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婚約破棄された聖女様に次の婚約者として選ばれたのは世界最強の傭兵でした〜怖がられてると思ったが俺の溺愛がダダ漏れだった〜  作者: 久方久米


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第4話『今夜はフルコースだ。しかと、喰らうがいい』 (脳内:嫌いなもの……ボクでしたァァァァ!!)


 屋敷の案内も済ませたので、ディナーの準備をすることにした。


 無言の続く聖女様だけど……大丈夫だよな?


 だけど、俺には聖女アリシアをキュン死させるだけの必勝法がある!


 いかんいかん、キュン死はマズかったか。


 『傭兵様大好きぃ〜!!』と言わせるだけの料理を出せばいいだけの話しなんだ。


 テーブルにアリシアをエスコートして、席に着いた。


 料理が運ばれてくる時、精一杯の笑顔でおもてなしをすれば、きっと俺が抱いている愛が伝わるはずなんだ。


 「──今夜はフルコースだ。しかと、喰らうがいい」


 (なんでボクは言葉選びがいつも下手なんだよォォォォ!!魔王が強力な魔法コンボを使う前触れかァァ!?やっばい、どうしよう……目が血走ってきたァァ!!)



 「──はいっ……!?──」


 (これっ……何から手をつけたらいいの!?全てが最高級なんですけど……こんな食事が毎日だなんておかしいわっ!全部が私のためだなんてっ……傭兵様……だいちゅきですぅ〜!!)


 運ばれてくる超豪華なフルコースのことなんか、もうどうでもよくなってしまった。


 明らかに……捕食者みたいな顔つきになってしまった。


 アリシアの表情は青ざめていて、今にでも倒れそうだ。


 声も裏返ってしまって……信じてくれ。


 決して、怖がらせる意図なんてないんだ。


 意を決したのか、アリシアは前菜を口に頬張る。


 「──うぐっ……おいし……ですっ……」


 「──そうか、好きなだけ喰らうがいい!」


 (そうですよねェェェェ!!ボクの秘策である最強のコックを大金叩いて雇ったんですぅ!!マイエンジェルのためだけの独創性のある料理が毎日出てくるんだからァァァァ

!!)


 ──決まった。


 この贅沢三昧な食卓ならば、きっとウチの聖女様だって笑顔になってくれるはずだ。


 出だしは失敗してしまったけど……これでいいよな。


 (いい訳なかったァァァァ!?ウチの聖女様が涙を流してるぅぅ!?なんで、どうしてっ!?嫌いなものでもありましたぁ!?もしや……猛毒を盛ってしまったかぁ!?)


 どうしよう……なんて声をかけたらいいんだ。


 というか、弁明しても無駄なのではないか。


 きっと嫌いなものがあるとは、言いづらいんだ。


 さりげなく聞いてから、今後の方針を決めようじゃないか。


 「──おい、嫌いなものでもあるのか。食が進んでいないとは何事だ?」


 (脅してるじゃないかァァァァ!?嫌がる無垢の少女に拷問してるみたいだァァ!!違うからね!!?ボクはマイエンジェルを心配してるだけですゥゥ!!)


 

 「──いえっ!?──」


 (こんなのっ……ありえないわ!?前菜からデザートまで……みたこともない技術が使われていて美しすぎるのよ!王子の食卓がバカみたいじゃない!?こんなことされたら……傭兵様の愛に狂っちゃうっ……!!)


 「──なん……だと……!?」


 表情を悟られまいと、アリシアは顔をふせてしまった。


 ナイフとフォークをテーブルに置き、その場はまるで氷河期に入ったかのように凍りついたのである。


 この時、俺は料理に問題があるのではないと理解した。


 問題があるとするならば、気にくわない理由があるとするならば、答えは一つしかないだろう。


 (嫌いなもの……ボクでしたァァァァ!!そりゃ、こんな怖いやつに面と向かって言えませんよねェェェェ!?許してェェ!?ボクは聖女様の下僕ですゥゥゥゥ!!)


 「──ごっ……ごめんなさい……」


 (もうっ……無理ですよっ……!こんなに傭兵様から愛されたら……私、おかしくなっちゃうよぅ……!!)


 大変な失態をしてしまったようだ。


 アリシアに謝罪させるほどの恐怖を植え付けてしまったじゃないか。


 どうにか誤解を解かなければならないけど、どうせ空回りするのがオチになってしまう。


 食事は、多少食べてくれたのだ。


 文句を言っては、バチが当たる。


 寝室に案内をして少し休ませよう。


 きっと体調不良だ……そう思い込むことにした。


 「──質素だが、ここで休むがいい。心地よい眠りにつけるだろう」


 (マイエンジェルを永眠させる気かァァァァ!?トドメを刺す勝ち誇った魔王じゃないかァァ!?特注の羽毛とシルクを使ったベッドが台無しだァァァァ!!)


 「──はいっ……!?──」

 

 (こんな最高級のシルクと羽毛のベッド……私を『お姫様』として添い寝までしてくれる気かしら……っ!?)


 もうそれは、可愛いらしかったですよ。


 小動物が捕食者に見つかって、絶望感を抱きながら、震えているようにしか見えなかったんだからな。


 安心して寝てもらいたいだけなんだけどな……。


 こうなれば、もう一つ。


 とっておきの秘策を実行しよう。


 俺はもっとアリシアのことを知らなければならないんだ。


 そして……最上級に聖女様を甘やかす!!


 「──明日は、街に連れ回すから覚悟しておけよ」


 (殺害予告を延長しただけじゃないかァァァァ!?イチャラブに聖女様と遊びたいだけなんだよォォォォ!!)


 「──はいっ……分かりっ……ましたっ……」


 (これって……もしかして……デートっよね!?傭兵様とあんなことや……こんなことも出来るってこと!?もう恥ずかしくて顔が見られないっ!!明日はどんな甘やかしで来ちゃうのぉ!?心が踊って……キュンキュンしちゃうぅ!!)


 ──愛しの聖女様は、目も合わせてくれなかった。


 ──無理もないよな。


 アリシアからしたら、寿命が一日だけ伸びただけのことなんだから。


 そんな気は全くないし、なんなら過保護でも生ぬるいぐらいさ。


 もう……今日は疲れたよ。


 今夜はドアの前で警護という名の土下座をしておこう。


 (私を襲わずに優しく寝かせてくれるなんてっ……傭兵様の紳士さにキュンキュンが止まらない……っ!)


 アリシアは、どう思ってくれているのだろうか。


 明日こそは、ちゃんと挽回してやる。


 すんばらしい、ボクのエスコートでマイエンジェルの心を鷲掴みにしてやるのだ!

 

4話までお付き合いいただきありがとうございます!

傭兵の限界オタクっぷりとアリシアの愛の重さが、これからさらに炸裂していきます。


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