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ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
28/61

#28 ホノカとの再会

挿絵(By みてみん)

惑星・地球軌道上。漆黒の宇宙に浮かぶ白銀の巨体。電脳戦艦プロメは、地球防衛の要にして、人類の叡智の結晶。それが今、人類に牙を剥こうとしていた。

A国。とある高等学校から友人と別れて、一人で下校中の女子生徒がいた。名前はホノカ。黒髪の三つ編みヘアの彼女は、夕暮れの中、車通りの少ない道路を歩いていた。毎日が物足りない。学校生活は苦ではないが、単調な毎日だった。期末テストが終わり、春休みに入ろうとしていた。あと1年で、学校を卒業する。友達ともあと1年でお別れだ。連絡先の交換はもちろんしている。だが、友達も進学とか就職活動で忙しくなるだろう。

「将来ねぇ、どうしよっかな」

卒業1年前になっても、ホノカには将来のビジョンがなかった。安定した生活のためには、将来のことはきちんと考えて行動しなさいと、先生も親も言ってくる。正直、うるさかった。あの人達が敵ではないのは分かる。分かるのだが、分からなかった。自分自身が何者なのか、ホノカは分からなかった。宇宙へ行きたい、と正直に答えたら、宇宙飛行士になりたいならもっと頑張りなさい、あるいは、高校生なんだからもっと現実的な夢を追いなさい、と言われた。空を見上げるホノカ。半月前に転入して、その後すぐに転校した親友がいる。ホノカは親友の顔を思い浮かべた。

「ホノカ」

背後から声がした。ホノカはハッと目を見開いた。聞き覚えのある声だ。振り向いた。

「アリーヤ!」

親友だ。半月前に転校した親友が、そこにいた。アリーヤ・カルティエは、驚きの表情を浮かべるホノカに駆け寄ってきて、ハグをした。

「ただいま、ホノカ。」

ホノカもアリーヤをハグした。

「アリーヤ、戻って来たの?」

「必ず戻るって、言ったでしょ?遅くなって、ごめんね」

「もう2度と会えないかと……」

「大げさだなぁ、ホノカは。ちょっと宇宙に行ってきただけだよ」

2人は歩きながら雑談をした。

「それでね、進路の先生がうるさいの。面接ではおじぎの角度がどうとか、なんか色々言われちゃってさ……」

「そうなんだ」

アリーヤは相槌をうって、ただ聞いていた。ホノカはアリーヤの手を引いて、近くの公園に行こう、と誘った。

「この近くにサヤカ公園があるんだ。そこで話しようよ」

ホノカはコンビニでサンドイッチを買って、公園でアリーヤに半分分けた。

「はい、アリーヤの分!」

「ありがと、ホノカ」

アリーヤはホノカの頬に軽くキスをして、サンドイッチを食べ始めた。ホノカが訊ねる。

「アリーヤはさ、宇宙に行ってきたの?」

「うん。惑星コクガに行って、銀河を救ってから2,3個の惑星で救助活動してた。」

「すごいね。コクガって聞いたことない星だけど、どんな星なの?」

「彫刻が盛んな星だよ。コクガ星人の彫刻家が、他の惑星の依頼主さんをモデルにして、彫刻を彫って売ってるの」

「へぇー、面白い星だね!私も行ってみたい!」

「今からだと10日はかかるよ?」

「あ、それはちょっと困るかも。私、学校あるし。月とか火星は行ったの?」

「月と火星かぁー、そういえばまだ行ってないなぁ」

「へぇー、以外!」

「そう?」

2人が笑いあってると、夕陽が沈んで来た。

「そろそろ帰らなきゃ。アリーヤ、連絡先、交換できる?」

「うん!」

アリーヤは小さなデバイスをホノカに手渡した。スマホではない。ホノカが訊いた。

「これは?」

「宇宙にいても通話ができる宇宙電話だよ。ホログラムで顔も見れる」

「すごいね」

「そこのボタンを押すと私と連絡できるから。出られる時とそうじゃ無い時があるけど、その時は折り返し連絡するよ。じゃ、帰ろっか」

「あのさ、アリーヤ」

「何?」

「良ければさ、今から家、来ない?」

「ごめん。今日はママの家に泊まるんだ」

「……そっか。」

「その変わり、さっきあげた宇宙電話で連絡するから、明日会おうよ!」

「……分かった。」

ホノカは手を振って、アリーヤと別れた。ホノカは自分の心の中の、周囲の大人に対する敵意と一人で戦っていた。表向きは大人たちに従順で、でも、将来の夢も計画も何もないから、アリーヤの宇宙の話を聞いて、彼女がうらやましく思えた。

「私も、宇宙に行きたいな」

ホノカはそう言って、アパートの3階のドアを開けた。

某国。ホノカがいるA国とは遠く離れたこの国には、民間人立ち入り禁止の機密軍事施設エリア・63がある。そこの滑走路に、電脳戦艦プロメがあった。某国大統領は軍人たちにこのプロメの説明をした。

「電脳戦艦プロメは、最新型AIを内蔵した我が国の最高機密である!敵軍も、宇宙からの侵略者も、巨大サメも、このプロメのAIが適切に分析して、狙った的を的確に破壊する。諸君、人間が戦う時代は終わったのだ。これからはこのプロメが、我が国の、否、我らの地球の平和を作るのだ!」

大統領の説明が終わると、軍人の一人が訊いた。

「そのプロメが、他の星に攻め入る可能性は?」

「それは無い。プロメの目的はあくまで地球防衛だ。侵略されたら別だがな!」

大統領が笑い声を上げると、聞いていた軍の人間たちも、一斉に笑い出した。質問者を除いて。

「侵略されたら別……か」

A国の夜。ホノカは部屋で勉強していた。壁にはアリーヤとホノカが並んだ写真が貼ってある。ふと、着信音が鳴る。スマホではない。ホノカはアリーヤがくれた宇宙電話をタップする。すると、ホログラム映像でのライブチャットが始まった。

「やっほー、ホノカ!明日の待ち合わせ場所なんだけどさ」

「すごい!ホントに通話できてる!」

「宇宙の技術はすごいでしょ!ホノカはもう晩御飯食べた?」

「ううん、まだ。アリーヤは?」

「さっき朝ごはん食べたよ!ママの家って遠いからさ、時差があるんだよね」

「んー、よくわかんないけど分かった!明日会えるってことだよね、楽しみ!」

晩御飯を食べたホノカは、久しぶりに会った親友と、夜遅くまでチャットをしていた。

つづく

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