第120話 再生能力
名前 ギデオン(シュウイチ・山本) 性別 男 年齢 26 種族 普人
職業 聖魔士 Lv 103 筋力 776
魔力 359 敏捷 65 魅力 55
HP 9314 MP 564
所持 魔法袋 太陽の剣 星銀の鎧
特殊技能 異世界転移 ドラゴンバスター 鑑定Lv3 技能神と契約 聖女の加護
名前 ピンス・ピピーニン 性別 女 年齢 21 種族 普人と妖精のハーフ
職業 偽りの聖女 Lv 69 筋力 5
魔力 223 敏捷 16 魅力 333
HP 931 MP 15426
所持 精神の杖
特殊技能 聖女の覚醒 治癒Lv3 鑑定Lv1 予感Lv1
「いよっ、久しぶりね」
とてもフレンドリーに話しかけられ、少し戸惑ったが、ピンスが素早く対応する。
「えー、この娘が魔王なの?」
「そうよ、敬いなさい」
「かわいい~!」
突然抱きしめられてビックリして顔が赤くなる。
「な、なんなの」
「とってもかわいいって聞いてたからー」
聞いていたというのなら、言ったのは一人しかいない。
「へー……」
子供に妙な視線を向けられて、顔を赤くする。
「あんた達、何やってんの」
もう一人現れた少女がピンスとアイシャの頭をぺちんと良い音がするように叩く。
痛くはない。
「魔王様、ご休憩されていたのでは?」
「ピンスに叩き起こされたのよ。だからあんまり回復してないわ……」
するとピンスが抱きしめたまま呟いた。
「絶対大丈夫だよー……」
青白い光に包まれると、底から湧き上がるチカラに表情が変わる。
「ななな、なになに。ナニコレ?!」
疲労が消えて、魔力が戻る。
それどころか、何か別の力に包まれている感じがする。
「力を付与したけど子供が無理しちゃダメなんだからねー」
聖女を思わせる優しい笑顔は、アイシャに母親を思い起こさせた。
頭を撫でられ、もう一度笑うと、ピンスはギデオンの横に戻る。
トレインが何かを言いたそうにして戸惑っているのに気が付いて、アイシャは呼吸を整えた。
「トレイン、言いたい事は分かるけど、今は私に任せなさい」
トレインが静かに跪き、首を垂れて受け入れる。
この場に正規の部下はトレインしかおらず、兵士達は少し離れた場所に居るが、だからと言ってないがしろにせず、部下としての礼節はちゃんと守る。
「それで、アレは何なの」
アイシャが見つめた方向には、修一曰く、巨大なミミズの化け物が暴れていて、その説明をメルスがする。
斬ると分裂する。
直接殴って倒すことも、斬り刻んでばらばらにしても、倒せないという。
「それで火の魔法が得意なモノが必要なんだ」
「あーね。それで私か」
ピタンも全てを喰らうミミズに似た化物の存在は知っていて、アイシャに教えてはいるが、倒し方までは知らない。何しろ水に逃げれば追ってこないからだ。
そんな暢気に会話しているようで、実はまだミミズの成長を待っている事も伝え、取り込んだ魔素を一気に消滅させるチャンスである事も説明する。
「森も焼失するけど仕方が無いわねー」
「アイシャはそんなに火の魔法が得意だったのか?」
ジンワリと沸き起こる魔力の一部はピンスのモノで、自分の魔力と融合していくのを体感している。
「今なら海だって干上がらせられる気がするわ」
トレインと修一は興味深げに魔王を見ていて、ピタンとピンスは微笑むように見ていた。メルスが湧き上がってくる魔力の変化に気が付いて、自信を見せる姿に感心した。
「さて、ギデオンには私の要求に応えて貰うからね」
「ん、ああ」
「活躍次第で四天王にしてあげても良いけど?」
「それは断る」
トレインから睨まれるが全く気にしない。
「そろそろいい感じに育ったと思うぞ」
森で暴れた化け物が、こちらに向かってくる。
あれほど苦戦をしたのに、あれほどの苦汁を舐めさせられたのに、今は全く感じない絶望感。溢れ出る高揚感。
「凄い地響きね」
「あれを一発で焼き尽くせるか?」
「問題無しっ!」
アイシャの自信満々の言葉にギデオンとトレインがノった。
強敵と知って挑めるのは、闘いこそ本懐だとでも思っているのかもしれない。
「なら少し相手にして狙い易くしてくるか」
「魔王様、行ってきます」
「うん、任せたっ」
「修ちゃん頑張ってねー」
「ぉぅ」
ピタンが周囲に水魔法で結界に似た膜を作り、周囲を包む。
「じゃあ守ってあげるから気にしないで魔力を解放しなさい」
「……周囲のマナも巻き込むから放つ前に避難してね」
メルスには視線を送っただけで理解してくれたようだ。
今知り合ったばかりのピンスの腰をがっしりと掴んだから、すぐに逃げてくれるだろう……ピンスの頬がほんのり赤いのはなんで?
「ギデオンはこんなものを相手にした事が有るのか?」
「デカいだけで脅威となるような奴は相手にしたことは無いが……」
大地を蹴とばすように走っている二人は、互いの力を確認したいという興味があった。何しろ、敵と戦うよりも味方となる相手なのか、吟味する意味も含まれるのだ。
そもそも、負けると思っていない。
「悪いが先貰うぜ……身体強化!!」
太陽の剣を抜いたギデオンが、高くジャンプすると、まだ1キロ以上は離れている魔物に向かって剣を振り下ろした。
斬撃が飛ぶと吸い込まれるように魔物に向かって行き、魔物の皮膚が斬り裂かれ、その裂け目から緑色の体液が噴き出た。
「ん゛ん゛ん゛お゛お゛お゛・・・・・・」
そのまま次々と斬撃を飛ばすと、身体中から体液が噴き出るが、裂け目が直ぐに塞がって行く……。
「口が有るから叫ぶのは分かるが、なんか気持ち悪いな」
今度はトレインが時計回りに移動し、横から接近して直接剣を突き刺す。
思ったよりも柔らかいと感じたトレインが、引き抜かず、そのまま斬り落とす。
緑色の体液が噴き出たところで剣を引き抜き、返り血を浴びないようにすぐに回避する。
「太過ぎるっ」
ミミズのような身体は直径だけでも見た目で5メートルぐらいは有り、吹き出た体液が地面に触れると、腐ったような異臭がする。
だが、変化は有った。
うねうねと動いてアイシャ達に向かって行くと思った化け物が移動を止めた。
二人は再合流を果たし、初見の感想を言い合う。
「おい、斬った個所が少し凹んでいるぞ」
「なるほど、体液が出た分、質量が減っているのか」
「もっと斬って細くすれば輪切りに出来る……」
「それだと分裂するんじゃなかったのか?」
「あんたたちの魔王様に倒して貰いやすくするのならこのままの巨体ではなく、小さくした方が良いんだろ」
トレインは冷静な判断を下せる男で、例えそれが敵であっても魔王様が認めた相手なのだ。
「……斬撃で行けるのか?」
「さっきので確認した……」
会話が途切れたのは、ミミズが口から体液を吐き出したからで、回避しなければあの異臭を浴びる事になる。
左右に分かれると、時計回りと反時計回りに自然と動き、左右から斬り刻んだ。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・・・」
耳を塞ぎたくなるような不気味な奇声が鼓膜を叩く。
不快になったトレインが行動を変更した。
「気持ち悪い声なんか、出せなくしてやるぞっ」
トレインが足を速めて急接近し、口の横に剣を突き立てた。
「グッ、抜けない?!」
口の部分を頭と言って良いのか知らないが、巨大ミミズが自ら地面に頭を叩き付けると、トレインも地面に叩き付けられた。
しかも、その巨体に挟まれて身体が地面にめり込む。
「………」
悲鳴が出ない。
即死したのか、気絶したのか。
それは不明だがギデオンは頭と胴体が伸びた一瞬を見逃さなかった。
太陽の剣が輝きを放ちながら、巨体を輪切りにする。
重すぎる巨体が頭部分とそれ以外に分かれると落下し、ズシンと地響きが起こる。
「切り口が塞がるのが早いな……」
体液をまき散らしながら、頭だけになった身体が、細くなって傷が塞ぐと、別の個体へと変化した。
残った胴体の方も塞がった切り口から新しい口が生成されていく。
見ていて、純粋に気持ち悪い。
「二匹になったな……」
説明を受けているから知っているが、これで倒しやすくなった筈だ。
あの嬢ちゃん……げっ……あんなところからぶっ放すのかっ?!
「生きてるか?!」
頭だけだったミミズが一匹のミミズとして変化すると、宙を舞った。
それは自分の意志ではなく、トレインが振り絞った力で蹴り飛ばしたのだ。
「うごk……」
修一は返事を無視して地面から無理矢理引っ張り出すと、剣を持ったまま左腕一本でトレインを抱えて可能な限り逃げた。
「……一点集中……先生直伝……魔力解放……魔王の……紋章の力……」
膨大な魔力が一人の少女の周りに集まっている。
ピンスがメルスに抱きかかえられ、ピタンが自力で離れていくのを見ている余裕はない。自分の暴走寸前の魔法を制御しなければ、相手に向けて放つ事は出来ない。
魔法制御は僅かな乱れも有ったが、ピンスの魔力がそれを抑えている。
それは魔導船から見ていたマリアも気が付いていて、その聖女の力を改めて感心している。
「……魔力暴走、解き放て、全てを焼き尽くす地獄の炎……」
これが魔王の真の力なのか、それはマリアでも分からない。
分かったのは、自分もあの炎を浴びれば消滅するという事。
そして、結界が不要になった事だ。
「エムブレム……ファイナルー……ド・ストライクぅぅぅ!!」
アイシャの声は化物にも負けないほどに響き、兵士や冒険者達にも聞こえた。
突き出した両手の平からは驚くほど太い光の筋が一直線に伸び、周囲を巻き込んで焦がしていく。大地を焦がし、魔物の身体も突き抜け、木々を吹き飛ばし、突き進む膨大な魔力の筋は彼方へと消えて行った……。
「あんなの、勇者の時に喰らってもひとたまりも無いぞ……」
助けたトレインを地面に寝転がすと、自力であおむけに姿勢を変える。残った魔物の身体がうねうねと変化していくのが見える。
「あれを焼き尽くさないと……」
「分かって……おっ」
素早く飛んできたのはメルスだったが、その姿はドラゴンだった。
口から吐き出される火の玉が正確に命中するのを確認すると、安心した修一はその場に座り込んだ。
「戦闘が短かった割に疲れたな……」
「驚かないのか?」
「ああ、凄い火の玉だな」
「……ドラゴンだぞ」
「みたいだな」
気が付いていたのか、知っても驚かないのか、そんな不思議な表情した。
その直ぐに疑問に答えた。
「世界樹なんて見た後だから、驚く事はもう無いと思ったが……」
先程の太過ぎる光の筋は、魔法としての威力もそうだが、あの子供が放った事の方が驚きだ。
「異世界って面白いなー……」
残った化け物の肉片はメルスが全て処理し、魔物の気配はなくなった。
アイシャ達と合流し、ピンスの治癒魔法で何事も無かったように回復したトレインは、その能力の高さに恐怖すら感じる。
「しかし、便利な魔法よね」
「まー、コイツがいるから多少の無茶も出来るんだ」
「なるほど、さっきの戦い方もそういう理由か」
自分よりも何倍もの巨体に、真っ向から突っ込んでいくのは普通ではない。
しかし、それでも相手を圧倒したし、怪我もしていない。
やっぱり勇者じゃなくても戦い方は勇者かもしれない。
「さて、魔素溜まりは何処かなー」
「これだけ森が無くなってると探し易いわねぇ」
ピタンが見ているのはアイシャが放った魔法の痕で、地面が焼け焦げた痕ようになっている。それも、真っ直ぐ、一直線に。
「このまま道として整備したら森の中にキャンプ地を作っても良いかも」
魔王の言葉は無邪気だったが、それもアリと考えたトレインが、後日整備して本当に森の中にキャンプ地を建設する事になるのはもう少し先の話になる。
「そんな事より、封印の魔法を使う魔力は残ってる?」
「それはダイジョブ。先生のメモが有るから。まさか魔素溜まりが無くなるのは先生も想定してなかったんじゃないかな?」
なんでも予想通りとか計画通りだったら、それはそれで怖い。
「あれー?魔法の結界が解除されてるよ」
「え?」
「あら、ホントだ……先生が来るかな?」
先生の居る魔導船を眺めていると、ゆっくりと降下……ではなく落下した。
遠いので音は聞こえなかったが、土煙に沈んだ魔導船が無事だとは思えない。
「あ、キタキタ」
飛んで来たのは骨だった。
服を着ていないんだけど……。
まっ、いいかナ。
「ほっ、ほっ、ほーねー?!」
驚いているのは一人だけ。
いや、驚いてるというか、目がキラッキラッしてて怖いんだけど。
「魔王s……」
マリアが声を掛けようとして出せなくなったのは、目の前にピンスが急接近したからである。
「凄い、動いてる!!」
肋骨をツンツンしている。
「凄い、骨に触れる!!」
「え、ちょっと、何ですか……」
「シャシャシャ、シャベッタアァァァア?!?!」
いや、さっき喋ろうとしたのお前が止めたんだぞ。
「済まんな」
修一がピンスの襟首を後ろから鷲掴みにして引き寄せる。
「ちょっと大人しくしろ」
「えー、気になるぅぅぅぅ」
「スケルトンぐらいで騒がないでくれ、恥ずかしいから」
「じゃあ、回復魔法かけたらどうなるかな?」
俺を見るな。
「はらほろひれはれっ」
その言葉やめr……あっ。
「あっ」
「えっ」
「スケルトンに回復ってお前……」
マリアの骨の身体がキラキラと輝く。
「ま、魔核が反応している……?!」
何事なのか注目されているマリアの身体を包む輝き消えると、そこには裸の先生が再生されたのだった。
マリアが自身の身体を確認すると、魔核も体内に納められているようだ。
「まさか元に戻るなんて思いませんでしたが……」
ジーっと見詰める視線を感じ、そちらに視線を向けるとその視線の正体に納得した。
「熱い視線を感じますね、そんなに見たいですか?」
マリアが意味も無くセクシーポーズを決めると、視線の正体は二つの拳骨と、三回同じ言葉を貰った。
「すけべー」
「すけべ」
「すけべぇー」
少しずつ違うが、軽蔑という点は同じである。
「修ちゃん!」
「ギデオン!」
拳骨はアイシャとピンスからだ。
トレインは素早く背を向けていて、回避能力は高いようだ。
自分が被害者だと訴えたい男が無意味に叫んだ。
「服を着ろよぉぉぉ!」
※おまけ
なんか、姿が違うな……
お、おぉ……凄い
ピンスも可愛いが、こんな見た目だけでエロい人なんて初めて見たぞ……
ガン☆
ゴン☆
痛いっ




