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ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
43/61

#43 流れ星の少女

挿絵(By みてみん)

炎が燃える。人が燃える。アリーヤ・カルティエは、親友のミカを肩にまわして、燃える建物の出口を探していた。背後から、オレンジ色の目をした男がガラスの破片を持って迫りくる。ミカがアリーヤを突き飛ばした。

「逃げて!!」

ミカの叫び声。アリーヤは暗がりで目を覚ました。そこはスコーピオン号内の、アリーヤの部屋の布団だった。夢か。アリーヤはふと思い出したように、金庫にしまったカメラを開けた。カメラも、カメラの中身の指輪も無事だった。眠っていたクロネコのエンジェルは、機嫌が悪そうに鳴く。

「ごめん、エンジェル。起こしちゃったね」

アリーヤは起床時間まで眠れなかった。目のクマがひどい。

宇宙を進むスコーピオン号の1部の隊員は、クーガーと呼ばれる惑星の所在を探していたが、そのような名前の惑星を見たり、聞いた者は1人も居なかった。会議室で、ジュリア副長とナリナァたちが会議をしていた。副長が言った。

「この宇宙には無数の惑星、恒星があります。その中には、未だに知られていない惑星も、可能性としてはあるでしょうね」

メイティン隊員が口をはさんだ。

「惑星の名前が変わったり、爆発しちゃったなんてことも……」

ナリナァが言った。

「充分考えられるね。あと情報は、ネイビーピューマはその星のリーダーの称号だとか、アリーヤが聞いたって話だ」

リッキー隊員が顔をしかめる。

「あんなおっかない賞金稼ぎの仲間が、その惑星にいっぱいいるってことか?」

会議にアリーヤは不参加だった。そして、ネイビーピューマが彼女の姉だという事実を、この船の隊員たちは誰1人知らされていなかった。

起床後、スコーピオン号の隊長席に座りながらあくびをする彼女に、恋人であるホノカがお茶を持って来てくれた。

「はい、お茶」

「ありがとう、ホノカ!」

「大丈夫?アリーヤ。眠れてないの?」

「最近、また夢を見たんだ」

「ミカちゃんの夢?」

「そ。2年前に、いろいろあったんだ」

ホノカは話を聞くべきか迷った。

「その話って……聞いていい?」

「長い話と短い話、どっちがいい?」

「えぇ……まぁ詳しく知りたいから長めでいいよ」

アリーヤは隊長席を指でつついて、にこやかに言った。

「後で副長と交代するから、私の部屋かホノカの部屋に行こ」

アリーヤは起床後の仕事を終えた後、副長と交代してホノカの部屋へ行った。以前はライアン隊員が使っていた部屋だ。自動扉が開いたが、ホノカは不在だ。

「ホノカったら不用心だなぁ、自動扉なんだからちゃんとロックかけとかないと、うっかり着替えとか見られちゃうよ?」

通路の途中で、救助隊の隊員服を着たホノカと遭遇した。アリーヤは目を丸くした。

「あれ、ホノカさ、ウチの隊員になるの?」

「うん!今日から私はホノカ隊員です!将来の夢はピンク・スコーピオンのトップだよ!」

アリーヤはにっと笑った。

「あはは、トップはずっとこのアリーヤだし!」

アリーヤはホノカの手を引いて、彼女をある部屋へと招いた。アリーヤの部屋の隣の扉。扉のパスワードを入力して、ロックを解除した。部屋の壁にはたくさんの記念写真らしきものが、額に入れられ壁に飾られていた。ホノカは訊いた。

「この部屋は?」

「私の思い出写真館。いつものカメラで撮ったよ」

その部屋の写真には、救助隊のメンバーも居れば、ホノカの知らない人や風景も映っていた。アリーヤが写真の1つに触れた。晴れ渡る青空の下で、2人の少女が微笑んでいた。

「4年前の写真。私とミカを、ママが撮ってくれたんだ。」

「じゃあ、アリーヤとミカちゃんが映ってるんだ。2人とも可愛い」

アリーヤは笑みを浮かべた。が、その目は今にも泣きそうだった。

「この4日後だった。ミカが地球から消えたのは……」

「……え?」

「ホノカはさ、私が何で、宇宙に出たのか知らないよね?」

「救助の為でしょ?」

アリーヤは首を振った。

「それは今。最初は違った。ミカは、ある宇宙の星から来たの。」

「ある宇宙の星?それってまさか……」

「私は2年前、ミカを探すために、宇宙に出かけたんだ。そこでみんなと知り合った。セリアやナリナァ、みんなとね。」

アリーヤはミカとの出会いの話を始めた。長い長い、お話だった。

「5年前のある日、私とママは深夜2時の地球の家にいた。家の布団にくるまって、ママがいびきをかいて寝ていた時に、私は喉が渇いて目が覚めた。冷蔵庫に飲み物を取りに行く途中で、窓の外が光って、小さな流れ星が降って来た。とても小さくて、素敵な流れ星がね。私は懐中電灯を持って流れ星を探したよ。ママも起こした。そしてママが、その流れ星のクレーターを見つけたら、クレーターの中心に、小さな女の子がいたんだ。話しかけても無反応だった。ママがクレーターの中心に降りて行って、流れ星のハッチを開けて、助けたよ。ママはその子を家までおんぶして帰った。ママはその子をママのベッドに寝かせて、お医者さんを呼ぼうとしたの。でも、その子が急に眼を覚まして言ったんだ。お医者さんはダメって。」

ホノカはだまって聞いていた。それを見て、アリーヤは話を続ける。

「どこかの迷子かもしれないから、明日警察に届け出ましょうって、ママはそう言って外に出たんだ。私が冷蔵庫でオレンジジュースを見つけてその子にあげると、その子はジュースの紙パックに噛みついて、おいしいねって、言ったんだ。」

9歳のアリーヤは、紙パックのストローを少女に示すと、少女は怯えて言った。

「それは何?」

アリーヤは不思議そうに答えた。

「ストローだよ、知らないの?」

少女は分からないようだった。アリーヤは自分自身の名前を言った。

「私はアリーヤ。あなたは?」

「……分からない。何て名乗ればいいの?」

「自分の名前を言えばいいんだよ。大丈夫、私もママも、良い人だから」

すると少女は名乗った。

「私はシルバーアリス星から来たプリンセス・ミカ。宇宙帝国デッド・オリオンから逃れるために、宇宙を旅していました……」

9歳のアリーヤは目を輝かせた

「やっぱり宇宙から来たんだね。」

母親のローザが帰って来た。手に何かを持っているようだった。アリーヤが聞いた。

「ママ、それは何?」

「宇宙船の中にあった物よ」

ローザは小さな指輪をミカに見せると、ミカはそれを奪い取るかのように手に取った。アリーヤが、それは何かと聞いてもミカは答えなかった。アリーヤが、ミカは宇宙から来たんだよ!と説明すると、ローザはそうね、と答えた。

「今日はもうお休み。アリーヤ。ミカも。」

そう言うと、ミカはゆっくりと眠ってしまった。空はまだまだ暗かった。

つづく


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