第6話『溶岩と泥沼……どちらか選ばせてやる』 (脳内:魔王の拷問部屋じゃないかよォォォォ!!岩盤浴と泥風呂ですゥゥゥゥ!!)
マイエンジェルと共に夕食を取ることにした。
相変わらず、出てくる料理に恐怖を抱いているようだ。
未だに、聖女様からの信頼を得ていないみたいだ。
どうしてこうなってしまったのか……。
(アリシアたァァァァん!?ボクが毒味しましょうかァァァァ!?……ってダメだったァァァァ!!ボクは素で毒耐性があるから無駄じゃないかよォォォォ!!安心してね!?ボク……人間だからね!?不死の魔王じゃないんだァァァァ!!)
毒味役の仕事は、メイドがやってくれていた。
いいなぁ……ボクがしたかったのに仕事を奪うな!!
今日は、愛の力により店舗買収、及び、屋敷常設化と、意外とマイエンジェルが攻撃的になるという……最悪のハプニングもあった訳だ。
風呂にでも入り、ゆっくりして、早めに寝室へ行こう。
男女で一応、お風呂は分けているけれど、アリシアたんの心の疲れもあるはずだ。
先にゆっくりリラックスさせるべきだな。
椅子の肘掛けに持たれかかり、足を組みながらバシッと決めてやる!!
「──おい、ゆっくりしてきたらどうだ。溶岩と泥沼……どちらか選ばせてやる」
(ただの魔王の拷問部屋じゃないかよォォォォ!?また良くない方向に……言葉がねじれてしまったァァァァ!!違うからね!?岩盤浴と泥風呂ですゥゥゥゥ!!美容に良いんです……信じてくださァァァァい!!マイエンジェルゥゥゥゥ!?)
「──はいっ……!?──」
(うそっ……うそよっ……!昼間もあんなに甘えさせてくれたのに……今夜も激甘なのぉ〜!?大浴場だけじゃないっ……!?もしかして、高級リゾートも完備しているのかしら!?どこの屋敷にそんなものあるのよっ……信じられないわっ!もうらめぇ〜!心がきゅんきゅんしてとろけちゃう〜!)
魔王の威圧でアリシアたんは、完全に萎縮してしまっている。
まぁ……全部ボクが悪いんですけどね。
問いに答えることも出来ずに怯えさせてしまっていて、あまりの恐怖から身震いをさせてしまった。
なんで俺はいつもこうなるんだ……。
女心がまるで分かっちゃいない!
『もうあなたなんか大嫌いだから殺して!』なんてマイエンジェルに言われてみろ。
全身に呪いをまとって、アリシアたんに浄化されてこの世からいなくなってやる!
いかんいかん、この世からいなくなったら、もうアリシアたんに会えなくなってしまうではないか。
──やっぱりやめておこう。
くだらない妄想にふけっていると、小さくもか細い声が聞こえてきた。
俺が間違える訳がない。
──アリシアたんの声だ。
「──岩盤浴……ならっ!──」
(どうしようっ……!お肌とかツルツルになっちゃうのかな!?もっと美しくなる私を……傭兵様に見てもらっちゃったりして!?また、かっこいいセリフを言ってくださるのかしらっ……!熱苦しい愛をきっとまた……貰っちゃったりしちゃう〜!?愛されてすぎて……溶けちゃうの〜!)
「──フン、灼熱に身を焦がすか。ならば、着いてくるがいい。案内してやる」
(焼き尽くしてどぉーすんだァァァァ!?そんなマイエンジェルなんて見たかないぞォォォォ!!灼熱地獄に……誘う魔王かボクはァァァァ!!しっかりと暖まって欲しいだけなのにィィ!!)
この上なく撃沈してしまったからメイドを呼びつけて、岩盤浴場に着いてきてもらうことにした。
何もかもが空回ってしまう。
リラックス大作戦も通用しないとなると……俺はメイドにも土下座をして女心ってやつを叩き込んで欲しいと、懇願しなければならないじゃないか。
屋敷の主人として、そんな恥ずかしい真似は出来ない。
アリシアたんデレデレ計画をまだ終わらせる訳にはいかないんだよ。
これからの計画を立てている内に、浴場にたどり着く。
──暫しの別れだ……アリシアたん。
──1秒だって離れたくないけど、ボクはちゃんと我慢するからね!
「──メイドさん……これは一体……!?」
「──溶岩石ですね。体の芯まで暖まりますよ」
「──はいっ……!?──」
(うそっ……うそよ!傭兵様が言っていた溶岩ってこれ!?竜の生息する……火口で採掘出来るマグマ石じゃない!?こんなもの……どうやって入手できるのよ!?まさかっ……全部私のためっ……!?こんな入浴初めてなのぉ!体の隅々まで……おかしくなっちゃうっ!)
アリシアたんは、ゆっくりできているのだろうか。
どうせ、メイドとはうち解けているんだろう。
未だに、俺への警戒感はえげつないからな。
この際、嫌われているかなんて関係がない。
笑顔にさえなってくれていたら……ボクのハートはアルティメットハッピーだァァァァ!!
自暴自棄になっていると、アリシアたんとメイドは入浴から上がってきた。
それと、同時に俺はアリシアたんに釘付けとなる。
黒いキャミソールにショートパンツ。
風呂上がり特有の女の子の色気。
そして、何よりも……シャンプーのいい匂い!!
(めっさ、かわいいィィィィ!!真っ白いお肌もプリンプリンでチャーミングだァァァァ!!ボクはまた……こんなに美しい天使ちゃんに……進化をさせてしまったのかァァァァ!?生まれてきてくれて……ありがとォォォォ!!)
「──傭兵様っ……ありがとう……ございました……」
(こんな体験ができるなんてっ……!未だに信じられないっ……!感謝のお礼の言葉を伝えなきゃ!上手くやれるかしらっ……自信がないわ、どうしよう!?傭兵様だいちゅき〜!)
ボクのマイエンジェルは、それはもうめちゃくちゃな笑顔だった。
不気味なほどだ。
だってさ、顔は笑っているのに目が笑ってないんだ。
目のハイライトを失いながら、鬼気迫る笑顔で感謝を述べている。
(気に食わなくて怒りのあまり我を忘れてるゥゥゥゥ!?粗末な風呂を寄越しやがって……とか言ってるんですよねそれェェェェ!?ごめんなさいィィィィ!!この程度の岩盤浴なんて貴族じゃ……当たり前ですよねェェェェ!?)
リラックス大作戦も失敗に終わってしまった。
だがしかし、まだ今日という日は終わってなどいない。
お風呂がダメでも、まだ就寝が残っているではないか。
気持ちを切り替えていこう。
次なる作戦名『寝かしつけ大作戦』を決行してやろう。
次こそは、盛大に甘やかしてみせる。
昨日と同じように、土下座警備などしたくないからな。
大丈夫だぞ俺……丸一日反省してきたではないか。
ボクのマイエンジェルを何が何でも安心させて寝かせるんだァァァァ!!
ここまでお読みいただきありがとうございます!
溶岩(マグマ石)で温まってもらったつもりが、なぜか目のハイライトを奪ってしまいました……。
傭兵の「リラックス大作戦」は失敗に終わりましたが、明日は次なる『寝かしつけ大作戦』が決行されます!
「傭兵、次こそ頑張れ!」「アリシアちゃん可愛すぎる!」と思ってくださった方は、ページ下部の【★評価】やブックマーク登録をしていただけると、傭兵の脳内大爆発のキレがさらに増します!
次回の更新も明日12時頃ですので、どうぞお楽しみに!




