表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
極強勇者の猫可愛いがり!!  作者: ロドリアンヌ
35/35

第35話 人型吸血兵器

勝負の結果は…



無効試合になった。


100km辺りで俺の魔力が先に底をつき、先に進むルナ達を見ながら地上に降り立つ。

すぐに魔力を回復するべく座って休んでいると、ルナ達が戻ってきた。


「ご主人様と離れるのは嫌です…」

『べ、別にいつも隣にいる旦那様が居なくなって、急に寂しくなったわけじゃ無いんだからね!』

勝負以前の問題だった。



と言うわけで、今は仲良く手を繋いで飛行中だ。


『やっぱり旦那様の手の安心感は半端無いわね!』

「落ち着きます♪」

俺の手にはリラックス効果もあるらしい。


「我の魔力ブーストがあればすぐに着くのではないか?」

ずっとルナの頭の上にいたニアが聞いてきた。

ついでにリルはルナのポシェットの中で就寝中だ。


「すぐ着くかも知れないが、速すぎて危ないからな」

『確かにスピードの出し過ぎでねずみ捕りに引っ掛かるのは嫌ね』

ナナが言ってるのは誰の記憶だろうか?

あっ、もしかして親父の車でスピード検問に捕まった時のやつか。

何故か親父が警官にヘコヘコしていたのが印象に残っている。


話が逸れたが、急ぐ旅でもないのでゆっくり景色を楽しみながら進む事にした。



暫く飛んでいると、眼下の平原では軍隊同士が小競り合いを行っていた。遠視の魔法で見てみると片方の軍勢には魔物しか居なかった、魔王軍だろうか?


「ご主人様…」

『旦那様、どうするの?』

一応、俺は勇者なので加勢して魔王軍を殲滅するのが当然だろう。だが、ルナ達を危険に晒す訳にもいかない。

魔王軍の中には特別強そうな個体も見受けられる。


とそこで俺は妙案を思い付いた!


「人型吸血兵器を投入しよう!」

「ひとがたきゅうけつへいき?」

『ああ、リルのことね。でも魔王軍の仲間と勘違いされるんじゃない?』

「リル活躍→英雄誕生→リル満足→パーティー離脱の流れだな」

「ご主人様は天才です!」

『…相変わらず酷い扱いね。でもどうやってリルをその気にさせるの?』

「俺に秘策がある」



「リル、リル起きろ」

「なんじゃ?もう夜かの?」

「いや、お前にしか頼めない事があるんだ」

「妾にしか頼めないとは余程の事か?」

「ああ、偉大な吸血鬼の真祖であるリルターナ・ソレイディスに頼みがある」

「ほほう、言うてみるが良いぞ!妾にかかれば何でも片手間で解決してやるのじゃ!」

「ぐぬぬぬ…」

『我慢、我慢するのよルナ!』

「下に見える魔王の軍隊を蹴散らして欲しい。勿論ただでとは言わない」

「なんじゃ?何か褒美をくれるのか?」

「そうだな、達成出来たら俺の血を吸って良いぞ」

「!!!」

『ダメよルナ!剣を納めて!ああ、握った拳から血が!』

「………本当かの?二言は無いぞ?」

「ああ、好きなだけ吸って良いぞ」

「…勇者様の綺麗なうなじに噛みついて味わう血の味♪さぞ甘美じゃろうな~♪」

リルの顔が蕩け顔になる。まずい!あれは捕食者の目だ。


「…………」

『待ってルナ!魔力が外に溢れてるわ!まさか、暴走!?』

「魔物だけ蹴散らせば良いのじゃな?」

「ああ、期待してるぞ」

「すぐ済ませて来るのじゃ!」

俺が笑顔で応えると、リルは物凄い勢いで突撃していった…


『あれが秘策?』

「ああ」

『「ああ」じゃ無いわよ!リルが行く前に全てが終わる所だったわよ!』

「…ご主人様」

「ルナ、ごめんな」

落ち込んだルナの頭を撫でてやる。


「えへへ♪」

『……大丈夫かしらこの子。あれ、ニアは?』





≪第三者視点≫


俺の名はハンス、帝国軍のしがない一兵卒だ。

これまでも幾度と戦争に駆り出されたが運良く今まで生き残ってきた。

しかしそれも今回までだろう。

目の前には5mを超すサイクロプス。俺の周りには仲間の無惨な死体がひしめき合っている。


最初は良かった…ゴブリンやコボルトであれば訓練を受けた俺達なら楽勝だった。

それからオーク、オーガが出てきたが、それでも何とか持ちこたえた。

そして、次がサイクロプスとミノタウロスと言うわけだ。

自分の身長の2倍3倍もある敵が徒党を組んで襲いかかってくる。まさに地獄だ。

後ろでは指揮官が「突撃!突撃~!」などと宣っているが、前線は既に壊滅状態だった。

こんな事なら親に反抗して村を飛び出すんじゃ無かった…

好きだった幼馴染みは元気だろうか?もう村の他の男と結婚でもしているだろうか?

俺がそんな現実逃避をしていると、次の瞬間、爆音と共に衝撃波で吹き飛ばされた。


「な、何が…」

砂埃が晴れた後には、金髪紅眼の幼女が仁王立ちしていた。頭には変な衣装を着た人形を乗せている。

俺は幻でも見ているのだろうか?

周りの兵士も魔物すらも唖然としていた。



「人間どもよ、良く聞くが良いぞ。勇者様の慈悲により、妾が魔王軍を蹴散らす事になった。その場で大人しくしておることじゃ」

「何で我まで…」

勇者?蹴散らす?何の事だ?

あと、人形が喋った!?


「では始めるかの。『ナイトヴェール』」

その瞬間視界が夜になった。


「は?」

一体何が起きてるんだ?


「なんじゃ?お主ら頭が高いぞ『ひれ伏せ』」

その一言は自分の中の深層恐怖を呼び起こさせ、立って居られなくなった。周りを見るとサイクロプスやミノタウロスまで足を着き頭を垂れている。


「おお、『威圧』の威力も上がっておるのじゃ。ニアプーストは便利じゃの」

「後でちゃんと報酬は要求するぞ」

「分かっておるのじゃ。ふむ、血が大量にあるから武器には困らんな『血の隷属』」

幼女の周りに辺り一体の血が集まり、大量の剣を象っていく。


「『千刃血界』」

剣が独りでに動きだし、次々と魔物を屠っていく。

硬直状態を抜け出せた魔物も居たようが、剣の数に押しきられ徐々に沈んでいく。

その中心で笑みを浮かべ佇む幼女。良く見ると宙に浮いていた。


やはり夢なのだろう…

目が覚めたら村に帰ろう。



「ん、有象無象のボスが来たかの?」

「何故此処に真祖が居る?しかも人間に加担するだと?」

「お主は誰じゃ?」

「我は魔王軍六皇の一人『自戒のフィー「邪魔じゃ!」ウボア!!」

「フィーウボアとは…変わった名前じゃったのう」

「ウボアは断末魔の叫びだろう…」

突如現れた魔王軍の幹部は、幼女の一撃のもとに沈んだ…



「やはりあの鳥は異常じゃ!この妾が手も足も出んとは…納得いかんぞ!」

「アレは我々とは別の存在だと言っただろう」

「ぐぬぬ…。ん?フィーウボアが何かドロップしたようじゃ!」

見ると魔王軍六皇の倒れた後には一振りの剣が地面に刺さっていた。


「ふむふむ、魔剣アークレイヴとな?妾は剣は使えぬし、勇者様は強そうな聖剣を持っておった。ルナ様には滅神剣が…」

「別に我らが使う必要は無いのでは?」

「そうじゃな。おい、そこの人間!」

幼女と目が合う。慌て周りを見てみるが周りは死体だらけで、ちょっと離れた所に他の兵士達がいる。


「お、俺ですか?」

「そうじゃ!お主じゃ!折角じゃからこの剣はお主が使うと良いのじゃ」

「は、はあ…」

乗り気では無かったが、逆らうとどうなるか分からなかったので、素直に剣の所まで行き地面から剣を抜いた。


『マスターの変更確認……。貴方が新しいマスターですね。私はアークと申します。不束者ですが末長く宜しくお願いします』

剣が喋った!


『マスター?どうかされましたか?』

「…き、君は剣なのに喋れるんだね」

『はい♪マスターとのお喋りは楽しみの一つです。前のマスターは全く構ってくれなかったので…。優しそうなマスターで嬉しいです!』

「そうか…。じゃあこれから宜しくねアーク!」

『もう名前で呼んで貰えるなんて!!……シンクロ率が20%上昇、使用者限定モードに移行しました』

後半は何を言っているのか解らなかったけど、喜んで貰えてるみたいで良かった。


「あの!ありがとうございます」

「別に気にせんでも良いぞ。ただお主が近くに居ただけじゃからの。それより残った魔物を駆逐せねば…」

「お、俺も手伝います!」

「強気なおのこじゃのう。では宜しく頼もうかの」

「はい!」

それから俺は何体かの魔物を倒した。

アークがどう動けば良いか教えてくれるし、体も自分の体じゃないみたいに思い通りに動いた。

その間に幼女はほぼ全ての魔物を倒していたが…


「あ、あの!貴女のお名前は!?」

「ん、妾か?妾の名はリルじゃ」

「リルさん、本当にありがとうございました!貴女は英雄です!是非帝国に来て頂けませんか!」

「ふむ、持ち上げられるのは嫌いでは無いが、妾は吸血鬼じゃ。人間とは相容れることは無かろう」

「種族なんて関係ありません!貴女は俺の命の恩人ですから!」

「そうじゃな…。よし!お主がもっと強くなって妾と肩を並べられるようになったらまた会うことにするのじゃ!それまで頑張るのじゃぞ!」

「…わかりました。俺、アークと一緒にもっと強くなります!」

『マスター!私、嬉しいです!……好感度が20アップ、『不壊』『絶断』機能をアップロードしました』

「それでは戻るとするか。…勇者様の血は何味じゃろうか♪」

一瞬、舌舐りをするリルさんから幼女とは思えない途轍もない妖艶なオーラが出た気がするが、気のせいだろう。


「ではお主も息災でな!」

「はい!俺の名はハンスと言います!覚えておいて下さい!」

こうして突如現れた幼女は慌ただしく居なくなった。

だが、こんな俺にも目標が出来た。絶対強くなってまたリルさんに会うんだ!


「アーク、これからも宜しくな!」

『はい♪マイマスター、私が貴方を最強にしてみせますわ!』







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ