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極強勇者の猫可愛いがり!!  作者: ロドリアンヌ
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第34話 『汚物は消滅よ!』

ルナ達が見えない熾天使にキレている。

認識は黒い害虫だが…


練られた膨大な魔力が炎に変換され体の所々から溢れている。

そして、二人が詠唱を開始した。


「其の魂、静かなる業火を以て悠久の時に縛られよ。何人足りとも逃れる事能わず。『蒼炎の牢獄』!」

『我が進む道は、常に炎と共にあり。其の道は王が通る道なり。『炎王の道』!』

ルナ達を中心に蒼い波動が広がった。

その波動が触れた瞬間、体全体が極薄の炎に包まれている感覚を味わった。

そして、深紅の炎がルナ達の周りを渦を描くように広がっていく。



『まだまだいくわよ!』

「わかってるよ!」


「炎より生まれし煉獄の不死鳥よ。猛炎を贄とし、汝の魂を我等に分け与えよ。『流転の灯火』!」

『ただひたすらに暑かった…。僕はあの夏を思い出すだろう。『炎天下の夏』!』

気付けば小さい火の鳥が目の前におり、自分達の体の中に入ってきた。

あと、体感気温が30℃くらい上昇した…



「これで最後です!」

『とっておき行くわよ!』


「燃えよ、燃えよ。只ひたすらに燃え続けよ。そして全てを燃やし尽くせ。『燃焼球体』!」

『我が望むは猛然たる配下。其の力を以て全てを灰燼に帰すがいい。『召喚・巨炎兵』!』

三度目の詠唱が終わると、ルナの頭上に小さな太陽が出現し、その太陽から某アニメを彷彿とさせる背の高い火の巨人が這い出て来た。

太陽からはプロミネンスが溢れ、ルナの周りを焼き尽くしていく。

炎の巨人は熱線を吐き、手に持った炎の槍をぶん回して辺りを破壊し尽くした。



「「「ひい~~~!」」」

俺とリルとニアは目の前の地獄絵図を見て、三人で身を寄せあって震えていた。炎と熱でいつ焼け死んでいてもおかしくない状態だったが、さっきの火の鳥のおかげ?で体は何とも無かった。

だが、熾天使様は違うようだ。ルナ達の全方位へのデタラメな攻撃により既に体の半分は吹き飛んでおり、残りの体も炎に包まれていた。


「ば、馬鹿な…。下位生物にこのような力があるわけが…。我が主よりも…」

「何処にいるかは分かりませんが、覚悟して下さい!」

『汚物は消滅よ!』



「『ファイア!』」


その日、神域に近いその場所で全てが消滅した…






「はっ!」

目が覚めると、ルナに膝枕されていた。


「ご主人様、おはようございます」

『だいぶ寝てたわよ。さあ、早く出発しましょ!』

「熾天使はどうなった?」

『もう…、天使なんて居るわけ無いって何回も言ってるのに』

「そうです。神様とか天使は物語の中の存在ですよ」

実際に戦った筈なんだが…

あれは夢…だったのか?



『リル~置いて行くわよ~』

「待って欲しいのじゃ!妾も今起きたばかりなのじゃ!」

『ほら、ニアちゃんも』

「うむ、この服は着るのに時間がかかるな…」

周りの景色は焼け野原では無く、普通の平原だった。

リルとニアにも驚いた様子は無い。


『それにしても、見えない害虫って本当に厄介ね』

「でも今回は巣も一掃出来たんじゃないかな?」

『そうね、暫くは出て来ないでしょ』

やっぱり夢じゃ無かった!

ルナ達に説明してもらおう。


「最後にファイアを使ってたのに何で…」

『ああ、あれね。最初の魔法が結界魔法よ。あの波動が広がる所までしか、魔法の影響が出ないようになってるわ。『炎王の道』は火魔法特化の魔力ブーストね』

「『流転の灯火』で不死鳥の魂が分け与えられた人は火属性の攻撃が効かなくなります」

「『炎天下の夏』は?」

『あれは実際には気温が300℃くらい上がってるから、生物ならあの時点で普通に死ぬわ』

「………」

「あとは見たままです」

『一応全部私の創作よ。凄いでしょ♪』

「凄すぎるなんてものじゃないんだが…」

『むふっふ~♪そうでしょう!そうでしょう!因みに本当は詠唱する必要は無いんだけど、カッコいいかなと思って作ってみたわ!』

「寝る前に頭の中で詠唱の練習としみゅれーしょんと言うのをやりました…」

「そうか…」

『まあ、暫くは虫も寄ってこないと思うから、旅を再開しましょ』

「そうだな…」

前世の記憶だと熾天使はあと三匹いるはずだが、無謀な敵討ちに走らない事を祈るばかりだ…




…気を取り直して出発しよう。

次は何処に行こうか。


「よし!来た時とは違う方角に進んでみよう。ワタル君の話だと皇国や聖王国、魔法都市なんかもあるみたいだからな」

『ダンジョン攻略なんかどうかしら?』

「おっ、それは良いな!宝箱開ける瞬間とかドキドキするんだろうな~」

「勝手に中身取って行って良いんですか?」

「…確かに誰かの所持ダンジョンならダメだろうな」

後から権利を主張されて伝説の武具を返品するのは嫌だな。

入る前にちゃんと確かめよう…


「此処からなら『竜の巣』と言うダンジョンが近くにあった筈じゃ」

「…そこのボスは?」

「確か…エインシェントドラゴンじゃったが、そう言えばガルーダが倒しておったのう…」

「却下だな…。ガルは居ないが、他のドラゴンに逆恨みされる可能性もある」

『ガルはその他のドラゴンはどうしたのかしら?気になるわね…』

この話は続けない方が良さそうだ。


「前に入った『深淵の森』もダンジョンと言えばダンジョンだな」

「オークキングさんは無事でしょうか?」

そう言えば俺が無茶振りをした奴が居たな。

聖地アビス(仮)には無事に辿り着いただろうか…

今度行ってみよう。


「我が各地を転々としていた時にダンジョン都市と言う所があったぞ」

ニアがルナの頭の上をふよふよと飛びながらそう言った。

商人から商人へ売られ続けたと言う自虐的なジョークだろうか…


『ダンジョン都市!?全ダンジョンを全階層制覇よ!』

「楽しそうです♪」

「響きは良いが多分大変だぞ…」

ナナは途中で飽きる様な気がする…

俺は手頃なダンジョンで雰囲気だけ味わいたいんだが。



『広域地図』の魔法でダンジョン都市の場所を調べると、此処から南西に400kmだったので、早速向かう事にした。


ガルが居たらひとっ飛びなのだが、あいつはこの場に居ないので飛行魔法で飛んでいく。


『どうせなら競争しない?』

飛行中、ナナがそんなことを言い出した。


「…良いだろう。越えられない壁と言うものを見せつけてくれるわ!」

『何なの、そのキャラ?』

「いや、何となく…」

「買ったら何か貰えますか?」

「そうだな、この前の件も有耶無耶になってたし。この勝負の勝った方の言うことを何でも聞くと言うのはどうだ?」

「『何でも…』」

二人の声がハモった。何を要求してくるかは分からないが勝負事は張り合いが無いとつまらないからな。


『ルナ!全力で行くわよ!』

「例えこの身が朽ち果てようと…、私はこの勝負に命を賭けます!」

いや、賭けなくて良いから!!



ルールは単純に、純粋な飛行魔法だけでどちらが先に400km先にあるダンジョン都市に着くかを競う事にした。

強化魔法や他の魔法でのアシストを使うとどれだけ速くなるか分からないので危険だろうとの判断だ。


勿論、途中で魔力が切れたら地上に降りて魔力が回復するのを待っても良いし、他の移動手段に頼っても良い。

自由度が高い分、その選択も戦略の一つだ。


「準備は良いか?」

『何時でも良いわよ!』

「ナナ!両手両足が千切れても飛び続けようね!」

『…あ、うん』

二人の温度差が激し過ぎる。

因みに飛行魔法で両手両足が千切れることは無い…





そして、俺達は風になった。










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