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ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
3/22

#3 旅人

挿絵(By みてみん)


 その惑星は赤く輝き、ソドムと名付けられている。

かつてアリーヤが戦った、宇宙犯罪者デッド・オリオンの基地がそこにあった。

デッド・オリオン幹部であり地球へ派遣されていた、司令官ナンバー06と、その部下ジュリアが、基地に帰還した。

「リストに御座います、地球人の子どもを全員連れてまいりました。」

06は得意げに、デッド・オリオンのボスに報告をした。オリオン座のマークをつけた玉座に座るオリオンのボス。

「ふん、子どもか。強制労働所まで連れて行け。」

「は?と、申しますと……」

「さっさとつれて行かんか!いいか?ユルグとドグマを失望させるな」

ボスは叫んだ。ナンバー06は不服そうに、さらって来た200人を強制労働所まで連れていくよう、部下のジュリアに命令した。

06とジュリアは廊下を歩きながら、その場を去った。

「ふん、リストだと?そんな役にたたん指示を誰が出した?我らの目的は銀河征服!時空移動システムにしても、我らが新たな領域、領土を得るために使用したのだ。それを破壊されたばかりか、土産は役に立たん地球人の子どもとは、これがユルグに知れたら、デッド・オリオンの恥さらしよ!より多くの資源を発掘し、保有する事によって、我らは栄えるのだ!」

組織のボスはそう言って、ナンバー06を謹慎処分にした。


宇宙。それは光と闇が混ざり合う世界。ピンク色に発光する飛行物体が、緑豊かな惑星ブルームへと向かっていた。



 セリアとリリイ、エドナは医学研修生である。3人は、惑星ブルームの森林でピクニックをする事にした。

「キレイな森ね」

「あそこに川も見えるよ!」

リリイとエドナは、はしゃいでいる。

「2人ともはしゃいじゃって。川なんかコロニーにもあるでしょ」

セリアは遠くから、2人の様子を見ている。

3人は宇宙の人工居住地・スペースコロニーから来たようだ。


2日前、リリイとエドナは惑星ブルームにある森林でのピクニックを企画し、セリアも参加することになったのだ。

「くっだらない!森なんて何がいいの?スペースコロニーの最新の設備の方が、断然いいに決まってるわ!」

そんなセリアをよそに、2人は川で遊んでいる。

リリイとエドナは、森で洞窟を見つけた。

リリイが言う。

「この洞窟、何かいるかしら?」

エドナが返事をした。

「幽霊が出たりして」

2人の会話にうんざりしたのか、セリアが口をはさんだ。

「幽霊ですって?バカバカしい!入ってみれば?」

セリアたちは洞窟へ入っていった。

リリイが腕時計型の機械で地面を照らす。

「見て!足跡があるわ!」

洞窟を照らすと、何者かの足跡が続いていた。

するとその奥の地面には、落とし穴のような、大きな穴があった。

セリアは言った。

「あら、幽霊は穴に落ちちゃったようね!無様だわ!」


セリアがそう言った瞬間、彼女は足を滑らせ、そのまま、落とし穴に落ちてしまった。

穴の向こうは洞窟の出口になっており、そこには苔の生えた森が広がっていた。セリアは完全に迷ってしまった。

と、そこへ惑星ブルームの宇宙ジカが駆け寄ってきて、セリアに対して威嚇した。ブルームの宇宙ジカはこの星に生息する爬虫類。緑の眼は怒りに染まり、今にも突進してきそうだ。セリアは戸惑う。

「ちょっと、何!?」


「静かに!」



ふと、彼女の背後から声をかけた者がいる。


「そっと、立ち去るよ」

2人は静かに後ずさりした。宇宙ジカは襲ってこず、やがて森の奥へと去っていった。

セリアに声をかけたその人物の案内で、セリアはリリイ、エドナと合流出来た。

「Hi! 私はアリーヤ!旅人さ!」



アリーヤは空腹に困っていた。

森の中で謎の木の実を見つけたが、警戒して食べずにいた。

「その実は毒の実よ。食べちゃダメ」

リリイは言った。リリイは、アリーヤにパンやサラダなどをご馳走した。

その代わりにアリーヤは、リリイやエドナ、セリアの集合写真を撮り、3人に与え、こう言った。

「記念にどうぞ」


写真を受け取り、エドナはたずねる。

「アリーヤはどこから来たの?」

「地球だよ!宇宙を平和にするために、旅をしてるんだ!」

アリーヤは答えた。


「宇宙の平和?」


「そう!みんなの笑顔を守ります!」

リリイやエドナとすっかり打ち解けたアリーヤ。

ただし、セリアだけは彼女と打ち解けようとはしなかった。

その様子を、足跡の主であろう人影が、森の奥で見張っていた。


夜、その人影は動き出した。人影はアリーヤ達のいるテントに侵入し、近くにいるエドナの手を取り、彼女をさらった。

「だれか、助けて!」

エドナが叫んだ。


リリイがその様子を目撃し、セリアとアリーヤに伝えた。

「大変!エドナがさらわれたわ!」

セリアは頭をかきながら、リリイに言った。

「コロニーのケーサツに届け出すにも遅くなるし」

アリーヤは立ち上がる。

「私がエドナを助けに行くよ!」

リリイが止めに入る。

「まって、アリーヤ!危ないわよ!」

リリイが止めるのも聞かず、森へと進むアリーヤ。

けもの道を見つけ、やがてアリーヤは宇宙人の本拠地であろう廃墟にたどり着いた。

「ふつう、廃墟には持ち主が居るから入っちゃダメなんだけど、ここには警察も居ないし、エドナを助けなきゃ!」

そう言って入口に入るアリーヤ。そこで、暗闇で青白く発光する奇妙な宇宙人に、アリーヤも捕まった。


その頃、惑星ソドムでは……

「何、ナンバー06が捕まえた捕虜が逃げた?」

オリオンのボスが叫んだ。

「ナンバー06が捕らえた200人のうち、7人が逃げた模様です」

オリオン幹部であるナンバー01が答えた。

「ええい、捕まえろ!」

デッド・オリオンのボスは、怒りのキモチでいっぱいだった。



つづく……


注・廃墟には持ち主がいるので、入らないようにしましょう。誰かが廃墟に連れ去られたら、ケーサツを呼んでね。

©2023MizushibaRoku

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