73.外された仮の称号
――迎えたトーナメント形式の本戦。雨に助けられ三回戦まで進出。あと一つ勝ち進めば……
入賞を目前にしながらも、レン達の運は尽きてしまった。四回戦、雨雲が去ったコンディションの下、復調した対戦相手に大負けし敢え無く敗退。
惜しくも入賞に至らなかった彼らには、学園からの褒美は無し。それでも四人は清々しい気持ちで戦いを締めくくることができた。悔いは何一つない、出し切った。
「各国の猛者達の壁は厚かったわね」
「でも他所と同じ機体だったらウチら絶対入賞してたっすよ」
「こういう場合、叶わないような空論を持ち込むのはご法度」
すっかり陽が暮れ、灯りに照らされたチーム部屋で四人は健闘を称え合っていた。イリスはカティアといつもの調子で言葉を交わす。慣れ親しんだ光景がこの部屋に戻ってきた。
全てのトーナメントが終わり、気づいてみれば彼らの一つ上の順位はジーク率いるチームであった。
「でも学年のエースと一つしか順位が違わない。そう考えると、やってやったわね。隊長として誇らしいわ」
「にゃはははは。確かに、ウチら学年で二番目のチームって事になるっすね」
「ティア、それは思い上がり過ぎ。運に助けられた」
「いやいやルーちゃん。いつも言ってるじゃないっすか、運も立派な実力なんすよ」
そうだカティア、その通りだ。
初飛行で試験を通過した時も、今回も運が味方しなければ結果はでなかった。でもそれでいい、他人からどう見られようと結果が出ているんだから文句は言わせない。
そもそも自分たちは今更、人の目がどうこう気にするような集まりじゃない。僅かばかり与えられた才能と、無理なくできる努力、そして運の強さでこれからも精進していこう。
「それで隊長。新生イリス隊長チームは『仮』を外すんっすか?」
「当然よ」
晴れて正式なチームとなった事をイリスが宣言。
「おおぉぉ」
その宣言を耳にレンもカティアも思わず声を漏らした。
「んっ…… この先、ますますハードになりそう。面倒くさい……」
「エイルシファーあなたハードって程の事してないでしょ……」
「起きてるだけでも重労働」
仮の称号が外れようが何だろうが、相変わらずのエイルに他三人は目を合わせ思わず笑いが漏れる。
彼らの挑戦はまだ始まったばかりだ。




