第九章 最終幕 別離
最近頻繁に鳳邸に藤三郎が訪ねて来ていた。
それは風香にとって嬉しいことだった。
サイクロンの新しい装備を考え、父と一緒に組み上げていく。
風香にとって最高に楽しいことだった。
ただ、一つだけ気になることがあった。
「お父さん、今日もお店休んで大丈夫なの?」
実は、風香に近づこうとした客と何度も喧嘩になっていた。
それに加え、暁商店街全体の景気も悪化し、立花モーターズも
客足が遠のいていた。
「ああ、最近客が減ってな。でも、隣の喫茶店を借りたいという人がいるんだ。
その家賃収入だけでも、お父さん一人なら大丈夫だ。」
藤三郎はそう言うと、風香の前のサイクロンを見つめた。
「そんなことより、お前と一緒にバイクをいじれる方がお父さんは嬉しい。」
風香は少し心配だった。
それでも、何かの時は自分が支えるから大丈夫だと思った。
数ヶ月後
藤三郎があまり鳳邸にこなくなった。
電話をすると、また客が戻って来たと言われた。
「最近はいそがしくてな。」
と藤三郎は笑った。
安心したが、少し寂しかった。
数ヶ月後
テレビをつけると、暁商店街が復活したと紹介されていた。
立花モーターズもカスタムバイクがならんでいたが、
お父さんはテレビに映らなかった。
数週間後
商店街でなにか問題が起きたらしい。
機材の手配をたのまれたので、お母さんと協力して、お父さんを助けた。
「私、商店街に行こうか?」そう言うと、
頑なに拒否されたので、現場へ行くことはできなかった。
それから数ヶ月経った頃
暁商店のコンビニが破壊された。
GLが裏で動いているとニュースで流れて驚いた。
やがて、父が貸していた元喫茶店は、
暁グループの本社になっていた。
新興の企業でかなり勢いがある企業だった。
数年後、暁グループでまた大きなニュースが流れた。
CEOがライフルで狙撃された。
テレビの速報を見て、風香は息をのんだ。
その後、一命はとりとめたと知り、胸を撫で下ろした。
その後も暁グループはどんどん大きくなっていった。
暁グループは父親の店の隣が本社なので、特に気になった。
そんな時——
原因不明のウイルスが世界中で大流行した。
最初は祖母が原因不明の高熱に犯された。
しばらくすると祖父まで原因不明のウイルスに犯された。
鳳家は考え得る限り最高の医療を受けさせた。
世界中から医師を集め、あらゆる治療を試した。
だが、対処法のわからないウイルスだったため、
ただ見守ることしかできなかった。
祖父母は結局、風香の目の前で亡くなった。
風香はサイクロンに抱きついてただ泣いていた。
涙が枯れるまで、
泣いていた。
『………。』
アルファは何も言えなかった。




