表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
30/61

#30 電脳戦艦プロメ

挿絵(By みてみん)

地球の某国。大統領は、首脳会談で電脳戦艦プロメのお披露目をすることにした。各国の首相を自国の軍の訓練場に招き、自国の力を見せつける為だった。プロメが起動した。その白銀の巨体は、ゆっくりと音もたてずに宙へ浮かび上がる。仮想敵である自動操縦の大型軍事船が海を渡って来た。プロメのAIがそれを感知し、砲座が軍事船に向いた。白い光が灯ったかと思うと、電脳戦艦プロメのビームはあっという間に大型軍事船10隻を消滅させた。そして大統領は得意げに言った。

「今のは最小火力だ。最大火力のプロメの破壊力は、惑星1個を吹き飛ばす威力がある。敵国からの攻撃も、宇宙からの侵略も、このプロメがあれば、大丈夫だ」

各国の首相は大統領に拍手を送った。すると1人の軍人が、遠くから大統領を睨みつけていた。その軍人は、大統領が立っている方へと向かって行く。武装は見当たらない。大統領の護衛が彼を押さえつけるも、彼は護衛たちを軽くねじ伏せてしまった。その様子に各国の首相たちは顔をしかめた。首相たちの護衛が避難を呼びかける中、その1人の軍人は、大統領の目の前に立って、握手を求めた。

「ペガスス星からの使者だ。護衛への無礼は詫びる」

大統領は余裕な表情で、ペガスス星の使者と名乗るその軍人に訊いた。

「用件は何だ?」

「話し合いがしたい」

「話し合いだと?」

「24時間以内に、ペガスス星系から衛星を撤退させること。可能か?」

大統領は鼻で笑った。

「お前は自分が宇宙人だというのか?証拠は?」

「我々から見れば地球も宇宙の一部だ」

「拒否する。話し合いがしたければ証拠を見せろ。お前がそのペガスス星人だという、証拠をな」

大統領に近づいたその男は、表情1つ変えずに答えた。

「承知した。攻撃はするな」

突如、その男の背中に鋼鉄の翼が伸びた。首も顔も長く伸び、軍服は破れて黒い目をした白銀の肌に変化した。大統領は目を見開き、部下の軍人たちに命令を下した。

「宇宙人だ、撃ち殺せ!」

マシンガンでその”使者”を撃つ軍人たち。しかし、その攻撃はペガスス星の使者には通じなかった。大統領は後ずさりしながら言った。

「ビクともしないだと、化け物め!」

ペガスス星の使者が大統領に迫る。1歩、2歩。

「攻撃はするなと言ったぞ、大統領。交渉は決裂だ」

ペガスス星人は大統領の襟首をつかんだかと思うと、そのまま背中のジェットであっという間に空に飛び去ってしまった。大統領がさらわれた。事態はそれに留まらなかった。電脳戦艦プロメが突然起動し、宙に浮いた。各国の首相が見ている間に、電脳戦艦プロメの白銀の巨体も空へと飛び去った。

このニュースはA国のアパートの3階にも伝わった。冷蔵庫の中身を物色中のホノカと、リビングにはアリーヤがいた。アリーヤはテレビを観ていた。

「ねえ、ホノカ。ニュースでやってるプロメって何なの?」

「よくわかんない。あ、冷蔵庫にアイスがあるよ!アリーヤはイチゴ味とバニラ味、どっちにする?」

アリーヤは胸騒ぎがした。ジュリア副長から通信が来た。

「アリーヤ隊長、無事ですか?」

「無事って?」

「ペガスス星系から地球に向けて、謎の電波と飛行物体をキャッチしました。我々も地球へ向かいます」

「わかった」

アリーヤが立ち上がると、ホノカはアリーヤの手を掴む。

「行かないで」

アリーヤはにっと笑ってホノカをなだめた。

「だいじょーぶ!すぐ戻るから」

「私も連れてって」

「……え?」

アリーヤは戸惑った。愛する親友を宇宙へ連れて行って、何かがあったら大変だと思った。ホノカがアリーヤの手を握った。

「宇宙へ行くんでしょ?私も手伝う。」

アリーヤはホノカの目を見た。真剣な目だった。

「宇宙は危険だよ。それでもついてく?」

ホノカはにっと笑った。

「宇宙を平和にするんでしょ?アリーヤの宇宙を、私も守りたい。」

アリーヤはふっと笑って転送機のスイッチを押した。

「一緒に行こう、ホノカ」

2人の体は転送機の光に包まれた。

地球の軌道上。スコーピオン号の内部に、アリーヤとホノカは転送されてきた。副長とナリナァがキョトンとする。ナリナァが訊いた。

「おや、アリーヤ。その娘は誰だい?」

「説明は後!某国大統領が謎のペガスス星人にさらわれたって、ニュースでやってた!助けるよ!」

ホノカはスコーピオン号の内装と周囲の地球人と宇宙人の隊員たちを見てポカンとしていた。ローラ隊員がホノカに声をかける。

「お久しぶりです、ホノカ」

「あ、え、ローラさん!」

「アリーヤ隊長はこれから忙しいので、私が事情を説明しますね!」

スコーピオン号側が集めた情報はこうだった。ペガスス星からの3つの飛行物体は高速で移動し、地球の軌道上で姿を消したらしい。大統領をさらったペガスス星人は行方をくらまし、地球が作った電脳戦艦プロメも、行方が分からないという。アリーヤは隊員たちに指示を出す。

「まずはプロメの行方を追う。プロメを止めたら大統領をさらったペガスス星人と飛行物体の関係性も探ろう」

その時、メイティン隊員が叫んだ。

「前方にペガスス星人が出現!大統領も確認!」

ペガスス星人と大統領は宇宙空間に静止し、こちらを観ていた。アリーヤは前方のペガスス星人に通信をした。

「こちら救助隊ピンク・スコーピオン!地球の某国大統領とプロメを地球に返してください!」

ペガスス星人はすぐに応答した。

「よかろう、大統領は返却しよう。しかしプロメは渡せぬ」

スコーピオン号の内部に、大統領が転送されてくる。近くにいたナリナァにぎょっとする大統領。

「なんだ、お前らは!侵略者の仲間か?」

アリーヤは反論をする。

「違います!私たちはピンク・スコーピオン‼宇宙を助けます!」

地球軌道上。漆黒の宇宙に白銀の巨体が浮かんでいた。電脳戦艦プロメ―地球防衛の要にして、人類の叡智の結晶。それが今、人類に牙を剥こうとしていた。

つづく


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ