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第56話:四大神獣カルテット完成!〜白銀狼・真紅鳥・碧海竜・紫電鹿のモフモフ結託〜

静寂が、紫電の嵐の晴れ渡った天上界の成層圏を包み込んだ。

 天を焦がしていた荒れ狂うプラズマ放電は完全に消滅し、青空から降り注ぐ柔らかな陽光が、世界樹ユグドラシル・アクアの枝葉をダイヤモンドのようにキラキラと照らし出していた。


「ブルルルッ……!」


 神鹿がゆっくりと立ち上がった。

 全身を覆うのは、白銀の絹糸に淡いアメジストの星屑を散りばめたような、目も眩むほど美しい極上の毛並み。

 二本の紫水晶の角からは、パチパチと心地よい静電気のような金色の光の粒子が、優しく舞い散っている。

 完全に体調を取り戻した神鹿は、命の恩人であるアッシュを深く澄んだ紫の瞳で見つめると――その長い首を垂れ、アッシュの胸元へと優しく鼻先を擦り寄せてきた。

 そして。


 ポフンッ!


 心地よい放電音とともに、真っ白な煙が立ち上った。

 十メートルの巨体が、瞬く間に手のひらに乗るようなサイズへと縮小し――体長五十センチほどの、くりくりの黒目を持つ愛らしい【子鹿(バンビサイズ)】へと変身したのだ!


「ピュルルン♪」


 子鹿姿の神鹿は、ピョンピョンと弾むように跳ね回りながら、アッシュの作業着のポケットにスポッと頭を突っ込んできた。

 ポケットの中に入っていた乾パンの匂いを嗅ぎ、嬉しそうに短い尻尾をパタパタと振っている。


「はは……お前も、仲間入りだな」


 アッシュがその小さな紫水晶の角を優しく撫でてやると、子鹿は「くふぅ〜」と喉を鳴らして甘えてきた。


「雷の力を宿し、夜空を駆ける美しい鹿だから……今日からお前は『ライカ』だ」

「ピュルッ!」


 ライカは高らかに鳴いて、アッシュの掌に頬をすり寄せた。

 すると――。


「わふん!」

「ピピィ〜!」

「キュルルン!」


 テラスの陰から、コハクが駆け寄り、ルビーが舞い降り、サファイアが水槽から飛び出してきた。

 白銀の天狼コハク(大地)。

 緋色の不死鳥ルビー(天空・火)。

 碧海の海竜サファイア(深海・水)。

 そして、紫電の神鹿ライカ(雷雲・雷)。


 太古の創世神話において、世界の四方を守護したとされる伝説の【四大神獣】が、今、アッシュの周りで仲良くじゃれ合い、全員が子犬・小鳥・ミニドラゴン・子鹿の姿でモフモフと固まっていたのだ。

 コハクのフカフカの背中にライカがちょこんと寄り添い、その小さな角の間にルビーが留まり、サファイアがコハクの首に水色のマフラーのように巻きつく。

 あまりにも尊く、神々ですら拝み倒したくなる究極のモフモフカルテットの完成であった。


「す……素晴らしいですわ……! 尊すぎて、涙が出てまいりますわ……!」


 駆けつけたアフロディアが、胸の前で手を合わせて拝んでいた。

 さらに、ライカの角から生み出される純粋な生体プラズマ電力は、ガンツの設置した魔導コンバーターを通じて、天空パイプラインの超高圧ブースターポンプへと直結された。

 大気汚染ゼロ、エネルギー効率無限大の究極のクリーン電源。

 四大神獣の守護と生体エネルギーを得たアッシュの天空インフラは、神々の魔力すら超越した、完全無欠の恒久ライフラインへと昇華したのである。

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