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『婚約を押し付けられたので、第一王子殿下を脅して婚約者になっていただきました』  作者: 伊佐波瑞樹


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第51話 分かりやすい通知を作ろうとしたら、王妃様に『誰に読ませるのです?』と聞かれました


 翌日の午後、アマリリアは王妃セレーネの執務室へ向かっていた。


 窓の外には薄い雲が広がっているものの、雨の気配はない。王宮の長い回廊には午後の穏やかな光が差し込み、壁際に置かれた花瓶の白い花が、風もないのにわずかに揺れて見えた。


 隣を歩くライルは、左腕に数枚の資料を抱えている。


 いつもならディーンに持たせてもよさそうなものだが、今日は自分で持つと言って譲らなかった。


「殿下」


「何?」


「やはり私が半分持ちましょうか」


「大丈夫だよ。このくらい」


「ですが」


「昨日、君は手帳を持たずに庭を歩いた」


「それと何の関係がございます?」


「今日は俺が資料を持つ番」


 アマリリアは少しだけ眉を寄せた。


「交換条件だったのです?」


「今決めた」


「ずるいです」


「でも持たせてくれないだろ?」


「それは……」


 否定しようとして、少し考える。


 確かに自分なら、資料を持つくらいでライルへ頼ろうとはしなかったかもしれない。量が多くても、自分の仕事なら自分で持つ。それが当然だと思っていた。


 けれど最近、その「当然」が少しずつ変わっている。


「では、お願いいたします」


「うん」


「ただし、落とさないでくださいませ」


「信用ないな」


「重要資料ですので」


「婚約者としての信用より?」


「比較するものではございません」


 ライルが笑う。


 その笑い声が静かな回廊に少しだけ響き、前を歩いていた侍女が振り返りそうになって、すぐに視線を戻した。第一王子とその婚約者が並んで歩く姿は、もう王宮内では珍しくない。それでも、以前より二人の間の空気が柔らかくなっていることには、気づく者も増えているのだろう。


 アマリリアはその視線を感じながらも、以前ほど気にならなかった。


 今日セレーネへ報告する内容は、大きく三つある。


 一つ目は、ルーデ村とベネ村で起きた新様式通知の伝達齟齬。


 二つ目は、その結果から考えた簡易要点票の案。


 三つ目は、第二共同倉庫で検討している誤配送防止の試験運用。


 どれもまだ正式決定ではない。


 だからこそ、今日は「報告」と「相談」であって、「承認を取りに来た」つもりではなかった。


 以前の自分なら、ここまで考えをまとめた時点で、もうほとんど完成した案として持ってきていたかもしれない。


 けれど今は、セレーネから何を聞かれるのか、少し楽しみにしている自分がいた。


          ◇◇◇


「それで?」


 王妃の執務室へ通されたアマリリアとライルが一通り報告を終えると、セレーネは手元の紙から顔を上げた。


 広い机の向こうで、いつものように姿勢よく座っている。窓辺には薄い茶色のカーテンが半分だけ引かれ、午後の光を和らげていた。


 机の上にはアマリリアたちが持ってきた資料のほか、王妃自身が処理していたらしい公文書が何枚か重ねられている。


「ずいぶん面白いところまで来たわね」


「面白い、でよろしいのです?」


 アマリリアが尋ねると、セレーネは少しだけ笑った。


「困っている人が出たことは面白くないわ。でも、あなたたちが『誰が悪いのか』ではなく『どこで意味が変わったのか』を見るようになったことは興味深いわね」


「同じことを殿下にも言われました」


「俺はそこまで綺麗に言ってない」


「似たようなものです」


「違うと思うけど」


 二人のやり取りを見て、セレーネの目がわずかに細くなる。


「市場へ行ってから、本当に息が合うようになったわね」


「王妃様」


「何?」


「今は報告中です」


「ええ。だから見たままを言っただけよ」


 さらりと返され、アマリリアは少し言葉に詰まった。


 横ではライルが笑いを堪えている。


「殿下」


「何も言ってない」


「お顔が言っております」


「それ、伯爵にも使ってたな」


「便利ですので」


「最近それ多いな」


 セレーネが小さく息をついた。


「二人とも、続けていい?」


「失礼いたしました」


「すみません」


 二人でほぼ同時に姿勢を正すと、セレーネは再び資料へ目を落とした。


「ルーデ村では『新しい用紙が届いたら使う』、ベネ村では『個人搬入者だけが対象』と理解された。けれど通知文そのものは同じだった」


「はい」


「そして、問題が起きなかった村では、実際に使う人へ原文を見せたり、旧様式を回収したりしていた」


「その通りです」


 セレーネはそこで、アマリリアが作った要点票の案を手に取った。


『いつから』

『何が変わる』

『誰が使う』

『古いものをどうする』

『困った時の問い合わせ先』


 五つの項目が、簡潔に並んでいる。


「分かりやすいわね」


「ありがとうございます」


「でも」


 その一言で、アマリリアは少しだけ背筋を伸ばした。


 来る。


 何かを聞かれる。


 そんな予感がした。


「誰に読ませるのです?」


「……」


 アマリリアは一瞬だけ黙った。


 分かりやすい一枚を作る。


 そこまでは考えた。


 けれど。


「村役場だけでは足りません」


「ええ」


「共同倉庫や商会、場合によっては個人搬入の多い農家にも」


「全部?」


「……それは」


 アマリリアはすぐに言葉を続けず、紙へ目を落とした。


 全部へ配れば、確かに届く可能性は高い。


 しかし紙代が掛かる。


 配布する手間も掛かる。


 読み書きが不得意な人もいる。


 それに、地域によって商流が違う。


 共同倉庫を使わない村もあるだろう。


「一律に配るのは、違うと思います」


「では、誰が決めるの?」


「領主府?」


 ライルが口を開く。


 セレーネは息子へ視線を向けた。


「それなら、今までと何が変わる?」


 ライルが止まる。


 アマリリアも、同時に気づいた。


 領主府へ「必要なところへ回してください」と任せる。


 それは。


 今回と同じなのではないか。


「……また同じですわね」


「そうね」


「領主府側で判断していただくだけでは、担当者による差が残る」


「ええ」


「では」


 アマリリアは少し考えた。


「要点票に、送付先を選ぶための例も入れる?」


「どんな?」


「共同倉庫を使う地域なら共同倉庫。登録商会が中心なら主要商会。個人搬入が多い地域なら……」


「掲示?」


 ライルが言う。


「あるいは村内説明」


「でも、それも長くなりますわね」


「一枚じゃなくなる」


「それでは本末転倒です」


 セレーネは何も言わず、二人が考えるのを待っていた。


 その沈黙は試すようでもあり、急かさないものでもある。


 アマリリアは、以前ならこの時間を少し苦手に感じただろうと思った。王妃の前で答えが出ない状態を見せることが、能力不足のように思えていたからだ。


 でも今は違う。


 答えがまだない。


 それだけだ。


「王妃様」


「何かしら」


「これは、今日答えを出さなくてもよろしいでしょうか」


 セレーネの口元が少しだけ上がった。


「もちろん」


「……」


「何?」


「少し嬉しそうです」


「だって、以前のあなたなら今ごろ十案くらい出していたでしょう?」


「そこまでは」


 ライルが横から口を挟む。


「出してたと思う」


「殿下」


「ごめん」


「多分、八案くらいです」


 自分で言ってから、アマリリアも少し笑った。


 セレーネも笑う。


「なら、今日は三案くらいにしておきなさい」


「減らしても三案なのですね」


「あなたでしょう?」


「否定できません」


          ◇◇◇


 要点票の話をいったん置き、次は第二共同倉庫の試験運用へ移った。


 アマリリアが昨日聞いた現場案――荷札の用途欄へ文字を追加するだけではなく、農具向けと刃物向けで札の上部の形そのものを変える案を説明すると、セレーネは興味を示した。


「文字を読まなくても分かるようにするのね」


「はい。早朝や夕方は倉庫内が暗く、文字が見づらいことがあるそうです。それから、臨時作業員の中には文字を読むのが得意ではない方もいると」


「あなたの案より良い?」


 あまりに直球で聞かれ、アマリリアは少しだけ目を瞬いた。


「少なくとも、私の案にはなかった視点です」


「悔しい?」


「いいえ」


 答えはすぐに出た。


「むしろ嬉しいです」


 セレーネが少しだけ眉を上げる。


「即答ね」


「自分で思いつかなかったことは事実です。でも、私の案を守ることが目的ではございません」


「では何が目的?」


「誤配送を減らすことです」


 アマリリアは自然に答えた。


「そのために現場の方がより良い方法を出してくださるのでしたら、その方が良いです」


 言い終わったあと、自分でも少し不思議な気持ちになった。


 以前の自分なら、同じように「良い案なら採用する」と口では言ったかもしれない。


 けれど。


 自分の案より良いものが出たことを、こんなに素直に嬉しいと思えただろうか。


「アマリリア」


 ライルが横から呼ぶ。


「何です?」


「今、ちょっと嬉しそうだった」


「ですから嬉しいと申し上げました」


「そうじゃなくて」


「何です?」


「自分が変わったことに気づいた顔」


 アマリリアは少し黙った。


「……殿下」


「当たってた?」


「少しだけ」


「やっぱり」


 セレーネが二人を見る。


「あなたたち、最近相手の表情を読むのが上手くなったわね」


「王妃様」


「今は報告中、でしょう?」


「……はい」


 先に言われた。


 ライルが俯いて笑っている。


「殿下」


「何も言ってない」


「あとで覚えておいてくださいませ」


「何を?」


「何かです」


「怖いな」


 セレーネは楽しそうに二人を眺めてから、資料へ戻った。


「試験方法は?」


「現場責任者に案を出していただくことにしました」


「王宮側で決めないの?」


「はい。荷量や品目の偏りなど、現場でないと分からない条件がございますので」


「丸投げ?」


「違います」


 アマリリアはすぐに答えた。


「試験で確認したい項目はこちらで明確にします。誤配送件数、作業時間への影響、作業員の分かりやすさ。それを確認できる方法を現場側から提案していただきます」


「なるほど」


 セレーネは頷いた。


「なら、良いと思うわ」


「ありがとうございます」


「ただし」


 また来た。


 アマリリアは少しだけ身構える。


「一月後、誤配送が一件もなかったら成功?」


「……」


 ライルも黙った。


「元々、毎日誤配送が起きていたわけではありません」


 アマリリアが答える。


「そうね」


「一月だけでは、件数だけで効果を判断できない可能性があります」


「では?」


「作業員の取り違えそうになった事例も記録する?」


 ライルが言う。


 アマリリアは彼を見る。


「実際には配送前に気づいた例?」


「うん。例えば札を見間違えかけたけど、形で気づいたとか」


「それは良いかもしれません」


「でも記録増える」


「そうですわね」


 二人で考え込む。


 セレーネが静かに笑った。


「何だか楽しそうね」


「楽しいです」


 アマリリアは答えてから、少しだけ言い直した。


「問題があること自体ではなく、殿下と考えることが」


 言った瞬間。


 自分が何を言ったのか理解した。


 室内が少し静かになる。


 ライルがこちらを見る。


 セレーネも。


 机の脇で控えていた侍女まで、ほんのわずかに視線を落とした。


「……」


「……」


 アマリリアは呼吸を整えた。


「今のは」


「うん」


「そのままです」


 誤魔化さなかった。


 ライルの顔に、ゆっくり笑みが広がる。


「そっか」


「はい」


「俺も」


「……ありがとうございます」


 短いやり取りだった。


 けれど、その後に残る空気は不思議なくらい穏やかだった。


 セレーネが少し遅れて口を開く。


「そういうのは、私がいないところでもやってちょうだい」


「王妃様!」


「母上!」


 二人の声が重なり、侍女がとうとう小さく笑った。


          ◇◇◇


 報告を終えたあとも、セレーネはすぐに二人を帰さなかった。


 侍女が新しい茶を淹れ、机の一角へ小さな焼き菓子を置く。


「少し休んでいきなさい」


「ですが、まだ」


 アマリリアが言いかけると、セレーネが視線を向ける。


「まだ何?」


「……いえ」


「良い返事ね」


 アマリリアは少しだけ唇を尖らせた。


 ライルが隣で笑っている。


「殿下も笑わないでくださいませ」


「だって、母上に勝てないの面白い」


「殿下も勝てておりませんでしょう?」


「そうだった」


 セレーネは二人の前に茶が置かれるのを待ってから、少し声を落とした。


「市場へ行って、一番変わったのは何だと思う?」


 アマリリアはすぐに答えなかった。


 これまで何度も、自分が変わったことを感じている。


 知らないことを怖がりすぎなくなった。


 全部を自分で終わらせようとしなくなった。


 先に枠を作って、そこへ現実を押し込むことをやめた。


 数字だけでは見えないものがあると知った。


 良い案を自分以外の誰かが出すことを、素直に喜べるようになった。


「一つではございません」


「でしょうね」


「ですが」


 アマリリアはカップを両手で包み、温かさを指先に感じながら考えた。


「分からない状態を、以前ほど嫌がらなくなったことかもしれません」


 セレーネは静かに聞いている。


「以前は、分からないものがあると、早く答えを出して整理したくなりました。今も整理は好きですけれど」


「そこは変わらないのね」


「変える必要がございませんので」


 ライルが笑う。


「やっぱり言う」


「本当のことです」


 アマリリアも少し笑ってから、言葉を続ける。


「今は、分からないなら分からないまま、次に何を見ればよいのかだけ決めてもよいと思えるようになりました」


「良い変化ね」


「王妃様のおかげでもございます」


「私?」


「市場へ行く前に、数字の外へ出てみなさいと背中を押してくださいましたので」


「私は行き先を用意しただけよ」


「それでもです」


 セレーネは少しだけ目を細めた。


「ありがとう」


 その返事が思っていたより柔らかくて、アマリリアは一瞬だけ驚いた。


 王妃としてではなく。


 少しだけ。


 母親に近い声だった。


「……はい」


 ライルも、その変化に気づいたらしい。


 けれど何も言わなかった。


 ただ、隣で静かに茶を飲んでいる。


 それが今は心地よかった。


          ◇◇◇


 王妃の執務室を出た頃には、午後の光が少し傾き始めていた。


 回廊の窓から見える王都には、まだ明るさが残っている。遠くの屋根の間からは、細い煙がいくつも上がっていた。


「アマリリア」


「何です?」


「今日の要点票」


「はい」


「すぐ作り直す?」


 以前なら。


 部屋へ戻って、すぐに書き始めていただろう。


 誰に読ませるのか。


 どう送るのか。


 どこまで共通化するのか。


 全部を今日中に整理したくなっていたはずだ。


「今日は作りません」


 答えると、ライルが少し驚いた。


「本当に?」


「殿下」


「ごめん」


「明日、ディーンとハロルドお父様にも相談します。それから、実際にうまく運用できている村へ、なぜその方法を選んだのかもう少し聞いてみたいです」


「成功例をそのまま真似するんじゃなく?」


「はい。結果ではなく、判断した理由を知りたいです」


 ライルが少し笑う。


「また見るところ増えたな」


「必要です」


「でも今日はやらない」


「ええ」


「すごい」


「殿下」


「普通に褒めてる」


「でしたら受け取ります」


「うん」


「ありがとうございます」


 二人はそのまま並んで回廊を歩く。


 途中、角を曲がったところで、ディーンがこちらへ向かってくるのが見えた。


「殿下、アマリリア様」


「何かありました?」


 アマリリアが尋ねる。


「はい。第二共同倉庫から、試験方法の案が届きました」


 思わず足を止めそうになる。


 けれど。


 アマリリアは一度息を吸った。


「急ぎです?」


 ディーンが少しだけ目を瞬いた。


「いいえ。明日の確認で問題ありません」


「では、明日にします」


「承知しました」


 ライルが横で何も言わず、ただ笑っている。


「殿下」


「何?」


「今、何を考えております?」


「成長したなって」


「またです?」


「だって、前ならその場で読んでた」


「……」


 否定できない。


「でも」


 アマリリアは少し考えたあと、ディーンへ向き直った。


「一つだけ」


「はい」


「現場の方が試験案を考えてくださったことへのお礼だけ、先に伝えてくださいませ」


「承知しました」


 ディーンが頭を下げる。


 それで十分だった。


 資料は明日読める。


 今この瞬間に知らなければならないことではない。


 そして。


「殿下」


「何?」


「少し歩きません?」


「今から?」


「はい」


「調査?」


「違います」


「手帳は?」


「持っておりますけれど、出しません」


「本当に?」


「殿下」


「ごめん」


 アマリリアは少しだけ笑った。


「ただ歩くだけです」


「いいね」


 王宮の中庭へ向かう方へ、二人は進路を変えた。


 その背後で、ディーンが一度だけ二人を振り返った気配がした。


 けれど呼び止める声はない。


 明日には。


 第二共同倉庫の試験案を見る。


 要点票の届け方も考える。


 旧様式二十七件の残りも追う。


 徒弟制度も。


 中央市場の待機時間も。


 そして、まだ会っていないミハイル・フォードのこともある。


 やるべきことは、確かに多い。


 それでも今は、その全部を今日へ押し込もうとは思わなかった。


 明日の自分に任せてよいものは、明日に渡せばいい。


 そう思いながら中庭へ出ようとしたところで、背後から再びディーンの声がした。


「アマリリア様」


「はい?」


 振り返ると、ディーンは少しだけ迷ったような表情をしていた。


「もう一件だけ、急ぎではないのですが」


「何でしょう」


「ミハイル・フォード氏から、王宮へ正式な面会希望が届いております」


 アマリリアの足が止まった。


 隣にいるライルの表情も、少しだけ変わる。


「いつです?」


「日時は王宮側へ合わせる、とあります。面会相手として希望されているのは、アマリリア様と殿下のお二人です」


「……私だけではなく?」


「はい」


 ディーンが差し出したのは、一通の封書だった。


 だが、アマリリアはすぐには受け取らなかった。


 昨日までの自分なら、その場で開いていたかもしれない。


 けれど今は。


「急ぎではないのですね?」


「はい」


「では」


 アマリリアはライルを見る。


 彼もこちらを見ていた。


「明日、一緒に読みましょう」


 ライルは少しだけ驚いたあと、静かに笑った。


「うん」


 ディーンへ視線を戻す。


「預かっておいてくださいませ」


「承知しました」


 面会は、ついに向こうから動いた。


 なぜ自分へ手紙を送ったのか。


 何を見ていたのか。


 何を知っているのか。


 聞きたいことは、いくつもある。


 それでも。


 今は開かない。


 アマリリアは封書から視線を外し、ライルと並んで中庭へ向かった。


 知らないことが一つ増えた。


 けれど、その答えを今日中に知らなければならないとは、もう思わなかった。

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