第094話 内政状況
最大の問題はマリアの古代金貨が換金できれば何とかなりそうなのだが、欲しい人は居ても価値が高過ぎて交換できる人は国王級の財力が無いと無理だろう。
ただ、それは問題にしてはいけない。
「魔王国復興の初期投資を一個人が出すのって駄目じゃないの」
「普通はダメです。出資者がそのまま国王に成った方が早いと思われてしまいます」
「だよね」
「どっちにしても、古代金貨を換金してくれる人を捜すのも困難ですが」
「トレインはボールドの冒険者ギルドに食糧支援を要求したんでしょ」
「しました……拙かったですかね?」
ココは魔王様より私が説明した方が良いでしょう。
……コホン。
「結局のところ解決にならないからです。定期的に購入するルートを借金をしてでも作らないと今後に繋がりません。そもそも、人が集まり過ぎじゃないですかね」
「建てたら好きに住んで良いって言ったんです。そしたら続々と集まってしまって」
「……そういえば、トレインは経済関係が苦手でしたね」
「クーフーリンの農地は頼らなかったの?」
「魔獣によって農地が荒らされてしまい、収穫量が例年の2割ほどに……。農民も大半が逃げて何処かへ……」
なんで魔獣が農地を……?
そもそも農地を耕すのにも利用していた筈ですが。
「ギルガントは?」
「あちらも自給自足で精いっぱいだと……魔王様が不在の間に一部領主が逃げてしまったりと混乱も有りましたし」
領主が逃げたのはかなり問題ですけど、何処へ亡命したのでしょう……。
広大な森と険しい山が連なる所為で、海を渡って行くぐらいしか他に道もありませんですし、森と山を越えて行く事が出来れば、また別の世界が広がっているかもしれません……。
未開拓の大地ってたくさん有るんですよね。
「ローテイルは残ってるわよね?」
「勇者達ではない何者かによって滅ぼされています」
「えっ……」
魔王不在による統治能力の低下と混乱。
他国からの流れ者によって荒らされ、各地で食糧不足ですか……。
「魔王様を困らせても意味が無いと思っていたのですが……」
先生がトレインの頭に掌を乗せた。
アレは撫でてない。
くるくる回してる。
……先生が怖いよぅ。
「……なんで、そーゆーのをちゃんと報告しないんですかっ!!」
「ほっ、報告すると旅をしていられなくなると思いましてっ」
「これでは滅亡していると言われても不思議ではありませんよっ」
「滅亡ねぇ……そう言われるとこんな状況ならもっと滅茶苦茶にされてても……いえ、もう滅茶苦茶にされたあとだったんだ、お父さんが戦ってた時、国内はもう……」
先生がトレインを独楽のように回している。
もうやめたげて、トレインのライフはゼロよ。
いや、死んではいないけど。
「勇者が来ていたら魔王様は動けませんし、四天王も負けてますし」
「でもさ、あの勇者は知ってても黙っているかもしれないけど、ハニエルが黙ってるかなあ……?」
くるくる回したトレインをピタッと止める。
なんか可哀想だけど、助けてあげたi……いや、アレは無理だな。
ケッコウ、ガチで怒ってるもんな。
いつも優しそうに見えるから余計に怖いぞ。
「確かに、そうですね。そうすると勇者パーティ全員が利用されていたと。思ったよりも面倒な話になります……」
「召喚した国とは別の国の思惑が働いたという事になっちゃう?」
「なっちゃいますね。ただ、今までも魔王国は何度も攻め込まれていますし、侵攻した事も有りますが、領土に大きな変化もないんですよ。魔族以外には住みにくい土地ですので」
「そうなると、ただ魔素溜まりを狙っているだけとも限らないか」
「いえ、メルスの発想は間違っていないと思います。足りない何かではなく、魔素そのものから何かを得たいと思うのでしょう」
「ややこしいんだけど、そもそも、魔素って何?」
魔素とは……。
「魔素が無ければ魔法は使えません。生物が呼吸するように魔法も呼吸すると考えるのが自然です」
「どこが自然なのよ」
「魔法を使うと魔法陣が自然発生します。この魔法陣にもちゃんと法則が存在します。そして魔法陣は魔素を消費し効果を発揮します」
「じゃあ、その魔法陣を手で描いても同じ効果が有るんだよね?」
「有ります」
「全く見た事もないし、気にした事も無いんだが……」
「一番解りやすいのは召喚魔法ですね。あの魔法によって何かが喚び出されます。例えば火の魔法を使おうとします。魔法陣が発生し、その魔法陣が魔素を消費して火が喚び出されます。基本は全て同じですが、魔法陣の解析はほとんど進んでいないのです」
「すぐ消えちゃうし、ずーっと見てられないもんね」
「それも理由の一つです。もっと大きな理由はメルスが言いました」
「あー、見た事もないし、気にもしないってコトね」
「魔法が使えるのは当たり前。その魔法が身体からどうやって放出されているのか考えません。使えないという事は使用者に適正が無い。魔素が足りない。制御が不十分。そう考えてしまうのが一般的なのです」
トレインが目を覚ました。
まだフラフラしているけど、自分で自分の頬を叩いて気合を入れている。
「この話はまた今度にしましょう。とにかく国を建て直さないとなりません……」
「そーなのよねー……」
魔王様がしょんぼりしていますが、現実は恐ろしいモノです。
「この町ダケを復興もこのままではダメですね。食べ物が無いから暴れないだけで盗賊も出ている事ですし……」
「先生の持っている保存食で炊き出しでもする?」
「付け焼刃ですが、仕方ありませんね……」
「では、準備しましょう」
トレインが元気を取り戻したというより、指示される方が気が楽なようだ。
向き不向きって、有るのよね。
なーんか、この旅で良い経験が出来たのか、無駄に年だけ取ってないよね?
色々と不安になってきたんだけど……。
とし……年……んっ?!
「……あっ!!!!」
「ど、どうしました?」
「私の誕生日過ぎてるっ!!!!」
「そんな事どーでもいいだろ……」
「いや、まぁ、そーなんだけどさ……」
「お城に帰ったら美味しいお菓子つくって差し上げますね」
「わーい、やくそくやくそくぅ」
この急に子供になるの何のよ。
ちょっと可愛いから困るのよ。
なんであんたまで頷いてるの。
コーンナ子供なのに。
子供なのに……魔王に成るって言うから凄いのよね。
絶対褒めないけどっ!!
「では人を集めてきます」
トレインが外に出ようと扉を開くと、突き飛ばされて戻って来た。
入って来たのはセイビアだ。
「大変です!!勇者が召喚されましたっ!!」
※おまけ
「なんかー、妙にムズムズするぅ……
「またか、今日は流石に疲れたぞ
「そっちじゃないってー
「え、あ、うん。
「そわそわするしー
「まさか、出来たのか?
「まさかってなによー……って、それでもなーい
「なんだ、はっきり言え
「……怒らないでよー
「な、なんだよ
「修ちゃんがもう一人いるみたいな変な感じがするー
「……なんだそりゃ……
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