第113話 荘厳なる
名前 班目聖人 性別 男 年齢 31 種族 普人
職業 闇の勇者 Lv 19 筋力 181
魔力 244 敏捷 31 魅力 219
HP 2112 MP 1192
所持 普通のリュック
特殊技能 超回復 闇の紋章 鑑定Lv2 格闘Lv1 剣道Lv1
名前 フェミニール・メイ・アロロニア 性別 女
年齢 78 種族 兎獣人とエルフのハーフ
職業 斑目の妻 Lv 9 筋力 5 魔力 26 敏捷 6 魅力 196
HP 483 MP 2700
所持 フライパン
特殊技能 料理Lv1 回復魔法Lv1 治癒魔法Lv1
二人はどこの国かもわからない、元集落に居た。
魔物によって滅ぼされたのか、人の手によるものなのかは分からないが、それでも崩れていない家に身を寄せて、手入れのされていない畑と野生化した鶏を発見できたのは大きかった。
何しろ、お金が有っても店が無ければ買い物が出来ないからだ。
藁を集めて布を巻き付けて、簡易のベッドを作る。
古井戸が有って貴重な水も手に入った事で、とりあえずの生活らしい生活になったのは久しぶりだ。
「鑑定魔法は便利だな」
それだけで食用かどうか判るのはとても助かる。
ニールは料理が出来るし、調味料さえあればそこら辺の葉っぱでも美味しく食べられるようになる。
なんとも不思議な能力だ。
「ちゃんと食べられる葉っぱを集めてくれるからですよ」
「しかし、この畑にマンドラゴラがあったなんてなあ」
「兎獣人が食べる為に育てているって話は知っていましたけど……」
「じゃあ、ココは兎獣人の集落だったのか?」
「兎獣人はこんな立派な家は作りませんので……」
「そんなに有名なのか」
「伝説の獣人と呼ばれていますが、普通に街に馴染んで生活している場合も有ります」
「そんなのどーやって区別するんだ?」
「そ、それは……」
何故か恥ずかしがっている。
「その、性欲が違うんです」
「ほぉ……」
そういや、コイツ……兎獣人とのハーフだったな。
なるほど、それでか。
たまに瞳が赤く仄かに光ると……。
ニールは班目が直した竈で料理をしながら会話をしていて、調理道具は木を削って作ったヘラと、城からパクった鉄のフライパンだ。
捨てないで持っていたら、いつの間にかニールの武器になっていたんだが。
「出来ましたぁ」
自分で作った箸を使って食べるのを不思議そうに見ている。
使わせようと用意はしたが、結局フォークで食べていた。
「いかがですか?」
「ああ、肉とスパイスが良い感じで、この葉っぱも美味いな」
「調味料が殆ど無いですけど……」
「良く分からんが、とりあえず塩が有れば味付けは何とかなる。スパイスはそこら辺に生えてるからなあ」
「お塩って結構なお値段だったハズなんですが」
「海が近くないと高いだろうな。昔は塩の道というぐらい重要なルートが出来るくらいだからな」
「そんな道が有るんですか?」
「こっちの世界の話じゃないぞ……でも、まあ、世界は変わっても人が生きるのに必要なモノは変わらんようだからな。まぁ、特殊な奴も居るみたいだが……」
変わった色の石を見付けたから鑑定してみたら岩塩なんて転がってるもんな。
そうなると、この世界にも火山は有るし、地震も地殻変動も有るって事か。
「まあ、なんにしても暫くここに住もう。ニールが居てくれれば寂しくないしな」
こんな言葉でも頬を赤くするし、モジモジしながら俺を見て、視線が合うと更に赤くなる。こんな初々しい反応をされると、俺だって致したくなる。
「……旅に必要な乾燥肉とか、塩漬けを作るにも時間が掛かるからな」
「シオ……ヅケ?」
食事を終えてから説明をするのにベッドに寝転がる。
するといつものように覆いかぶさってくるから、そのままお楽しみタイムだ。
……終わったら寝てしまうか……。
あぁ、キャンプ生活が楽しいと思えるのも三日ぐらいだ。
何かいろいろとメンドクサイ。
………。
……。
…。
「聖人様、おやすみなさい……」
二人の時間はゆっくりと過ぎていた。
ゆっくりとしていられないアイシャは、やってくる人達を城に招くべく、準備を進めていた。とは言っても、アイシャがやる事は少ない。
シェリィが再び骨達を集めて100体ほどを用意していたが、戦力にするには弱過ぎる。ただ、お使い程度は出来るので、やってくる人達を迎える為の馬車を用意し、馬を扱える者に白いローブを着させ、その一団が明日にはやってくるとの報告を受けたトコロだった。
「流石に家までは用意できなかったわね」
「兵士用の宿舎が有りますので一時的な宿泊場所として問題は有りません」
「食糧の備蓄状況は?」
「今スケルトン隊が全力で釣りをしています」
「税金が取れないからお金が無いのは仕方が無いけど、有ったとしてもまだ買えるほど余裕はないのよね」
街は復興を果たし、畑にも狩りにも多くの人が従事するようになっている。
特に冒険者達の活躍が目覚ましく、肉はどんどん集められていた。
魔獣狩りチームまで発足し、魔物に困らない魔の森の中で、日夜戦い続けていた。
「アレだけ狩っても次々とやってくるってのも凄いわ」
「魔獣も縄張りが有りますから、その縄張りに他の魔獣が居なければ自分のモノにしようとやってくるのです」
「そこを狙い撃ちって訳ね」
魔法を放つポーズだけして、実際は何も出さない。
目の前に積まれた書類も少なくなった日常で、魔王城の周囲にも広がる森の木を伐採し、石を集め、加工して資材にする作業は、人員不足の為にストップしている。
「暇ではないけど何も出来ないのって辛いわね」
「スケルトンは安定しているのですけどね」
そのスケルトンが執務室に入ってきた。
どのスケルトンなのかは良く分からないが、いちいちノックして骨を折るのでドアは開けたままだ。
「そろそろ到着します」
「トレイン達は?」
「魔獣狩りにお出かけになりました」
先生の目からスケルトンよりも強くて黒いオーラが漏れ出している。
「まぁ……叱っても意味の無い事ですし、食料の備蓄を増やすのも悪い事ではありませんから……」
「もう一つの報告です」
「あら、なーに?」
「釣りは駄目でした」
そう言うと一礼して退室した。
駄目な理由は分かっている。
釣りあげようとして骨を折ったのだ。
シェリィのスケルトンでも、元の身体が駄目ならこの程度なのだ。
「ピタン……来るかなー?」
町からでも見えるあの巨大な城。
私達はあの場所を目指している。
深過ぎないが魔素が程よく流れている森を抜けると、目の前に城が現れる。
初めて見た城は冷たい空気が流れているような感覚、聖域とは違った荘厳さを感じる。ハッキリ言うと怖いし、どこか人も魔物も寄せ付けないような、城に嫌われてしまったかのような不思議な感覚に陥っていた。
「やっぱお城って凄いわねぇ……」
「俺達ココに住んでいいのかな……」
「あの娘が良いって言うんだから良いのよ」
「すごーい、すごーい」
馬車から降りて荷物も下ろす。
ジョンとレテが、スケルトンと話をしていて、ココに到着するまでに何回も同じ作業の繰り返しだった。
子供達は魔王城を見上げ、大人達はスケルトンの案内で各部屋に荷物を運んでいる。
「お、城主様のお出ましだゾ」
いつもの服のいつもの姿。
全然、全く、どこも、魔王らしくない。
「遅かったわね」
「おかげさまでもう夕方なんだけど」
ピタンとアイシャの再会は、想定よりもずっと早く、マリアにしても、もっとちゃんと準備してからなら、こちら側から誘うつもりでも有った。
「食事を用意してありますが……期待しないでください」
「そんなに財政状況が厳しいのか」
「もう半年ほど我慢すれば……という状況ですね」
先生が包み隠すことなく伝えると、ベルディナンドが驚いている。
「そこまで悪化してんのか。それでも町は良い感じに賑わっていたけどな」
「あなたの目から見ても安心できますか?」
「ん、あぁ……ちょっと問題は有るが、復興し始めた町ってのはこんなもんだろ」
確かに冒険者が多い町は、治安が安定しない。
どうしても質の悪い冒険者や、名を上げたいだけの荒くれ気味の者が多くなる。
町に住む女性は、狙われやすく、トレインから何度も報告がきている。
それでも何とか安定に向かっているは、食材が安定している事にも起因する。
腹ペコでは働けないばかりか、心も荒む。
他の街から来てくれた者達も食糧問題が解決してからは元気に働くようになっているのだ。
「まだ、税金を取れる状況じゃないのですよ」
「なるほどねぇ……」
「畑はいっぱいあったじゃないの」
「あるけど、直ぐに成長するもんじゃないのよ」
「これからはマンドラゴラで稼げばいいじゃないの」
「そういえば兎獣人達も連れて来たんでしたね……大人しくしていましたか?」
「無理に決まってるだろ」
ベルディナンドがばっさり。
兎獣人は男女が同じ場所に居れば直ぐ発情してしまう為、連れて行くには別々にする必要がある。良く寝るし、良く働くが、良く遊ぶのだ。
目の前で見ていても、未だにその生態は謎が多い。
「まだあの馬車に居るが、どうしたら良いかね?」
少し悩んだところで、思い出す。
「シェリィはいませんかね?」
まさか一緒に狩りに行ったとも思えないから、きっと忙しく働いているのだろうが……シェリィはこの城内で最も忙しいのだ。
「あ、あのっ、すみません」
現れたのは姉妹だ。
先生に助けられた姉妹で、私だって良く知っている。
「あれ、あんた達って……マリア教の……」
な、なんだっ?!
凄い殺気を感じたんだが……。
「えっと、その……」
「怒ってませんよ。えぇ……」
ベルディナンドに気付かれるとは失態です。
「あんた達の名前は無かったけど来てくれるんなら助かるわ」
「ああ、そうですか……よかった」
「おねーちゃんまた遊んでねー」
「えぇいいわよ、ココなら釣りで遊べるわ、明日にでも行きましょうねー」
「やったったー!!」
子供達と釣りに行く約束を勝手にしてしまいました。
仕事の予定も無いですし、明日の作業はスケルトンに任せますか。
「って、そうじゃなくて、シェリィはいませんか?」
それから暫くしてシェリィがスケルトンと一緒にやって来た。何も知らなかったから驚いていたが、こんなに賑やかな城内は初めて見たかもしれない。
スケルトンを見ても驚かないどころか、子供達と遊んでいる。
肋骨が転がっているので直してあげると、子供とダンスを始めた。
「今日だったんですか、もう少し遅くなると思っていました」
「私達も今日報告を受けましたのでそれについては仕方が有りません。ですがシェリィというかスケルトンでないと困る者達が来ていましてね」
事情を聴いて納得して作業に移る。
スケルトン自体はマリアでも使役可能だが、今は数が少ないだけでなく、管理もシェリィに任せている。
二人しかいない四天王の一人なので、本来なら重役なのだが、彼女自身がスケルトンになった事で、今は魔力核によって人の姿になっている。
疲れを知らない事で四天王筆頭よりも多忙を極めていた。
「なんかすげートコに来ちまったなあ」
「あら、今なら直ぐに四天王にしてあげるけど?」
魔王様直々の勧誘に、周りの方がビックリする。
「遠慮させてもらう。だが、こいつらの家と畑を作る手伝いぐらいはしてやるから、今はそれで勘弁してくれ」
「しょーが無いわね、ピタンはどうするの?」
「私に勝てたらなってあげても良いけどー?」
「それは良いですね、確実に仕留めましょう」
「えっ、せっ、先生?!」
「冗談ですよ。今は……」
ピタンの引き攣った表情を見てアイシャがニヤニヤしている。
アイシャにしてもピタンにしても、マリアから見ればまだ成長段階だ。
これからもっと強くなるし、強くならないと魔王として困る事になる。
だが、それ以外にやる事がどんどん増えてしまっている現状は、あまりよろしくない。今回の移民の件も、予定外ではないが、時期が早く成り過ぎた。
その原因となったのは、勇者召喚によって現れた班目の存在にある。
「では、暗くなる前に終わらせましょう」
※おまけ
「ししょー、ホントに終わらせちゃいましたっスね
「ギデオンだからだけど、あれで勇者じゃないって言うからホントに何なのかしら
「もう旅立っちゃいましたけど……ホントにあんな場所に行くなんて分からないっス
「ホントにネ
「ホントっス
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