第081話 誤算
※追加情報
※ブラックエンペラーって長くて言い難いので黒帝って表記にしました
街の外で集合した5人は、低空から突撃してきたレッドカラーを一撃で倒している。倒したのはリッカーで次の急襲を警戒したが、それは空振りに終わった。
少しずつ明るくなる空には、レッドカラーの他にもブルーとイエローが旋回している。まるで誰かからの命令を待っているようだ……。
とりあえず、違和感しかない。
「なんで鳥があんなに来てるのかと思ったんだがよ、追われて逃げて来ただけじゃねーのか」
「その可能性は高いですね。でも、そうなりますと、あの鳥達は人を襲ったのではなく、ただ止まり木代わりに屋根に降りて来ただけって事になりますが」
「反撃もあんまりしてなかったのは、飛び疲れたという……」
理由が解かったからと言って彼らには関係なく、コール・マーカーが大活躍をつづけ、鳥をバッタバッタ倒しまくっているし、素材も肉も山盛りで、街の中では回収に大忙しである。
Aランクもそれ以下も、活気づく。
「なにがラッキー・マーカーだ、Sランクは伊達じゃないぞ。俺達も続けえぇぇぇ!!」
イエローカラーとブルーカラーが降下してくるようになっても、快進撃は続いていて、セイビアとしては良い方の予想外となっていた。
レッドカラーが予想よりも行動が鈍く、なかなか降りてこなかった事も有って順調なのだが、その理由は直ぐに判明した。
「魔力の遮断を感知しました。何かが隠蔽されています」
「こんなタダノ平原で何を隠蔽してるんだ……まさか?!」
「オジサンじゃなくても分かっちゃったんだけど?」
お嬢様がドヤ顔をしていますけど、そんな余裕は有りません。
前方には土煙を上げながら迫ってくる影、危険察知能力で頭がパンクそうです。
100…200…500……全ての鑑定は無理です。
「……とんでもねぇ、こんな数のグリーンカラーなんて初めて見たぞ」
「うぐぐ、800前後と思われます……」
「おぃぉぃ、あんな数を鑑定してたのか」
「黒幕を捜していましたが見つからないのです」
「いくら多くてもあの程度なら投げ飛ばせるし、時間稼ぎくらいは出来る。任せとけって」
「……お任せます。お嬢様、セイビアとハニエルから絶対に離れないでください。リッカーは上のドラゴンを蹴散らしてもらって……あがっ?!」
居た?!
なんなんですか、頭が脳天唐竹割りを喰らったように痛いです。
この魔力は間違いなく……。
でも、待ちなさい、そこは……。
「せんせぇ……なんかすっごい気持ち悪いんだけど……」
ハニエルが気が付いて恐怖に震えています。
魔王と対峙しても平気だったハニエルでもこのようになってしまうのですから、お嬢様は……リッカーと空の敵をどうやって倒すか相談していました。
装備が必要ですね。
「これだけの数を囮にするなんてとんでもないヤツです。お嬢様、殲滅のティアラを身に付けてください、魔力を吸収しますのでドラゴンの能力を下げます。太陽の剣も使ってください。回復は惜しみなく、ですよ」
先生の口調が穏やか過ぎて恐い。
その先生は私を見ていない。
……ナニコレ、怖い。
セイビアが空の彼方から現れたもう一匹に気が付く。
「先生、こっちもヤバいのが来たよ!」
「シルバーカラーじゃねーか、あの相手はリッカーじゃねーと無理だぞ」
前門のドラゴン群に後門の黒幕ですかっ。
逃げるだけなら楽なんですが、ドラゴンを囮にしてまで狙って来るとは思いませんでした。それだけ魔王に負けた事が悔しかったという事でしょうか。
それにしても、やり過ぎとしか思えませんが。
「せ、先生、街の方から感じる魔力ってブラッk……」
「分かっています。しかし、今からでは間に合いません。てっきり後方腕組みのドヤ顔で来ると思っていましたが、知恵を付けたようですね」
「でも、聖女の魔力で強化した結界だからそう簡単に壊れないと思うんだけど」
「アイツはかなりの量を共食いをしたと思いますよ、そうでなければあんなに強く成る筈がありません。コール・マーカーが気が付かない事を祈るだけです」
気が付けば、あの男なら挑むだろう。
挑めば勝てる筈が無い。
倒すにはSランクなんて称号ではなく、魔王か勇者の能力が必要なレベル。
今はその二人とも不在で、それを狙ってきたのでしょう。
唯一の誤算は聖女の存在を知らなかった事だけです。
聖女を無理矢理生み出したことがこんなところで生かされるとは思いませんでした。
「黒帝はオリハルコンクラスの強度がある武器でやっと斬れる程の硬さです。今のあなた達では誰一人勝てません。ですがこのままだと街をめちゃくちゃにされるでしょう……。もしもハニエルがあの場に居たとしても、持って数時間です」
黒帝と戦える条件を持つ者……。
「運が悪い方ではないですね、偶然とはいえリッカーが付いて来てくれたのは本当に助かります」
えへへってしています。
こんな時に天使っぽさを出さなくて良いんですよ、お嬢様が対抗するので。
「そう言えば以前戦った時みたいにあれやってくんない?」
「おっ、良いぜ。地上は俺とギルド長に任せな」
身体がでかくて腕も太いので、その腕にリッカーが乗りました。
「アイシャも乗って」
「へー、楽しそう」
「よし、ダブルで行くぞ」
私が判断する前に回転が始まってしまいました。
地面が抉れるほどの回転力で風圧も凄いです。
乗っているだけなのに振り落とされないのはベルディナンドの技術力ですね。
良い腕です。
「ツインスイングバイ!!」
リッカー、お嬢様の順番で投げ飛ばされました。
掛け声の意味は全くありませんが、その腕力と回転力の相乗効果で、凄い勢いで飛翔し、あっという間にレッドカラーの先頭集団を討ち落としました。
太陽の剣は役に立ったようです。
「おー、すげーなアイツら。って言うか嬢ちゃん、ステータスと強さが一致しなさすぎるが……」
こっちを見ないでくだs……それ良いですね。
「なんで俺の筋肉を見るんだ?」
10体ほど斬り落とした二人は、レッドカラーの背中に飛び乗りつつ移動しているが、シルバーカラーの威圧に負けて落下している。
「それで私を街まで飛ばしてください」
「え、その身体で耐えられるのか?」
落下途中でリッカーがアイシャを片腕で抱え、空中を走るように再浮上する。
そこにレッドカラーの吐き出した火球が集中し、大爆発が起きた。
「耐えられますよ。問題はあの壁を壊してしまう方なんですけど」
「そのくらいなら。だけど間に合うの?」
「今のままだと身体強化を最大にしても間に合わないので、投げてもらった方が速いのですよ」
火球と火球が衝突した爆発で、連鎖して火球が次々と誘爆するが、リッカーが空中を素早く移動して回避した。
何かのアイデアをリッカーに伝えて了承を得ると、アイシャが身体をよじ登ってリッカーの肩に座り、太陽の剣を構えて……火球を打ち返した。
打ち上がってまた爆発する。
「じゃあ、よろしくお願いします」
なんで腕に乗っただけで赤くなってるんですか、初心ですかっ。
ハニエルが言い難そうに私に言いました。
「あの、先生」
「どうしました?」
「パンツ穿いて下さい……」
「スケルトン時代が長かった所為で下着を着けるのを忘れるんです。良いから投げてください」
「お、おぅ……」
グルグル回転が凄いですが、早過ぎて視界がぶれます。
お嬢様は平然としてましたが、ちょっと苦手でs……。
「スイーーング、バイッ!!」
え?
「なんでさっきより気合い入れたんですか―――――――――――!?」
先生が何か言ってるけど、なん……くらいであとは聞き取れなかった。
ベルディナンドは凄く満足そうにしてるけど、大丈夫かな?
ま、先生だし。
「次は俺達の番だぞ、グリーンカラーぐらいじゃビビる奴いねぇよなあ?」
迫ってくるグリーンカラーの群れが土煙よりもその音で異常さが伝わってくる。
何百体もの突進は大地をも揺らす。
「コイツは狙いを付ける必要が無いな」
ベルディナンドは魔力を籠めた拳で地面を叩いた。
セイビアが掌に発生させた竜巻を投げつけた。
ハニエルが、杖を掲げて唱えた。
地面がひび割れ、グリーンドラゴンの群れを突き出す地面で吹き飛ばす。
小さかった竜巻が徐々に巨大化していき、巻き込まれて吹き飛ばされていく。
掲げた杖は何も無かった空に発生させた雷を無数に落とした。
その一つ一つが一級の威力で、纏まって行動していた事も有って、一瞬にして数百体が吹き飛ばされていく。
その光景を上から見ていた二人が叫ぶ。
「ちょっと、当たりそうだったじゃなーい!!」
「もっと、あっち、あっちーーー!」
二人の声が聞こえたワケではなかったが、三人は勢いに乗って群れに突撃していき、力技で次々と倒していく。
まるで小蟻を潰すように軽々と……。
※おまけ
「すげー数の魔獣に下位とは言えドラゴンまで……
「素材もきっちり回収しとけよ
「これ、貰っても良いんですかね?
「今はダメだ
「えー、なんでですかー
「持ちきれないほど持って戦えなくなる
「そ、そんな。ハハハ…
「それにもう少し我慢すればレッドカラーの素材も入るんだ
「そ、それは……(もう少し我慢するか)
「(素材の価格が大暴落して儲からないだろ)
腐ってもSランクのコール・マーカーはまだ頑張れそうです
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