第二章 第七十二話 夢幻~双子との約束~
お待たせしました!
「おやすみ〜グラン」
「おやすみなさい。また明日ね」
「おやすみナミア、エリザベート」
「ヒナタも部屋へ戻りましょう?」
「私はまだグランと話すことが……」
「もう夜も遅いんだし、明日ゆっくり話そう?」
「……わかった、おやすみグラン」
「おやすみヒナタ」
ヒナタ、ナミア、エリザベートが部屋へ戻り、一人になったグランは翌日に備えて眠ることにした。
翌日は朝ご飯を作ったら、みんなが食べている間に出発する予定だ。
グランはベッドに入るとすぐに眠りに落ちた。
***
「……ぃさん……兄さん、はる兄さん!」
「あっ!やっと気がついたね」
「陽菜、茉菜どうしたの?」
「さっきは危なかったね。なんとかなったみたいで何よりだよ」
「あの子を召喚してからいい感じで全員拘束できたみたいだし」
「はる兄さんを襲うなんて絶対に許さない!」
「あの不届き者たちは私たちの方で処理しておくから任せてね!」
「ふ、二人とも?何を言ってるの?」
「まあ、あんなやつらのことはどうでもいいや」
「それよりはる兄!私たちはご褒美が欲しいです!」
「ご、ご褒美……?」
「はる兄さんってたまにこっちの世界に戻ってきてるでしょ?」
「なんでそれを?って顔してるね。私たちははる兄の妹だよ?それぐらいわかるんだから!」
「ということでもし次にこっちの世界に帰ってきたら一緒にデートしてもらいます!」
「まあ、それぐらいならいいけど……。二人はこの世界であったことの記憶があるの?」
「もちろん!はる兄さんとはそういう約束だからね」
「???」
「まあ詳しい説明はまた後でするとして、次に来るときは絶対に教えること!いいね?」
「わかったよ。じゃあまたあった時に話をしよう」
「それじゃあ私たちはそろそろ行くね」
「また絶対に会おうね!」
グランが眠りにつき、夢の中で待っていたのは前世の妹陽菜と茉菜であった。
二人は襲撃の後のことを知っているみたいで、いろいろな話をした。
少し不穏なことも行っていたように感じるが、次に会えることを楽しみに、深い眠りへと落ちていくのであった。
***
~ティナside~
「グラン!おはよう!」
(あれ?この時間に起きてないなんてグランにしては珍しいな……)
(もしかして……グランの寝顔を見るチャンスなんじゃ?)
時刻は朝の7時。
グランを起こしに来たティナはグランの反応が全くないことに驚いていた。
普段グランはかなり朝早くに起床し、鍛練をしている。
ティナたちが訓練場に行くと必ずグランがいたのはそのためだ。
そのためティナたちは誰もグランの寝顔を見たことがなかった。
グランの寝顔を見れるかもしれないという欲望に負けたティナはこっそりとグランの部屋に入ることにした。
ティナは自分の意思とは関係なくぶんぶんと振れる尻尾を抑えつつ慎重にドアノブに開錠の魔法をかけた。
開錠の魔法は以前グランが捕まった際などに逃げられるようにティナたちに教えていたものだ。
この魔法は無属性に分類され、全員が問題なく使うことができた。
(グランの部屋鍵が開いてる……?開けっ放しで寝ちゃったのかな)
「グ、グラン……?おはよう~」
「あ、おはようティナ」
「!?」
そこにいたのはいまだすやすやと眠るグランと裸で近くに寝転ぶヒナタの姿であった。
驚き大声を出したティナのもとに集まってきた女性陣と、その騒ぎで目を覚ましたグランは朝から修羅場を迎えるのであった。
***
~グランside~
「まあ事情は分かったけど次からはせめて服ぐらい着てよね!」
「わかった……。ごめんティナ」
「そしてグランもいくら知り合いしかいないからって鍵はかけてね!」
「はい。すみませんでした……」
「じゃあご飯にしよう!なかなかグランが起きてこないからみんなで朝ご飯作ってたんだよ?」
主にグランへの説教が終わると全員で朝食を食べた。
朝食はナミアとエリザベートが主導で作ってくれたらしい。
前日のうちに色々な食材を冷蔵庫に入れていたおかげで二人も楽しかったそう。
朝食はフレンチトースト、サラダ、コーヒーだった。
朝食をおいしくいただいたグランたちは早めに水都へと向けて出発するのであった。
「それじゃあ出発しようか!」
「予定ではお昼前に水都へ着くのよね?」
「じゃあお昼は水都で食べる感じだね。エリーはなにが有名か知ってる?」
「水都の名物は都に張り巡らされているきれいな水路でとれる海産物ね」
「じゃあ海鮮料理が食べられる場所を探そう!」
前日と同じように御者席に座るグランの両隣に座ったナミアとエリザベートはお昼ご飯の話をしていた。
水都は都のいたるところに水路があり、それらはダイナース王国南西部に面する海から流れ込んだものだ。
水路では常にゴンドラが稼働しており、一種の交通を担っている。
また海水のため魚などの海洋生物も普通に生息している。
グランは二人の話を聞きながら、考え事をしていた。
(昨日聖女は残党が王都にある貴族屋敷にいるといっていた。奴らの規模から考えるとそろそろ連絡がないことを疑問視するはずだ)
「グランはどこがいいと思う?」
「私たちはここがいいと思うのだけれど」
(やっぱり康太さんに伝えて、先に残党とカーネギー家、盗賊団団長を抑えてもらったほうがいいか。念のため父様と母様にも伝えておこう)
「「グラン?」」
「ああごめん。少し考え事をしていたよ」
「昨日の奴らのこと?」
「旅行が終わってからにしようってグランが言い出したんじゃない」
「二人にはおみとおしだね。やっぱりカーネギー家と盗賊団団長が気になって……。先に康太さんと父様、母様に伝えておこうかなって」
「残りの勢力で襲ってくるかもしれないの?」
「やっぱり連絡が一向に来ないんじゃ相手もこちらをいぶかしんでくるだろうからね」
「じゃあ連絡だけ入れてあとは大人に任せちゃいましょう?せっかくの休日なんだから」
「そうだね。そうするよ」
そんな話をしているうちに水都へと到着するのであった。
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