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婚約破棄された聖女様に次の婚約者として選ばれたのは世界最強の傭兵でした〜怖がられてると思ったが俺の溺愛がダダ漏れだった〜  作者: 久方久米


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第7話『眠るまで離してはやらんぞ』 (脳内:悪どい魔王の闇の誘いじゃないかよォォォォ!!お膝でおやすみなマイエンジェルがサイカワすぎるだろォォォォ!!)


 マイエンジェルと二人きりの密室。


 ここは、聖女アリシアの寝室だ。


 俺は無表情のまま、凄まじい威圧感で立ち尽くしていた。


 だがしかし……中身はまったく違う。


 さっきの風呂上がりの色気から、俺はしばらく昇天していたのである。


 キュンキュンして……ぶっ倒れたのである。


 つまり……『キュン死』ってやつだ!!


 必死で血液の沸騰を抑え込み、冷酷な男の顔(※表面上)を取り戻してから、今日はアリシアたんにおやすみを言いに来た次第です。


 いかんいかん、また怖がられる。


 スマイルを維持せねば。


 (アリシアたァァァァん!!可愛いすぎて……命がいくつあっても足りないよォォォォ!?こんなお姫様の姿なんて……誰にも見せてなどやるものかァァァァ!!)


 アリシアたんが聖なる光に包まれているからか、浄化されそうになって、本来の目的を忘れてしまいそうになる。


 おやすみだけを言いに来たんじゃない。


 『寝かしつけ』に来たんだ!!


 今日は失敗続きだったけれど、本日最後の挽回のチャンスなんだ。


 とっておきの秘策を用意した。


 ──安心して眠ってね……アリシアたァァァァん!!


 「──さぞ、寝心地が悪かろう。眠くなるまで相手をしてやる。まぁ……一瞬だろうがな」


 (不眠症になるわァァァァ!?自白を促しながら……寝ずの拷問をする魔王そのものじゃないかァァァァ!!違うからね!?マイエンジェルの疲れを癒したいだけなんだァァァァ!!ボクのバカヤローォォォォ!!)


 「──はいっ!?──」


 (うそっ……よねっ……!?今日は超激甘に甘やかしてくれていたのに……眠たくなる時までずっとそばに居てくれるの!?こんなにっ……愛してくれていいのかしらっ……!?こんなことされたらっ……めろめろになっちゃう〜!らめなのぉ〜!)


 アリシアたんは、呼吸が乱れて、息苦しそうに苦しみ出した。


 俺には経験が無いんだけど、人はあまりの恐怖を植え付けてしまうと緊張により、一時的な呼吸困難になるのだという。


 そして、その恐怖を植え付けた者がいる。


 つまり……この状況を整理することにした。


 (あっかーん!?また怖がられたァァァァ!!どうしようこれェェェェ!?アリシアたんが死んじゃうよォォォォ!?息をしてェェェェ……マイエンジェル!!!!)


 やはり、一時的なものだったらしい。


 過呼吸は、すぐに収まってくれた。


 ボクの不本意な威圧する魔眼のせいでまたアリシアたんを怖がらせてしまうなんて……。


 ──アリシアたんの神聖な結界でボクを焼き払ってください!!


 ──こんがり強火でお願いします!!


 それでも……万が一がある。


 死ねなかったら負のスパイラルじゃないか。


 絶対に今よりも怖い顔をした化け物になるじゃないか……。


 ここで怖がらせてしまったこと全てを帳消しに出来る……それほどの破壊力を持った作戦を決行してやる。


 ──使うなら今だ!!


 マルーンレッドのラウンジチェアに座って、頬杖(ほおずえ)をしながら、足を組んでキメ顔で言ってやった。


 「──眠るまで離してはやらんぞ。何が望みか……答えてみろ」


 (闇の誘いィィィィ!?人間を騙す……悪どい魔王じゃないかよォォォォ!!眠るために必要なものが分からないんですゥゥゥゥ!!他力本願なんですよォォォォ!!あっ、ちょっと今あくびした……ちょーかわいいんですけどォォォォ!?)


 アリシアたん任せに……したかった訳じゃない。


 俺に必要なのは、彼女とのこれからのコミュニケーションなのである。


 アリシアたんの好きなものなど、何も知らないのだ。


 その為の問いだった。


 それがこれですよ。


 魔王が口車に乗せて陥れようとしてるじゃん。


 ボクの不本意なる語彙力を恨むしかない。


 「──お膝にっ……座りたいっ……ですっ!?──」


 (これはっ……傭兵様に甘える絶好のチャンスだわっ……!でも大丈夫かなっ……いいえ、大丈夫よ私っ!きっと許してくださるものっ!独り占め出来るなんてっ……幸せすぎてっ……蕩けるのぅ〜!もう……らめぇ〜!キュンキュンしちゃう〜!)


 「──なん……だと!?──」


 (アリシアたァァァァん!?マイエンジェル!?一体どうしたの……お膝の上なんかに乗ったりしてェェェェ!!やっばい、体が柔らかい……ちっちゃくて、かわちいィィィィ!!昇天しちゃうだろォォォォ!!ボクちゃん浄化されるゥゥゥゥ!?)


 冷徹に感情を押し殺しながら、アリシアたんは呟いていた。


 まるで……『殺さないで』と、懇願しているようにしか見えなかったんだ。


 命惜しさに無理やりにでも、服従の態度を示すアリシアたんに酷く申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


 いわば……無力な女の子のせめてもの命乞いだった。


 「──これでっ……眠れそうですっ……!──」


 (傭兵様っ……温かくて眠たくなってしまいますぅ……!今日は一日中ずっと幸せでしたっ……!あぁ、傭兵様に抱きつきたいけど今日は我慢よっ……!明日はもっとイチャラブしちゃうんだからっ……!キュンキュンが止まらないのぉ〜!)


 「──そ、そうか──」


 (そんな訳ないだろォォォォ!?魔王に殺される覚悟が決まったお姫様じゃないかァァァァ!!違うからね!?永眠しなきゃならないのは……ボクの方なんですゥゥゥゥ!?許してください……アリシアたァァァァん!!あ、ウトウトし始めた。このまま寝ちゃうのかな。もう思う存分に寝ちゃってくれェェェェ!!最強にかわいいじゃないか……サイカワァァァァ!!!!)


 このままってのも、そんなに悪くない。


 というか、一生このままでも構わないぐらいだ。


 ゆっくりと、アリシアたんは眠りに落ちてしまった。


 重く冷たい言い方になってしまったが『おやすみ』とは確かに言えたんだ。


 聞こえていたかは……分からないがな。


 今日も今日とて、アリシアたんの甘やかしには大失敗をしてしまった。


 だけど、何も今日に限った話しではないからだ。


 ちゃんと、明日は来る。


 明日は、友人の傭兵ギースが屋敷に挨拶に来るらしい。


 最大限……利用してやる。


 なんだか、悪知恵が働いてしまった。


 この友人ギースに、アリシアたんを自慢しまくって、デレッデレにさせればいいのでは……!?


 ──新しい計画が動き始めた。


最後までお読みいただきありがとうございました!


無事に(?)お膝の上で寝かしつけ(命乞い?)が完了しました。

ギースという新たな被害者……もとい犠牲者が現れる次回、一体どうなってしまうのか……!


「アリシアたんが可愛かった!」「ポンコツ傭兵の脳内絶叫に笑った!」と思っていただけましたら、

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次回投稿も明日12時頃です。

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