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ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
47/61

#47 地球の勇者

挿絵(By みてみん)

アリーヤは脱出ポッドを操縦し、敵の船に狙いを定める。

(昨日まで何もない日常だったのに、いきなり宇宙人が攻めてくるなんて……手の震えが止まらない)

敵宇宙船の全長は、20メートルを超えている。

「あれに突っ込むの?」

「ああ。」

アリーヤは脱出ポッドを起動した。

「お願い、うまく行って!」

ポッドはまっすぐ、敵船に突っ込む。アリーヤはコアを抱え、敵船の外壁を脱出ポッドで破壊し、宇宙船内部の廊下を走る。

「何事だ!?」

デッド・オリオンの司令官が叫ぶ。部下は状況を言う。

「船内部に侵入者!時空移動マシンの方角へ移動中!」

「阻止しろ!」

指示を出す敵司令官・ナンバー06。

「敵は任せろ!キミは走るんだ!」

走ってくる敵をコアがビームで蹴散らす。やがて、廊下の突き当りに部屋が見える。

「あの部屋だ!」

一方、敵指令室。兵士が司令官に連絡をする。

「敵が部屋に到達しました!」

「何だと!?」

時空移動マシンの前まで来たアリーヤとコア。そのマシンの前にレバーが付いている。

「そのレバーを引くんだ!」

コアの指示で、アリーヤは時空移動マシンのレバーを思い切り引いた。

「オリャーッ!!」

すると、デッド・オリオンの船は青白いイナズマに包まれ、町から消える。

はるか彼方の宇宙空間に、デッド・オリオンの船が現れた。

「もう一度マシンを起動しろ!」

敵司令官は指令室で命令するが、コアが光線でマシンを爆破する。

「マシンをやられました!」

「お、おのれぇぇぇーーー!!」

敵司令官の叫びも知らず、廊下を走るアリーヤ。コアと共に脱出用のポッドに乗り込み、宇宙船から脱出する。

「ふうっ」

アリーヤは息をついた。

「やったな、アリーヤ!人類はきみが救ったんだぞ!」

「みんな無事ってことだね!」

アリーヤは微笑んだ。すると、アリーヤたちの目の前に銀色の四角い大型宇宙船が現れる。

「敵!?」

「違う!あれは味方だ!」

宇宙船は、敵に向けてレーザー光線を発射する。敵の司令官は叫ぶ。

「レジスタンスか!」

レジスタンスの攻撃で、デッド・オリオンの船はほとんど撃沈する。

2~3あった敵宇宙船は爆破され、残り一機となった。

「我々の勝利だ!」

「うん……」

アリーヤの反応に、コアは訊ねる。

「どうした?」

「人がたくさん死んでる……」

彼女はそう言って、悲しそうな表情で、戦場を見ていた。敵の司令官は、部下に命じた。

「あの脱出ポッドを撃て!」

アリーヤたちが乗る脱出ポッドが、オリオンの船に撃たれ、爆発した。

アリーヤとコアは生身で宇宙空間に放り出され、二人は引き離される。

「アリーヤ!」

コアは叫ぼうとするが、アリーヤには届かない。そのままコアは、暗闇へ消えていった。その時、アリーヤのカメラがピンク色に光り、アリーヤの全身をその光で包んだ。光るカメラは、アリーヤをその光でつつみながら、外見が冥王星に似た謎の惑星にアリーヤを連れて行く。砂漠に仰向けに倒れているアリーヤ。

「きみの夢は何だ?」

「写真家になることだよ」

「どうしてきみは……写真家を目指す?」

アリーヤはとある惑星で目を覚ました。うす暗い青空、そして砂漠が広がっている。

「うわあ、ここはどこ?天国にしちゃ、殺風景なトコ……ママやコアは無事?」

すると、アリーヤの手元にあるスマホに、メッセージが1件入っている。

発信者名はエヴァルドとある。

「エヴァルド……?」

彼女はメッセージを読んだ。

「ピンクの光・指し示す場所に、君は行くべきだ。そこにきっと、希望があるから。」

メッセージはそこで終わっていた。

「ピンクの光?」

何の事か分からない。そう思ったアリーヤは、自身のカメラのレンズから光がもれている事に気づいた。ピンク色の光である。

そのピンク色の光は、地平線の彼方を指し示した。

アリーヤ「この光の、事?」

彼女は地平線の向こうへと歩き出した。

アリーヤが歩いていると、やがて地平線の向こうに、緑が生い茂る森が見えた。

「この森の中?」

彼女は恐る恐る、森に足を踏み入れた。ピンクの光の指し示す通りに森を進んでいくと、洞窟に突き当たった。

「どうしよう、これは何かの罠じゃない?」

そう考えながらも、彼女は洞窟へ入って行った。洞窟の中は薄ら明るく、やがて彼女は洞窟の突き当たりまで導かれた。そこには家ほどの巨大な丸い石のかたまりがあり、鋭い目のような突起物が2つ見えた。その両目の真ん中のピンク色の宝石に、アリーヤのカメラのピンクの光が当たっていた。

「この石が、キボウ?」

そう呟いた瞬間、彼女の身体は光り輝き、カメラと共に丸い石像の内部へと吸い込まれて行った。

暗闇の中で1人しゃがみ込むアリーヤ。暗闇で、ぼんやりと、アリーヤの家が見える。リビングのテーブルに、2人の親が座り、小さいころのアリーヤに向けて、こちらへ来るよう促している。2人の間の席へ座るアリーヤ。紺色服の父親が、小さなアリーヤに問いかける。

「どうしてきみは、写真家を目指すんだ?」

戸惑うアリーヤ。彼女があたりを見回すと、そこはリビングでは無く、父の個室だった。誰もいない、電気もつかないその部屋で、ほこりをかぶったアルバムを見つける。どこかの国の戦場だろうか、アルバムの写真20枚には、11年も前の日付が記録されている。泥道を走る戦車は、敵に狙いを定めているところか。ある写真では子どもが泣き、またある写真では逃げ惑う人々が写されていた。部屋に閃光が走る。

爆発音と共に、家は崩れ落ちた。暗闇を走るアリーヤ。何かにつまずき、それを拾いあげると、それは小さなペンダントだった。

「アリーヤ」

誰かの呼び声がする。

「私は、私の夢は……」

声を振り絞るアリーヤ。


「みんなの笑顔を、守ります!」


カメラはまた光り出す。アリーヤのカメラの光は、カメラ本体を離れ、彼女の頭上に舞い上がると、あたりを照らして行った。そこは宇宙船の操縦席だった。

「何、ここ……」

戸惑うアリーヤをよそに、外壁の石像は音を立てて崩れて行った。それは、動物のサソリを模したような、ピンクの光を放つ宇宙船だった。と共に、アリーヤのカメラから声が聞こえてきた。女性の声だ。

「この宇宙船にたどり着いたアリーヤ・カルティエ。あなたは、こことは別の銀河を救った勇者です。ここの宇宙にはまだ、デッドオリオンなどの魔の手が差し迫っています。今一度、アリーヤ・カルティエのその手で、この宇宙をお救い下さい!……」

音声はそこで途切れた。アリーヤはカメラを見ながら立ちつくした。

「カメラが喋った……ちょっとまって!勇者ってどゆこと!?宇宙を救えって?もう何がどうなってんのぉー!?」

アリーヤの問いに、カメラは答えなかった。

「そっかあ、私は宇宙犯罪者に立ち向かったりして、宇宙を救えたんだ。よかったぁ……ま、帰れないんですけどね。ええい!どうせ帰れなくなったんだ、こっちの宇宙もミカも救ってやるよ!やりますよ!そうと決まれば発進だね!そこら辺の操縦席、いじっちゃおう!」

アリーヤは、操縦席の機械をがむしゃらにいじり始めた。

つづく……



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