第八章 第十八幕 素直
藤三郎は風香の部屋の前にきた。
ドアノブに手をかける。
開ける前にふと、昨日のことを思い出した。
「トントン、風香、朝だぞ、起きろ。」
返事がなかった。
扉を開け、
中にはいると、
組み立て途中だったパソコンが出来上がっていた。
風香はベッドで眠っていた。
風香の寝顔をみて、藤三郎は幸せな気分になった。
そっと風香の髪を撫でると、風香が目を覚ました。
みるみる顔が赤くなった。
次の瞬間、
「最低。出ていって。」
藤三郎は、また何も言えなかった。
そして、部屋を追い出された。
静香は苦い顔をして、
そんな藤三郎を見ていた。
ダイニングルームに一人、藤三郎は降りてきた。
「何がいけないんだ?」
藤三郎には、本当に訳が分からなかった。
「女の子なの、寝顔は、お父さんにだって見られたくないのよ」
静香はそう言った。
「だから昨日、言ったでしょう。」
「女の子は難しいのよ。」
藤三郎はどうすればいいのか分からなくなった。
その頃、
風香は少し後悔していた。
ベッドの上でクッションに頭を埋めて悩んでいた。
どうしてお父さんが近くに来るとイライラするのだろう。
本当は、「アメリカに来てくれてありがとう」と言いたいのに、出来ない。
作業中に突然入って来られると頭にくる。
寝顔を見られたら恥ずかしい。
なんだか、お父さんが来て、リズムが変わってしまった気がした。
それでも、
本当は仲良くしたかった。




