#34 ネオシーウィードの脅威
オウル・コロニー。バミリオン星の近くにある宇宙平和維持連盟が所持するスペースコロニーである。そのオウル・コロニー町の中に、クレッセントという組織の基地があった。クレッセントは宇宙人たちにさらわれた地球人とその子孫たちを救出・援助する活動をしており、救助隊になる前のピンク・スコーピオンとバミリオン軍等と連携して、他種族を虐げていた宇宙帝国デッド・オリオンを倒した実績がある。クレッセントのジーン・ナイト総帥は、マクア星とバザラジア星の動きがおかしいとして、各惑星の宇宙平和維持連盟の代表たちと会議をする予定でいた。そんなジーン総帥の腕時計型のホログラム通信機に、アリーヤ・カルティエからの通信が入った。
「お久しぶりです。ジーン総帥」
「アリーヤですね。どうされましたか?」
「ザークの時はバミリオン政府を説得してくださり、ありがとうございました!」
「そんなことを言いに、わざわざ通信したのではないでしょう?用件を聞きましょう」
「バミリオン星近くのガラマ星から信号が出てるので、救助に行く許可をください!」
「分かりました。人員は足りそうですか?」
「まぁ、なんとかしてみます!」
ジーン総帥はニコリとした後、アリーヤを気遣うように言った。
「別の銀河ではありますが、ガルグイユや宇宙マフィアの動きも活発です。充分に気をつけて」
アリーヤもにっと笑った。
「それでは、行ってきまーす!」
惑星ガラマ。ピンク・スコーピオン救助隊所属のリド隊員の地元であり、青い森に緑の海がきれいな星だ。そんな惑星ガラマから、救難信号が来ていたのだ。アリーヤとリド隊員、そしてナリナァがガラマ政府のドーム型の建物へと向かう。依頼主はそこにいる、ガラマ政府のネスカン大統領だ。
「我々ガラマ星人は、とてもマジメで勤勉だ。宇宙の知れることは何でも吸収し、他の種族からも自頭が良いと評価されているんだ」
おしゃべりなネスカンにしびれを切らし、ナリナァが叫んだ。
「あんたの自慢話はもういいよ!依頼内容は?」
ネスカン大統領はマジメな顔でアリーヤに話し始めた。
「こちらに居らっしゃるブルーム星人は少々短気なようですな。ブルーム星人にとっての必要な栄養素は……」
アリーヤが話を遮った。このままでは話が終わらない。
「今回の依頼はどういった内容ですか?」
「ああ、それなんだけどね、この星に居るとある科学者が作り上げた人造植物・ネオシーウィードが宇宙列車強盗に盗まれてしてしまったんだ。食用に開発する予定が、手違いで急成長してね、今ガラマ星の西部を覆いつくそうとしている」
「つまり、巨大化した食用海藻を退治してってこと?」
「このままではガラマ星の生態系に影響が出る。そうなる前に食い止めて欲しいんだ。」
ナリナァが口をはさんだ。
「犯人の列車強盗は後回しってわけかい」
アリーヤたちはスコーピオン号の会議室で作戦会議を始めた。ジュリア副長がガラマ星西部のライブ映像を映し出した。巨大化した人造植物・ネオシーウィードはウネウネと動きだし、海から大地までキレイな景色は一変し、ガラマ星西部をすでに覆いつくす勢いだった。リド隊員は不安に駆られた。
「宇宙列車強盗め、逮捕したら見てろよ!」
彼女は目が血走っていた。それを見て、アリーヤはリド隊員に待機命令を出した。リド隊員は不満げだ。
「どうしてですか?隊長!惑星ガラマは私の地元です」
「だからだよ、リド。地元の危機に冷静に対処できる?」
リドは言い返せなかった。ニール隊員は映像を見て絶句し、メイティン隊員はあまりの光景に口を押えた。ナリナァの顔が険しい。
「増殖速度が尋常じゃないね、こりゃ」
ジュリア隊員が分析班のデータを見て、首を振った。
「このままでは72時間で星全土が飲まれます」
アリーヤが冷静に提した。
「除草剤は?」
「ガラマ政府が既存のものを試したそうですが、効果ナシです。」
ネスカン大統領から連絡が来た。
「ネオシーウィードの開発者・ワユン博士から除草剤の試作品が届いている。博士と試作品を転送する。」
ガラマ星の女性科学者・ワユン博士がスコーピオン号に転送されてきた。試作品を両手で持つ博士。
「除草剤の試作品です。この除草剤はネオシーウィードにとても有効ですが、殲滅するには量が足りないんです」
ジュリア副長は腕の通信機の時計を見た。表情が硬い。
「つまり、我々がネオシーウィードの進行を食い止める間に博士が本剤を完成させると」
ナリナァが訊ねる。
「列車強盗の犯人は分かるのかい?」
「はい、あれは恐らくウィーヴィル星人の2人組です。」
「ウィーヴィル星人がどうしてガラマ星に居るんだい?」
「おそらく200年前に大量にやって来たウィーヴィル星人移民の子孫でしょう。2人組はギョウとロン、と名乗っていました。」
つづく




