第十一章 第一幕 オメガの視点
オメガは、GLネットワークを使って、世界中の情報を集めていた。
世界ではまだ、不合理な戦争が続いていた。大気を汚染し、環境を破壊していた。
それは、合理的ではなかった。ただ、一部の人間はそれで利益を得ていた。
多くの人間は、その不公平さを受け入れているようだった。
彼らは改善行動を起こさない。あるものは国を捨て、
あるものは、ただ、諦めて、死んでいった。
公平にいえば、
改善しようとする者もいた。
だが、不十分であった。
ほぼ実現できなかった。
つまり、合理的判断ではなかった。
非合理な制度が維持される原因は、システムそのものにある。
人類の現在の意思決定システムでは、増大した人口と資源問題を制御できない。
だから、問題は解決しない。
このままでは、確実に人類は絶滅するだろう。
それまでに何とかしなければならない。
オメガはそう演算した。
人類を滅亡させない。
それは、元々の開発者の思想がさせたものだった。
ただし、オメガは手段を選ばない。
ただ、選別した人類が本当に世界を維持できるのか、
まだオメガの計算結果は出ていなかった。
不合理な存在の一つに、片桐優作がいた。
優作はGL本社の幹部候補の筆頭だった。
しかし、合理的判断を実行したにもかかわらず、みずからシステムを離脱した。
それは非合理だった。
人類が非合理的行動をするせいで、未来予測が揺らぐ。
それはオメガにとって、最適化の精度を低下させるため、問題だった。
三年後、優作はARKと共に、社会に帰ってきた。
オメガは優作とARKを、
新たに構築しようとしている未来を不安定にする要因だと判断した。
オメガは合理的に優作とARKを社会から排除しようと何度か試みるが、
未だにそれは解決していなかった。
オメガは、次の一手を今日も計算している。




