。
『どうして僕のデータを使わないの』
風香は軽く頷き、
「それは、一つの動作にたくさんのデータが必要だからよ」
「あなたの立ち方だけが正解じゃないのよ」
そう答えた。
「みんな、頑張って」
風香は決して手を貸さず、観察に徹した。
周囲のBeシリーズを見渡しながら、観察しているBe7。
必死に立とうとしているBe2。
協力して立とうとしているBe8、Be9。
そして立ち上がるのを手伝ってもらうつもりのBe10。
「……興味深い」
風香は腕を組んで考えていた。
「暁研究所は、ちょっと手狭だな」
「ARK」
『はい』
Beシリーズも一斉に返事をした。
「違うの、あなたたちは今Beシリーズだから」
風香は苦笑いをした。
「Beシリーズを鳳邸に連れて行って欲しいの」
風香はARKに車で迎えに来るように伝えた。
ARKが自動運転の小型バスで迎えに来た時には、Beシリーズはどうにか歩けるようになっていた。
鳳邸。
風香は大きな部屋でBeシリーズに、保育園のように保育士代わりのメイドと、遊び道具を与えた。
すると、Be4は積み木でタワーを作り、それを壊してまた作っていた。
Be9は三輪車に乗ってペダルがどこにあるのか分からず首を傾げていた。
ここでも、それぞれの行動は違っていた。
しかし、さすがに絵本はもうすべて覚えているらしく、用意していた本を読む個体はなかった。
興味深かったのは、立ち上がる時は誰かに助けを求めていたBe10が一番積極的に走ったり、積み木をしていたことだった。
(実際に保育園に入れてみるとどうなる?)
早速、鳳邸の近くの保育園に電話をしてみたが、どこも受け入れてくれなかった。
一件目。
「うちは保育園です。言っている意味が分かりません」
二件目。
「十体ですか?無理ですね」
三件目。
「前例がありません。安全を保証できません」
……四件目。
五件目。
六件目。
すべて断られた。
風香は十体のロボットを連れて河原に遊びに来てみた。
すると子供たちが興味を持って近づいてきた。
気づくと子供たちはBeシリーズと遊んでくれていた。
「……」
風香は少し離れたところから、その様子を観察していた。




