第十三章 第五幕 粉飾決算
次の日。暁グループ拠点。会議室。
風香は、昨晩ARKとダニエルが見つけてきたGLの粉飾決算の証拠を、
議題にした。
ホワイトボードに昨日調べた数字を書いていく。
GL
売上 五兆円
利益 一兆二千億円
その中で、GL本社→子会社への販売
売上 一兆円
原価 二千億円
利益 八千億円
風香は、マーカーで書いた後、静かに口を開いた。
「でも、一兆円、子会社はまだ外に売ってないの」
「商品の原価は二千億円。だから、
本社では八千億円の利益が出たことになっている」
風香は「八千億円」の数字を丸で囲んだ。
「でも、グループの外にはまだ売れていない。
だから連結では、少なくともこの八千億円は消さなきゃいけないの」
「それを消さずに残している」
「だから、一兆二千億円から八千億円を引くと――」
風香は、その下に大きく書いた。
実質利益 四千億円
「少なくとも利益はこの程度まで落ちるはずです」
「内部取引とか、複雑な処理はあるけど、現時点では大体調べたらこうなるの」
影山が口を開いた。
「でも、子会社に売ったのは本当なんだろ?」
「そう、でも売ったのは同じGLグループなの」
「外のお客さんに売ったわけじゃないの」
影山が怪訝そうに言った。
「グループの中で商品をまわしただけ?」
「そう、それで八千億円儲けたように見せているだけなの」
優作が静かに口を開いた。
「つまり、投資家を欺いているということか?」
「そういうことです」
風香は優作に目線を向けた。
「真壁さんお願いできますか?」
話を聞いていた真壁がメガネを上げながら答えた。
「もう一度私の方で調べてから、
この資料を証券取引等監視委員会に提出します」
風香は、これがGL帝国を倒す最初の一手になるだろうと思った。




