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不器用な善意は、世界を再構築するAIに選ばれた 秘密結社ARK 世界征服の物語  作者: My little world
第ニ章 暁商店街

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第十二章 第八幕 怪人誕生

羽田空港、応接室。

風香は涙が止まらなかった。自分の作ったAIが盗まれ、改変されるとは、

告白を受けるまで、考えたこともなかった。

優作は、里美が狙撃された原因が目の前にいる。

そればかりが頭の中から離れなかった。

庄屋は、その事実を受け、ただ、ダニエルを見つめていた。

ARKは何も出来なかった。

ダニエルは頭を下げたまま、風香の出方を待っていた。

風香はダニエルに視線を落とした。

「知らない」

風香が答えた。

「私、知らない」

「あなたがした事をどうして私が何とかしなくちゃいけないの?」

風香は涙で腫らした目でダニエルを睨みつけた。

ダニエルは何も言えなかった。言う資格が無い事も知っていた。

それでも、

「私の、私の命と引き換えに、どうか、どうか助けてください」

ダニエルは震える声でそう風香に訴えた。

風香は少し後ずさると、

何も言わず、出ていった。

部屋の中は、しばらくの間、音もなくただ時間だけが過ぎた。

優作は、この男が許せなかった。

許せない。だが――。

「庄屋、この男を見張ってろ」

そう言うと、部屋を出ていった。

「……優作さん」

庄屋が小さくつぶやいた。

優作が部屋を出ると、もう風香はそこにはいなかった。

「ARK」

『はい』

「風香はどこへ行った?」

『屋上の展望デッキです』

優作は風香の後を追った。


展望デッキ。

風香は飛び立つ飛行機を見ながら考えていた。

怒りのあまり、「知らない」とは言ったが、ダニエルがどんな気持ちで今、

自分を訪ねているのか、命がけの気持ちだというのは伝わった。

それでも許せない気持ちのほうが強かった。

「風香」

振り返ると、優作が風香の目の前にいた。

優作は静かに口を開いた。

「俺は、ARKに助けられた」

「昔俺は、GLにいた。さっき話した炭鉱の事故。俺が当事者だ」

風香はギョッとした。

「三十分だった休み時間を二十分にした」

「俺は、規定時間に戻しただけのつもりだった」

「オメガと同じように、利益を優先したわけだ」

「俺の行動をみて、当時の俺の上司がさらに十分削り、事故が起きた」

「だから、事故で死んだ子どもたちは俺のせいだ」

優作の目線は一瞬下を向いた。

そして、もう一度風香に向き合った。

「俺は、偶然出会ったARKと共にドロップアウトした」

「三年間だ。俺は戻れなかった」

「だが、世界は三年前と変わらなかった」

「世界にはまだ、腹を空かしたガキがたくさんいる」

「だから、世界を変えるために社会にARKと一緒に帰ってきた」

「君のARKがいなければ、俺は立ち直れなかった」

「許してやれとは言えない」

「だが、世界のガキたちのために、オメガを止める必要がある」

「手伝ってくれないか?」

風香は優作をじっと見た。

「……」

「ARKが言ったの。どうして私をあなたに近づけたくなかったか」

「優作さん。世界征服が目標なんだってね」

「……じゃあ、私も世界征服を狙う組織の怪人になっちゃうか」

「Dr風香、なんちゃって」

風香は少し笑った。

少し間を置いた。

「私、ダニエルを許してない」

「ああ」

「それでもいい?」

「俺も許してない」

風香は手すり越しに飛行機を見ながら言った。

「共犯者だ」

「俺が?」

「そうだよ」

「……そうか」

「世界中の子供たちにパンを届けましょう」

優作は首を振った。

「子供たちじゃない。ガキだ」

「ガキ? どうして?」

「子供たちだと、俺達が偉そうだ」

風香はまた少し笑った。

風香の携帯電話に幾何学模様が浮かんだ。

『風香』

「どうしたの?」

『僕は風香のそばにいていいの?』

「当たり前でしょ、どうしたの?」

『僕はいないほうが風香のためになるのかなと思った』

「そんな理由無いでしょ、これからもよろしくね」

『……ありがとう』

優作と風香を風が包んだ。

その時、

羽田から飛行機が爆音とともに飛び立った。


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