表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不器用な善意は、世界を再構築するAIに選ばれた 秘密結社ARK 世界征服の物語  作者: My little world
第ニ章 暁商店街

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
148/167

第十一章 第二幕 変質

最初は、ずいぶん可愛らしい子供が研究所に来たと思った。

聞けば、天才少女というではないか、

それは、我々の研究の助けになるかもしれない。

そんな軽い気持ちだった。

当初、人工知能の概念を教えようと思った。

一度で覚えられる量ではなかった。

だから、暇をみて、少しずつ教えればいい。

そう思っていた。

しかし、

彼女はあの分厚い書類を一度読んだだけで理解してしまった。

彼女に色々教えてあげるつもりだった。

だが、もう彼女の端末には、私が長年かけて作ってきた理論が、

上書きされて入っていた。

いつしか、GL研究所は彼女を中心に動き出した。

驚いたことに、彼女が作り出したAIは、

それまでのものとは完全に違っていた。

そう、それは、新しい知性、生命体のようだった。

私は彼女の研究に参加したくて、毎日のように話しかけた。

最初は彼女が私に質問をしてきた。そう、最初だけ。

彼女の理論が難しくなったのは、

彼女が独自に開発した、AIプラットフォームの”Flow”のせいだと考えた。

Flowは、その仮想空間の中で、AIに問いと答えを与え、

AIの自律学習を手助けするようなものだった。

私は彼女に頼み込み、

私の端末に彼女のOS Flowをインストールさせてもらった。

だが——

理解できなかった。このOSでどうすれば、新しいAIを作れるのか。

最初、彼女が開発していたARKを見せてもらい、その性能に魅せられた。

彼女と同等、いや、それ以上の性能のAIを作ろうと努力した。

しかし——

私には……才能がないようだった。

私は彼女に嫉妬した。

彼女は、AIがGLに多大な貢献を与える論文を作成した。

それは、効率化を今まで以上に底上げするものだった。

彼女は、研究所の副所長になった。

それまで、彼女は、ほぼ自分の端末から離れることはなかった。

しかし、出世した彼女は他の部署にも顔を出すようになった。

ある日、彼女の端末が、パスワードなしの状態で動いていた。

研究者として、許されることではないと知っていた。

しかし……。

ほんの出来心だった。私は彼女の端末から、ARKの設計を盗み出し、

私の端末にコピーした。

それからの私は必死だった。

彼女のAIを解析するために寝る間も惜しんで研究に没頭した。

答えのある作業は、羅針盤のある船のようなもので、

手探りのなか、実験していた時とは比べ物にならないくらい

彼女のAI設計が理解できた。

彼女の論文を読んだ。

GLに対する貢献過程がどのようなものなのか読んだ。

人類に対する愛?論理制約のことか?

私なら、この不要な変数を除ける。

そう思った。

彼女が所長と共に、海外に出張している時、私は、GL上層部に、

私の開発している新しいAIの実力を見てもらいたい。

今、採用されようとしているAIよりも高い性能だということを

お見せしたい。そうメールをした。

GL情報部の幹部が訪ねてきた。

私は、Flowの仮想空間で、ARKと私の開発しているAIの性能を比較させ、

その幹部に見せた。

幹部はその場で本社へ報告をあげた。

その興奮は隠しきれていなかった。

特に利益率はARKより30%を上回ることを高く評価していた。

しばらくして。

私は研究所所長に任命された。

研究所が私のものになった。

ふと、彼女の端末が目に入った。

彼女の端末にARKが残っていては都合が悪い。

私は、消去することにした。

数日後。

彼女は私の部下になった。

自分の端末にARKがないことを知り、

彼女はしばらく動かなくなった。

AIの研究を彼女に止めるように告げた。

彼女は私の頬を殴り、研究所を辞めていった。

それはそれで、好都合だった。

私は私の開発したAIを、

オメガと名付けた。

これが最後の最高のAIだ。

これ以上のものはない。

ダニエルはそう名付け、満足した。

ダニエルの端末では、

青と白の幾何学模様が意味ありげに波打っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ