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第104話 趣味の延長

 父親の言葉を期待してやって来た寝室。

 小さい頃は一緒に寝ていたから、この部屋は何度も来た事は有るが、隠し部屋が有るのは知らなかった。

 そもそも、入りたいが何処に隠し部屋が有るのか……。


「海が見渡せる凄く良い部屋だな」

「天気の良い夜は星空も凄く綺麗よ。それより隠し部屋探すのを手伝ってよ」

「探しているが隙間が見当たらない」

「先生は?」


 先生も部屋の真ん中でメルスと一緒に立っていた。

 なんでー。


「理由は同じです。魔力感知で探っているのですが、何処にも隙間は有りませんし、魔力の漏れも有りません」

「ちゃんと教えて欲しかったよー……」

「もう二度と再生できませんでしたから……」


 先生は再現しようとあれこれやっていたけど、おとーさんとおかーさんは二度と現れなかった。先生が無理なら無理だよね。

 ちなみに、おかーさんによる呪いは掛けられることなく、シェリィはまだスケルトンのままで、気にする様子も無かった。


「これほど完璧に隠されていると壁を壊すワケにも行かないので困ったものです」

「なんで壊したらダメなんだ?」

「予想ですけど、部屋ごと壊れて中身も壊れると思います」

「あ、これだわ、多分」


 魔王様が見つけたのは、ベッドの枕元にある何かのスイッチのような突起物。

 触って、押して、引いて、曲げる。

 

 パキッ


「あぅっ……」


 先生が枕元にやってきて、悲しい音がして折れてしまった所をジーっと見ている。


「これ、魔力が流れる仕組みになっているようですけど、魔力の流れが弱すぎて作動していませんね」

「じゃあ、この棒は何なの」

「それに触れて魔力を流すのです。折れてしまっていますが問題ありません。多分ですけど王妃様が開けなくて困らないように、魔力を流れ易くする為に突起物を付けたのだと思います」

「魔力を流すって言われても……それは一番最初にやったんだけど?」

「……私では開けません。魔王様は魔力の紋章を継承していますので、その魔力を流してみてください」

「あっ、なるほど……」


 今度は僅かな振動音が響くと、ベッドの横の壁が消えた。


「魔力の紋章ってこういう使い方が有ったんだ?」

「これは先代魔王様の独自の技術です。お嬢様の為に作ったと言っても過言ではありません」


 久しぶりにお嬢様って呼ばれた。


「確か、釣りに行くのに必要になると言って開発していました」

「あー、水圧レーザー撃ってくる魚が面倒だったからね」

「魔導船も釣りをする為なんじゃないですかね」

「……そういえば、空鯨を捕まえるのが夢だとか言ってた気がする」

「マーボゥと同じですね。存在するかどうかわかりませんし、見た事が有りません」


 そんな事を話していたら真っ先に入ったのがメルスだった。

 そして変な声を出している。


「ちょっと、どうしt……うぐっ」

「魔王さm……えぇ……」

「これはどっちの趣味だ?」

「私に聞かないでよ……」


 そこに在ったのは様々な衣装で、何故かバニースーツもある。

 このドレスなんてスケスケなんだけど。

 流石の先生もちょっと引いている。


「ラブラブカップルでしたし、まぁ、このくらいは……」

「それより魔導船ってどこよ」


 隠し部屋は意外に広く、宝になりそうな宝石類も有ったが、両親の宝物なので諦める。そんな事より魔導船だっ。

 服が邪魔していて気が付かなかったが大きな扉が有った。

 扉はメルスでも簡単に開き、さらに奥の部屋がある。

 そこに在ったのは……


「これですか……」

「確かに魔導船に見えるが」

「二人乗りの小さな船よね、これ」

「よく見てください、ココに魔導エンジンが有ります」


 マリアが簡単にカバーを外した中身はアイシャが見た事の無いモノだった。

 メルスも見た事が無いらしく、不思議そうにまじまじと見詰めている。


「一部に機械技術も入っていますので相当勉強していますね」


 キカイギジュツって何だろう?


「機械関係は苦手なので動かすくらいしか出来ませんが、ココに燃料となる魔力核を入れれば動くはずです」

「じゃあ、これって完成品?」

「おそらく……海に浮くだけではなく、空を飛べると思います」


 魔王様が感激しています。


「そんなモノを造ったら我々の仲間に破壊されるぞ」

「全長3メートル未満の小型魔導船で、幅も1.5未満で、二人乗りですね」


 先生が鑑定している。


「転覆防止と、水魔力によるジェット推進に、冷蔵機能と、ベッドに魔導エンジンの熱を利用した竈……対雷撃魔防壁に……これが重力装置ですか……」


 先生が更にぶつぶつと呟いている。


「このままでは動きませんね」

「なんで?」

「魔導エンジンを起動するキーが有りません」

「キー?」

「誰から教わったのか、ココにぴったりとハマるキーを挿して回すとエンジンが起動します」

「キーが有れば動くのよね?」

「鑑定結果では動くようです。約80ノットで飛行する様なのですが、鑑定結果が出ているという事は最低でも一回は飛行している事になりますから」

「そこにぴったりとハマる同じモノを作ったらダメなのか?」


 メルスの疑問は二人を解決に導いた。





 宝石や服はそのままにし、扉はちゃんと元に戻す。魔導船はマリアの魔法袋に入れて食堂に向かった。

 そろそろ夕食の時間だったからである。

 スケルトンの作った料理を食べるのはアイシャとメルス、レノアとホゥディの四人で、マリアは魔導船の動作テストの為に城の外に。

 美味しい料理とリンゴジュースを楽しみながら魔導船の話をする。


「いいなー、僕も乗りたい」

「ちゃんと動いたらいいわよ」

「やったったー」


 ホゥディの喜び方はアイシャの真似をしていて、いつどこで見たのか、積極的に使う用に成っていた。


「でもさー、魔導エンジンって危ないんじゃないの」


 とは、レノアの言葉である。


「先生がどうにかするんじゃないかな。少なくとも昔は研究していたみたいだし」

「先生に知らない事が有る方が驚くけどね」

「だよねー」


 メルスは食べるのに夢中である。


「魔導船に乗ってアイツのトコロに行ったら驚きそうよねっ」

「誰でも驚くよ」

「いいなーっ」

「流石に魔王様の仕事にホゥディは連れて行けないだろうからな」

「もっと強くなったら連れてってあげるわね」

「うん、僕おねーちゃんの為にがんばるっ」


 ホゥディの宣言に、ちょっと寂しそうに見詰めているレノアには気が付かず、アイシャは食事が終わると直ぐにマリアの居る所へ向かった。


「あ、まってー、ぼくもー」


 城から海までは直ぐ近くで、小さな港がある。

 ただ、殆どが小船で軍船は無い。

 その桟橋で先生が魔導船を浮かべている。


「すごーい、浮いてるぅぅぅぅぅ」


 アイシャとホゥディがキャーキャー喜んでいる。


「メルスが言う通り、適当に真似てキーを作ったら動きましたよ……」

「乗れる?」

「2人乗りですが、移動するだけなら4人でも問題なさそうです」

「じゃあ、明日はこれでニュービーズに行こう!!」


 魔王様が大判を持ち出して船に押し付けました。


 【許可】


 ……何故か乗りたくなくなりました。

 ですが、こんなに大喜びをしているとコレで行くしかないんですね。

 はぁ……。


「テスト飛行するのでメルスも乗ってください」

「……?」

「落ちた時の保険です」

「……なるほど」


 そう言って先生が乗り込んでメルスも乗った。


「ほら、早く乗りなさいよ」

「えー、おねーちゃんがー」


 全く、ガッカリです。

 いつまで経っても乗らないので出発します。

 えーっと、これをこーして、こっちをこーして。


「これで操るのか」

「えぇ。このレバーを手前に倒すと……」


 魔導船がゆっくりと進み、桟橋から離れて行く。

 それを二人が見ているが、乗りたかったけどコワかったなんて言えず、ただただ見送っていた。

 マリアはテスト飛行なので操作を確認しつつ、同じ事を繰り返す。

 高度調整と速度調整。

 右旋回、左旋回。

 ……潜水機能も有りますね。


「お、おい、沈んだぞ」

「これで問題ありません。20ノット以上の速度が出ています」


 誰ですか、ノットなんて面倒な事を教えた人は……キロメートルで良かったじゃないですかっ。しかも魚雷攻撃のボタンが有ります。釣りに必要なんですかね?


『魚雷攻撃は浪漫』


 何故か先代魔王の声が聞こえます。

 押しませんからね。

 ……これは見た目だけでした。

 本当に浪漫じゃないですかっ。

 もうっ。

 期待して押しちゃった私がバカでした……。


「何やってんだ?」

「テストです」

「それにしても良く動くな。ドラゴンほどの速度は出ないが、こんなモノが大量に空を飛んでいたら……」

「私なら即、撃ち墜とします」

「まぁ、この魔導船は魔力漏れが少ないから気が付かれる事も少ないようだが」


 ステルス機能というべきでしょうか。

 そんな夢のような機能が有るんですね。

 私がこの世界に来る前はステルスなんてゲームでの話で、存在するかどうかあやふやでしたが……。


「兵器としてはナカナカですが、基本的に怪魚系魔物から守る為に作られていますね」

「これ、ただの木材じゃないな」

「……トレントの木が使われていますね」


 テスト飛行も完璧ですし、レバー操作も分かりやすいです。

 夕陽が綺麗に見える肉視窓も……分厚いですが透明度の高いガラスに似たモノです。

 鑑定すると文字化けしたんですが、もしかして独自に開発したんですかね?

 凄い根性です。


 暫くすると魔力ゲージが減ったのを知らせるアラームが鳴る。

 なんとも用意周到です。


「何の音だ?」

「もうすぐ飛行する魔力が無くなるのを知らせるアラームです」

「なら直ぐに」

「戻るだけの魔力は有るので大丈夫です。元々満タンでは無かったですし」


 魔力核は即席で造ったもので、それでもソコソコ飛べたのだからかなりの技術力なのが分かる。

 分るだけに浪漫は人を動かす好奇心だとマリアは思った。

 だから骨に成っても、数千年経っても自分は存在し続けられるのだから。








※追加情報



マリアがこの世界に転移したのは平成中期ぐらい

そもそも近代兵器なんてものに興味のない普通の女性だった

ただし、転移した時代はみんなバラバラ


 

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-

 

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宜しくお願いしますm(_"_)m

 

 

 

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