第十二章 第二幕 ツーリング
初めてのツーリングに選んだのは、伊豆スカイラインだった。
影山は、峠道に差し掛かると、
「まぁ、せっかくだから」
そういうとアクセルを開けて、スピードを上げた。
みんなはついてこられないだろうな。
そう思った。
「ロード・キングの名前は伊達じゃない」
そうつぶやいて、後ろを見ると、
サイクロンがピッタリとついて来ていた。
そのうしろにZ1、少し離れて立花さんのCB750だった。
影山は呟いた。
「へぇ、やるじゃん」
さらにスピードをあげる。
「初代は伊達じゃないのだよ」
バックミラーを見る。
サイクロンはピッタリとついて来ていた。
影山は知らなかった。風香が「赤いゴースト」と異名をもっていることを。
富士山が見えるスポットまで走った。後ろを見るとサイクロンはぴったりと
ついて来ている。そのすぐ後ろにはZ1。立花はゆっくりと走っていた。
影山の自信はポッキリと折れていた。
スポットにバイクを停めると、影山はすぐに風香のところに行った。
「すごいね風香ちゃん。まさかついてこれるとは思わなかった」
「庄屋さんも初めてなのに、すごいっすよ」
影山は、二人の実力を認めた。
実は、こんなところでムキにならないところが影山の優れたところだった。
「ありがとう、でも私のは実力じゃなくて、バイクの力なの」
風香は少し照れたようにそう話した。
「俺はついて行くのにやっとだったよ、やっぱり影山はバイク乗りなんだな」
そう庄屋は影山に言った。
「あざっす」影山は少し照れて礼を言った。
しばらくすると、立花がやってきた。
「おまえら、ソロツーリングじゃないんだから、もっと周りにあわせろ」
立花はそう言った。別に怒っていたわけじゃない。ただ、ツーリングというものは、
そういうものだという意味だった。
「……すいません」
影山は少し調子に乗っていたな、と反省した。
『僕も風香に注意するべきでした』
アルファがそう言った。バイクがしゃべったので、庄屋と影山は絶句した。
ふと、富士山を見た風香が興奮したように言った。
「見て、富士山、大きい、綺麗ねぇ」
唐突にそう言われたので、思わずみんなで笑った。
みんなで記念写真を撮った。
風香にとって、それは大事な思い出になった。




