第八章 第十三幕 アメリカ
飛行機は、
バイクでは味わったこともないほど、
力強い加速で滑走路を駆け抜けた。
体が座席に押し付けられる。
「……。」
気づけば空に舞い上がっていた。
窓の外を見る。
街が小さくなり、
山が小さくなり、
やがて、
日本が小さくなって見えなくなった。
「……アメリカ。」
やがて少しずつ実感が湧いてきた。
しばらくすると、
客室乗務員が笑顔で近づいてきた。
「Beef or Chicken? 」と聞かれた。
隣の乗客が「Chicken.」と答えた。
……なるほど。
とりあえず真似をして、「チキン」と答えた。
ビーフを頼んだ人を見て、
ビーフにしておけば良かったと後で後悔した。
食べ物は、まぁ、食べられた。
悪くなかった。ただ、
いちいち緊張した。
映画が見られるようだった。
いくつか押してみたが、
好みのものは無かった。
アイマスクをして寝るも、機体の音が、
意外に大きかった。なかなか寝付けなかった。
寝付けた頃に、機内の照明が明るくなって、
二度目の機内食が配られた。
今度は軽めの朝食だった。
そして読めない書類が配られた。
地球の歩き方の出番だった。
窓の外が明るくなり、
体が何度か「フワッ」と浮くような感覚になった。
高度が少しずつ下がり始めた。
アナウンスが流れ、
何か言っていた。
ガタガタと機体が揺れ、タイヤが地面を捉えた。
「ドン!」強い衝撃とともに、逆噴射の爆音が響く。
飛行機が止まり、アナウンスが流れた。
扉が開き、日本とは違うアメリカの空気と、
全く分からない生の英語の洗礼を受けた。
ついに藤三郎はアメリカの地へ降り立った。




