#35 ギョウとロン
惑星ガラマ。アリーヤは待機中だったリドを通じて宇宙列車強盗ギョウとロンの身元を、ガラマ警察に調べさせた。
「やつらはガラマ星西部の荒くれものだ。ギョウが作戦を立て、早撃ちの名手のロンが客に脅しをかける。強盗の前科が山ほどある常習犯だ。そいつらの恋人にケセラというガラマ星人の女がいるが、その女によると、強盗で貯めたお金で安定した職場に恵まれたハルジオ星に行こうとしていたみたいだな。ギョウとロン両名は現在も逃走中だ。」
ナリナァが、長い話を聞き終えて、杖をコツンと鳴らした。
「ろくでもない男どもに振り回されて星が滅びかけてるってわけか。」
ガラマ星南西部の荒野。岩場の影に2人のウィーヴィル星人が隠れていた。風が吹き抜ける。ギョウとロンは2人で相談をしていた。
「参ったな、ロン。とんでもねぇもん盗んじまった」
「ギョウが中身確認しなかったのが悪いぜ」
ギョウは軽く笑った。
「まさか植木鉢が増えるとは思わねぇだろ」
ロンは遠くの青い壁を見た。
「ケセラの町まであと2日だったのに」
「あいつの所には行くな。巻き込む。」
ロンはギョウに訊いた。
「これからどうする?」
ギョウは空を見上げた。
「ハルジオ星に行くしかねぇ。船を奪う」
「トロンボーも追ってくるぞ」
ギョウはにやっと笑った。
「いつものことだろ」
その時、2人の背後から足音がした。岩陰から現れたのはガラマ警察3人だった。先頭の保安官のバッジが光る。
ロンがビームピストルを取り出した。保安官は両手を上げる。
「待て待て、撃つな!話がしたいだけだ」
ロンは銃口は下げない。
「話?」
保安官は慎重に言葉を選ぶ。
「お前らのせいで星がやばいことになってるのは分かってるな?ネオシーウィードを止めりゃ、刑は軽くなる。」
「お前らトロンボーの刺客だろ。話がうますぎるぜ」
保安官は肩をすくめた。
「嘘じゃない。大統領命令だ。」
ギョウとロンは目を合わせた。小声で話した。
「罠だぜ」
「あぁ、おれもそう思う」
ロンはビームピストルをゆっくりと、ホルスターに戻した。
「ケセラの安全を保障しろ。」
保安官は了解した、と言って2人を車に乗せた。同じ頃、アリーヤたちは最前線の駐屯地に到着していた。テントが並び、隊員たちがあわただしく動いている。
メイティン隊員が地図を広げる。
「ネオシーウィードの進行速度、時速約4キロ。このまま行くと36時間で大統領府に到達します。」
ナリナァが地図を覗き見た。眉間にシワ。
「焼き払うのが手っ取り早いけどね」
ジュリア副長が首を振った。
「生態系への影響が大きすぎる」
アリーヤは考え込んでいた。
「まずはネオシーウィードの性質を観察しよう。弱点を探るの」
ピンク・スコーピオンは調査チームが編成された。フロルとレベッカを中心に観測機器を搭載したドローンが飛ぶ。バルドとニールが護衛に着いた。残りは進行の遅延作業に回る。レベッカはドローンの映像をリアルタイムで解析しながら、顔色が変わった。
「隊長。ネオシーウィード、水分じゃなくて光で成長してます。日光に反応して増殖が加速してます!」
「じゃあ日光を遮る?」
リッキー隊員が口をはさんだ。
「夜を待つには、時間が無いぜ?」
レベッカが頷いた。
「雲を作れば……人工的に夜を作れば進行は止まるかもしれません!ガラマ星の気象システムと連動すれば、局地的に気候を操作できます」
保安官に連れられて、ウィーヴィル星人ギョウとロンがアリーヤ達のいる駐屯地に現れた。場がざわつく。指名手配犯の登場だ。リッキーとシンジがひそひそと話す。
「たしかにウィーヴィル星人だな」
ギョウは周囲を見回した。怯む様子はなく、むしろ面白がっている。ロンは無言で、目だけが冷たく光っていた。状況を計算している目だった。アリーヤは二人の前に立った。
「あんたたちの事情は聞いた。でも、今は星の危機。協力して」
ギョウが口を開いた。
「俺たちはハルジオ星に行きたい。何をすればいい?」
つづく




