第十四章 第七幕 怪人軍団
ロードキングパーティー会場。
風香の研究所の落成記念だったはずのパーティーは、
風香の演出によって静まり返っていた。
優作はマイクを渡され戸惑っていたが、総統と呼ばれたことで、
彼女が何を求めているのかは分かった。
しかし、それを今、ここで、語るのか? という思いもあった。
だがもう逃げられない。ARKに心配されて自分の原点を思い出した。
優作は静かに語り出した。
「私が今ここにいるのは、皆さんのおかげです」
「私は一度、社会からドロップアウトしました」
「私には社会で生きる価値がないかもしれないと思っていました」
村上はそれを聞いて反発した。
「そんなことはない。私は片桐さんがいなければ、今頃どうなっていたか」
菅原も続けた。
「そうです。私たちもあなたに救われました」
優作はそれを聞いて、頭を下げた。
「ありがとう。ですが、私は皆さんが思っているような人間ではありませんでした」
「私は三年間自分のためだけに社会から逃げていました」
「だが、私が社会に戻ってきた理由は、社会が間違っていると思ったからです」
「世界には一切れのパンのために命を懸ける子供たちがいます」
「私はそれが間違っていると思いました。ただし、それは私がそう思っただけです」
「私は私の思いを実現させるために、四畳半の部屋で私とAIだけで秘密結社ARKを立ち上げました」
「全ては私の責任です。私のこの思いのせいで損をする人もいるでしょう」
「だから、これは、私の思いを遂げるための世界征服なんです」
「だがもし、私の思いに賛同してくれるなら、皆さん」
「私の秘密結社ARKに参加してください」
ついに、優作は自分の思いを数百人の仲間に伝えた。
それだけ言うと、優作は会場を見渡した。最初に動いたのは庄屋だった。
優作の方を向き、膝をついた。風香はニコリと笑うと、自分も膝をついた。
影山、凛、瀬戸、真壁も続いた。
村上は泣いていた。
「片桐くん、いや総統、俺も参加するぞ」
そう言うと膝をついた。ほかの者たちも次々と膝をつき、結局、全員が膝をついた。
優作は少し戸惑った。自分の気持ちを話しただけだった。
だが、誰も強制されて膝をついたわけではなかった。
会場はまだ静まり返っていた。その静けさを破ったのは、またしても風香だった。
「ク、ク、ク……ハーハッハッハ!」
「構成員の諸君、よくぞ決心した」
風香はマスクのスイッチをオンにして立ち上がった。
「仲間としての絆の証に、この怪人マスクを昨夜まで夜鍋して作ってきました」
よく見ると風香の目の下にはクマがうっすらとできていた。
「諸君には私からのプレゼントを受け取って欲しい」
「マスクを被って記念撮影をしよう」
全員が用意されたマスク装置を受け取って記念撮影のため外に出た。
風香はまるで思い出したかのように告げた。
「……アプリで自由にマスクのデザインも変えられます。後で配布しますね」
「そうだ、このマスク、絶対に売ったり誰かにあげたりしないでね。それは裏切りよ」
風香はそう言うと、一つだけマスク装置を誰もいないところに投げた。
「それには近寄らないで」
『目標捕捉、衛星兵器稼働3、2、1 レーザー発射』
風香の投げたマスクは一瞬で黒焦げになった。
「ね」
風香は微笑んだ。
「じゃあ、写真を撮りましょう。ARK」
『はい』
「写真撮って」
『了解しました』
全員が怪人マスクを被って撮影したため、誰が誰か分からなかった。
結局、二枚目はマスクを外して撮影した。
風香は満面の笑顔だった。赤井は怪人らしいポーズまで決めていた。
二人以外は、全員顔を引きつらせていた。




