#46 アリーヤの覚悟
「私は反対よ!子どもをそんな危険な所に連れていけるわけないでしょう!」
アリーヤはレジスタンスのコアと共に、宇宙帝国デッド・オリオンからミカを助けようと母を説得中だった。
「ピンクの花の花言葉、覚えてる?」
ローザは顔をしかめながらも、説明をした。
「ピンクの花の花言葉は、(大胆)、(純愛)、(貞節)。この町では皆が愛にあふれ、優しく幸せになれるよう、飾っているのよ」
「ミカが好きな花だったんだ」
アリーヤはぽつりと言った。
「この家にしばらく住んでたミカもね、ママが飾ってるその花が大好きで、よく写真に撮ってたんだ」
アリーヤの目から、涙が一粒こぼれた。彼女の右手にそっと手を置くローザ。アリーヤは、1眼レフのカメラを手に取り、再び口を開く。
「……このカメラさ、親友がくれたんだ。私ね、人生でイヤな事が多くてさ、つい投げやりになっちゃうんだ。 そんな時に、親友は励ましてくれたの。この世界にはここよりもっと楽しい場所がある。いつか二人で、そこに行こうって。」
「アリーヤ……」
突如、瞬く間に閃光が走る。頭上で巨大な爆発音がしたかと思うと、アリーヤ達の家が爆撃、破壊され、ガレキのように崩れ落ちた。アリーヤ達は身をふせる。
残骸からはい出るコアとアリーヤ。
「何……?今、何が起こったの?」
コアが答える。
「デッド・オリオンだ!ボクの居場所が突き止められたんだ!」
アリーヤは辺りを見回す。ローザが居ない。
「ママは?ママはどこ?」
「動くな」
アリーヤの背後に見慣れない武装兵が立っており、2人に銃を突きつけた。
「デッド・オリオン!」
コアが叫んだ。その瞬間、兵士は彼をビームガンで撃ち落とした。
「コア!」
アリーヤは叫ぶ。撃ち落とされたボール型のコアを掴もうとする、デッド・オリオンの兵士。
「レジスタンスのスパイ!見つけたぜ!」
するとがれきから這い上がったローザが、兵士に体当たりをする。
「逃げなさい、アリーヤ!」
すると兵士は、ローザに仕返しをし、ローザは倒れる。
「ママ!!」
悲鳴を上げるアリーヤ。
するとコア(左前頭部が壊れ、機械がむき出しになっている)が起き上がり、目からビームを放ち、兵士を倒した。
「速く、逃げるんだ」
アリーヤは、ボール型のコアを抱きかかえ、ローザに手をまわして逃げていく。デッド・オリオン軍の兵士が、宇宙船が、町を破壊して行く。オリオンの司令官・ナンバー06は叫ぶ。
「破壊だ!人類を破壊しろ!領土は我がデッド・オリオンの物!」
次の日の朝。病院の待合室で、アリーヤはスマホ片手に話している。
「うん、私は無事。ありがとう、おばあちゃん。それじゃ。」
アリーヤは電話を切った。コアがたずねる。
「どうだって?」
「ママの治療費は、おばあちゃんが出してくれるって。」
アリーヤ、母の病室に来る。コアは言う。
「僕はデッド・オリオン戦艦内で時空移動マシンを起動し、デッド・オリオン軍を元の宇宙に返す事が使命だった。マシンの設定で標的を設定すれば、デッド・オリオン軍をすべて、元の宇宙に返せる。マシンの製造技術は失われているから、それを壊せばヤツらの時空移動は不可能になる。しかし肝心の僕がこのざまじゃ、望みは絶たれた。ヤツらの攻撃が再開すれば、人類は間もなく滅びる」
「そんな、何か手は無いの?」
「そうだな……僕の乗ってきた脱出ポッドを使って、敵船に突っ込めば、可能性も無くはない。」
アリーヤとコアは森へ行った。
「このあたりに落ちたハズだ」
森の奥には池があり、池にハマった直径2メートル程の、灰色の丸い物体がある。
「これが……脱出ポッド?」
と、アリーヤ。
「故障している。修復は無理だ。私も故障しているから、ポッドを修復できても操縦できるかどうか・・・」
「なら、操縦方法を教えてよ」
アリーヤは真剣なまなざしで言った。遠くの空で、デッド・オリオンの宇宙船が飛んでいる。宇宙船は光線で街を破壊しつくす。アリーヤは言った。
「コンロとカメラくらいなら、修復できるよ」
病院の廊下。重症患者が大勢運ばれて来る。家のガレキから修理道具を出すアリーヤ。夕方。なんとアリーヤは、脱出ポッドを修理したのだった。これにはコアも驚いた。病院。アリーヤは、眠っているローザの元へ行き、手紙を置く。
「ママ……今までありがとう。愛してる」
病室を去っていくアリーヤ。小型ポッドに乗ったアリーヤ。コアも一緒だ。首にはカメラをさげている。
「いいのか?アリーヤ。マシンを壊したら、キミはもうここへは戻れないぞ?」
「仕方ないよ。私がやらなきゃ、ミカは政略結婚のままなんでしょ?そんな事はさせない。私がミカを救ってみせる!」
脱出ポッドはゆっくりと、空へと浮上した。
「トンデモ作戦、実行するよ!」
つづく




