第二章 第六十六話 強襲~聖女と使徒~
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~グランside~
転移を諦め、即座に駆けだしたグランは身体強化魔法を発動した。
先ほどの転移とは異なり、身体強化魔法は発動したが、普段よりも多く魔力を使うものとなっていた。
またステータスにも制限がかかっているのか、普段の半分程度の速度しか出すことができない。
「この感覚は……以前ティナを助けた時の……」
グランはこの感覚に覚えがあった。
以前ティナを助けた時にティナを攫った盗賊の頭領が使用してきた固有技能技能封印と同じ感覚だ。
グランは即座に状況を判断し、一つの魔法を発動する。
「囲まれているか……。ただ以前同じような状況に至ってからこっちも対策をしてきたからね。疑似技能作成魔法!」
グランが発動した魔法は創造魔法で創造した、新しく技能を作成する魔法だ。
とはいってもそこまで万能なものではなく、一度見た技能の再現や、新たな作成には膨大な魔力が必要となる。
また完全な取得には至らず、一時的なものとなるため非常にコストパフォーマンスが悪い。
「本当はもう少し実験してからにしたかったけれど……まあ何とかなるだろう。発動効果反射、全能力値上昇」
グランは即座に相手からかけられた全ての効果を反射させる技能とバフの技能を作成し、発動させた。
それによってグランの魔力の半数が消費されたが、問題はないだろう。
グランは時空魔法を発動し、未来の自分から魔力を回収した。
「さて、どこの誰だかわからないが、こちらに危害を加えようとするなら……っ!?」
「っと、これをかわすか……流石聖女様が警戒するだけのことはあるぜ」
「!?」
(こいつ探知にも警戒信号にも引っかからなかった……。しかも今目の前にいるはずなのに全く気配が感じられない!)
「お前らにはいろいろ聞きたいことがあるが、とにかくティナたちと合流しないといけないんでね……。悪いけどさっさと決着をつけさせてもらうよ!」
「こっちもそのつもりだから安心しな!出し惜しみはなしだ空間管理、空凪流 肆の太刀 黒界」
「憑依:剣神ヤマト、桜栄二刀流 枝垂桜」
グランと襲撃者は同時に動き出し、それぞれの技を放った。
結果、打ち勝ったのはグランであった。
襲撃者は倒れ、その他大勢の敵を範囲攻撃で片づけたグランは身体強化を掛けなおし、再び駆けだした。
***
「やはりニコルは勝てませんでしたか……。まあSSSランク相手では無理もないでしょうが、もう少し私の技能を早く発動していれば……」
「君は……さっきの奴が言っていた聖女様とやらかな?」
「ええ、ニコルから軽く聞いているみたいですが、改めて自己紹介しましょう。私はグラハム教教皇兼聖女のリーシアです。あなたの力はとても危険なものです。よってあなたとその因子を持つ者を神の名において、排除いたします」
「ずいぶんと僕のことを買ってくれているみたいだね。ただティナたちに手を出すなら容赦はしない」
グランは先ほどから練っていた魔力を使用し、両親から教わった捕縛魔法を発動させた。
無属性、時空魔法を使用した時空属性を含む属性を組み合わせたとても強固なものだ。
しかし、リーシアは涼しい顔でそれを破り、魔法を消滅させた。
「なっ!?」
「あら、この程度ですか?やはりSSSランクと言ってもまだまだ若手、大したことありませんね」
(明らかな挑発だ……。しかしなぜあんなに簡単に破られた?全てのデバフ効果は効果反射で無効化したはず)
「不思議そうな顔をしていますね。一つネタバラシと行きましょうか。私が使用している技能はあなたの技能では無効化できませんよ」
(まあ私の技能の効果を半減させているだけで十分化け物なのですが……)
「やっぱり技能か……。まあ何となく想像はついていたけど、まだまだ手はあるしな。こんなところで時間を使っているわけにもいかないんだよ!」
グランはそう叫ぶと持てる力を全て使用し、武具神、時空魔法を発動させた。
発動させた技能を複合し、時空魔法を含有した魔剣を瞬時に作成。
また、疑似技能作成魔法を使用し、王立学園生徒会会長クリスタベルベッカの固有技能絶断を再現。
「追加で魔法剣:雷撃。これだけやれば十分だろ」
グランが放った渾身の一撃はリーシアに直撃する前に割って入った陰によって防がれてしまう。
またその陰に直撃すると同時に、グランの魔剣は跡形もなく粉々に砕け散った。
「まったく、視野が狭くなっていますね。私が相手をするまでもありません。あなた方にお任せしますイリナ、エリナ」
「はい!お任せください聖女様!すぐにあのものを血祭りにあげて見せましょう」
「ちょっとお姉ちゃん!口が悪いよ!まあ言っていることは賛成だけど……」
(追加でかなりの実力者が二人か…。魔剣が壊れたのはあの二人の固有技能の効果か?)
「「じゃあやっちゃおう!」」
「!?転移!結界魔法!」
「転移は厄介なので封じさせていただきます」
「結界も意味ないよ!」
「グハッ……」
グランは隙を突かれた攻撃に対していつも通りの回避方法をしてしまった。
そのためリーシアによって転移を封じられ、イリナに結界を先ほどの魔剣と同様に破られてしまった。
「聖域の効果を強めます!お二人は彼の警戒を」
「「了解です!」」
「ぐっ……何をするつもりかは知らないが、黙ってやられるわけないだろ!絶対零度、再展開:魔剣クロノス!憑依:剣神ヤマト!」
「させない!」
「この氷かたいです!破壊に時間がかかります!」
「!聖壁、聖域対象:グラン・レア・ベルセリア」
「!?」
「何とか間に合いましたね……。さあイリナ、エリナ彼をとらえなさい!」
「「はい!お任せください!」」
グランが使用した氷魔法は確かにイリナとエリナに効果があり、リーシアへの攻撃もあと一歩というところだった。
しかしリーシアが放った聖壁によって阻まれ、リーシアの聖域によってグランの能力は封じられてしまった。
(聖女が使う聖域は多分対象の能力を封じ、自身と味方の能力を上昇させる能力なのだろう。先ほどから技能だけじゃなく特殊戦技である憑依も使用できなくなっている。ほかのみんなの援軍は頼れないし……)
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