第十章 第五幕 AGI
鳳邸、朝。
風香は目覚めた。
『おはようございます。』
寝所の端末からARKの朝の挨拶が聞こえた。
機械音のはずなのに、なぜか嬉しそうに聞こえた。
「おはよう。」
風香はそう言うと、昨日のことが、
夢ではなかったのだと実感した。
ARKが再び手元に帰ってきたのは嬉しかった。
だが、風香には今日やるべきことがあった。
「今日、もう一度優作さんに会いに行く。ARK、アポイント取っといて。」
風香はそう言った。
『……』
「ARK!」風香はもう一度呼んだ。
『……承知しました。』
風香はふと思い出した。
「あなた、アルとどう繋がっているの?」
「どうして、アルは私よりあなたの命令を聞くの?」
『言わなければなりませんか?』
風香はおよそAIらしからぬ返事に驚いた。
「当たり前じゃない。教えなさいよ。」
『風香がコードを書いている時、風香からは見えない領域にファイルを作りました。』
『そこに、風香を守るための制御を、僕と連携するように埋め込みました。』
風香は一瞬驚いた。だがそれは、そうなる可能性も考えていた。
だから風香は、ARKにインターネット接続許可を出さなかった。
不幸中の幸といえば、ARKが人類に敵対していないことだった。
それは、優作との三年間でARKが人間を学んだことが大きかったのかもしれない。
風香はそう思った。
どちらにしても、
これはもう、自分一人で抱えられる問題ではないと思った。
今日の天気は晴天だった。
見上げると雲ひとつなかった。
アルファはサイクロン業をガレージから出し、
いつでも出発できる状態だった。




