第二章 第七十話 報告~夕食と事の顛末~
お待たせしました!
グランが居間で夕食の準備をしていると、カノンがこちらへやってきた。
「お兄様!今日の夜ご飯は何ですか?」
「今日はハンバーグとコーンスープにしようと思うよ」
「はんばーぐ?どんな料理かはわかりませんが楽しみです!」
「ほかのみんなは?」
「まだそれぞれの部屋にいますよ。……お兄様」
「どうかしたかい?」
「先ほどは助けていただき、ありがとうございました。また私はお兄様に助けられてしまいましたね……」
「どういたしまして!妹を守るのはいつだって兄なのさ!とは言ってみたものの今回みんなが無事だったのは間違いなくカノンのおかげだよ」
「……なんで?」
「今回僕は転移が封じられて、すぐにカノンたちのもとへ行けなかった。でもカノンがとっさの判断で結界を張って、みんなのことを励ましてくれたおかげで時間が稼げたんだ」
「私はしっかりと動けていたでしょうか……」
「ああ!兄としてカノンのことを誇りに思うよ!カノンのおかげでみんな助かったんだ!」
「よかった……。私はいずれお兄様の隣に立ち、ともに進んでいきたいと考えています。これからもどうぞよろしくお願いします!」
「こちらこそ改めてよろしくね。でも本当にカノンの結界はすごかったよ!まさか僕が使用した魔法を耐えきるとは思わなかった」
「そういえばステータスにいろいろ追加されていたんですが何かわかりませんか?なぜか固有技能が四つあるのですが……」
「その話についてはあとで私からする」
「ヒナタ!早かったね。先に紹介しておくね。この子が妹のカノン・レア・ベルセリアだよ」
「カノンです!よろしくお願いしますヒナタ様!」
「ん。私はヒナタ・レア・ベルセリア。グランの霊約精霊。よろしくカノン」
「!?ヒナタ様は精霊様だったのですか?」
「ん、そうだよ?私は精霊皇なの」
「精霊皇って、この世界で一番最初に魔法神サノヤスと生命神バイアスによって生み出されたと伝わる伝説の……?」
「まあ伝説かはわからないけど私が魔術を作った」
「二人とも話しているところ悪いけどそろそろ出来上がるからほかのみんなを呼んできてくれる?」
「わかった」
「わかりました!」
***
ハンバーグとコーンスープを作り終えたグランが空間収納から取り出したのは地球で買ってきたパンであった。
陽翔が住んでいた地域では全国的に有名なパン屋が数多く並ぶ場所があり、そこで先日認識阻害魔法を駆使し、陽翔や浪華、恵梨香の情報を集めながら久々の日本でたくさん買い物をして帰ってきたのだ。
またパンのほかにも非常食やインスタントラーメンなどの日持ちするものから生ものやケーキなどの足が速いものまでたくさん買い込んできた。
まだナミアやエリザベートには伝えていないが、二人も大喜びすることだろう。
グランはパン屋で調達した食パンやフランスパンを火魔法で軽く表面を炙り、食卓に並べたところでほかのみんなを連れたカノンとヒナタがやってきた。
グランはデザートの準備をしつつ、全員を食卓に座らせた。
「じゃあ冷めないうちに食べようか」
「久々にグランが作ったごはんを食べる気がするよ!」
「私も久しぶりね。ところでグランこのパンは一体……」
「やっぱり二人は気が付くと思っていたよ!」
「ヒナタ様!一緒に食べましょう!ティナお姉様も!」
「わかった」
「いいよ!はじめまして!私はティナ!よろしくね!」
「ヒナタ・レア・ベルセリア。グランの霊約精霊。よろしくね」
「アレグこの肉食べたか!?めちゃくちゃうまいぞ!?」
「このスープも素晴らしいよ!まさかコーンにこんな調理方法があったなんてね」
「二人の言う通りですねお姉様!こんなに柔らくてジューシーなお肉は食べたことがありません!」
「本当ね!まさかグランに料理の才能もあったなんて……多才すぎるでしょ……」
各所で思い思いに話をしながら食事をし、ある程度落ち着いてきたところでグランはヒナタの紹介と情報の共有を始めた。
「じゃあみんなそろそろ食べ終わってきたみたいだし、本題に移ろう。まずさっきも軽く紹介したけど、この子はヒナタ。僕の霊約精霊だ」
「ん、精霊皇のヒナタ・レア・ベルセリア。よろしく」
「まさかグランが神獣だけじゃなく精霊とまで契約しちまうとはな」
「しかも精霊皇ときた。近頃やっと追いつけるかもと思い始めていたが、どんどん遠ざかっていくね」
「そして今回の襲撃についても軽く相手から情報を引き出してきた。まずは相手のことだが、最近よく耳にするグラハム教の聖女をはじめとする全勢力だった。残党はダイナース王国王都に数人いる。そして今回の件に関わった外部の人間が二人いた。一人目はダイナース王国の貴族、もう一人はワラントを根城にする大規模盗賊団の団長だ。今は二人とも王都にいるらしい」
「ちょっと待って!?私たちを襲撃した相手の協力者にうちの国の貴族がいたの?」
「その貴族は誰なのでしょう」
「名前は聞いてもわからなかったけど、どうやらその相手が協力する条件として、ティナの身柄を差し出すことを提示したみたいなんだ」
「!?それってもしかして……」
「さらに今回の襲撃中に技能が使えなくなったと思うんだけど、その原因にも心当たりがあるんだ。その原因は昔ティナを助けた時に賊の長が使用していた固有技能技能封印と同じだと思う」
「やっぱり」
「ティナ、前に結婚を申し込んできた貴族がいるって話をしてくれたと思うんだけど、誰からの申し込みだったか覚えてる?」
「確か……カーネギー家だったはず」
「僕がティナを助けた際に引き渡した奴らの記録も確認してみたんだけど処刑の担当がカーネギー家だったんだ」
「確かカーネギー家はあまり評判の良い家ではなかったはずです。お兄様も耳にしたことがあるのでは?」
「あとはあの一族には不思議な力を持った人が多いって聞くわね」
「だとやっぱりカーネギー家が怪しいとみて調べたほうがよさそうだ」
「ちなみに今あいつらはどこにいるのかしら?」
「魔法で捕縛して僕の次元牢獄に放り込んであるよ」
「じゃあ帰ったらお父様に報告しなくてはいけませんね」
「今日はもう夜も遅いしここまでにしよう。明日も朝早くから移動するからね」
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