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処刑台のワンオペ聖女〜神ペンで推しとブラック職場を改善します〜  作者: みねバイヤーン(石投げ令嬢フルカラー電子コミック①②発売)


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4/10

【4】朝チュンの後はほかほかごはんで

 朗報、目が覚めたら、アトラスの腕の中だった件!


 昨日あれからふたりで乾きものだけの軽い夕食を楽しみ、いざ寝るとなったとき、問題が勃発したのだ。


 私の寝る場所がない問題である。神殿には帰れない。きっと監視がついてて、つかまっちゃう。


「この塔の空き部屋を使ってもいいですか?」

「それこそ却下だ。掃除もされていない、家具もない。そんなところで令嬢がひとりで寝るなんて。いけないよ。危ないし。俺はソファーで寝るから、マリエラはベッドを使いなさい」


「いやいやいや」


「君に指一本触れないと誓おう。それなら少しは安心か?」


「いやいやいや」


 押し問答の末、ベッドの真ん中に毛布でバリアを築いて寝たのだ。

 推しが隣にいるなんて、寝られるわけないと思ったけど、疲れていたのかいつの間にか眠っていたらしい。それはいい。


 なぜ、私は今推しに腕枕されているのだろうか。夢のような朝チュン。

 私は前世でどんな徳を積んだのであろうか。あ、ワンオペ経理がんばったからか。そうかそうか。じゃあ、遠慮なく。

 アトラスが目を覚ます前に、アトラスを堪能しなければならない。集中。

 

 あったかーい。いい匂い。寝息。寝顔。尊い。

 まつ毛が長い。まつエクしてるんかなって思うほど長い。マスカラ塗りごたえがありそう。

 腕枕してもらっちゃってるけど、腕はしびれないかな。でも動くと起こしちゃいそう。

 この寝顔、目に焼きつけておこう。じっと見つめてると、アトラスの目が開いて、目が合ってしまった。


 ひげっ、カエルみたいな声が出ちゃった。なかったことにしたくて目をつぶった。

 

 フルフルとアトラスの腕が震え、こらえきれないような笑い声が聞こえたので、観念して目を開けた。


「おはよう」

「おはようございます。あ、あのー、どうして腕枕になってしまっているのでしょう」


「うなされながらこちらに転がってきたから受け止めた。エクセルがかたまった、ニュウキンひとけた間違えた、ケッサンジゴク、いちえんが合わない、おわた。意味は分からないが、切羽詰まっているのは伝わってきた。怖い夢でも見た?」


「う、そうですね。怖い夢を見たんでしょうね」


 決算に限らず、経理には背筋が冷える瞬間がいくつもある。それらをまとめて夢に見たんだろう。覚えてなくてよかった。


「それで思い出しました。私、寄付金を横領したと処刑台で言われたんです。私は絶対取ってないんです。真犯人をみつけてお金を取り戻せば、濡れ衣もはらせるし、民からのいいねももらえて一石二鳥なのではないかしら」

 

「協力しよう。俺の王子という身分を最大限に利用すればいい。さてどうしようか」


 アトラスがしばらく一点を見て何かを考えている。しばらくしてニッコリ笑った。


「案を思いついた。説明する前に、今日のいいねを入れようか。魔力が落ち着いたから、全身のだるさがなくなった。久しぶりに人と会話しながらの食事ができて楽しかった。新しい部屋はぬくもりがあって落ち着く。君の存在全てが、俺の救いだ。マリエラ、本当にありがとう」


「は、はいいい」


 トゥンク、トゥンク、トゥンク。妙な通知音が鳴り響いて、ハートが降り注ぐ。すごい、こんなに心のこもったいいね、初めてかも。嬉しすぎて、胸が締め付けられる。これが、真の胸キュン。ズキューンなのね。


『条件ズキューンが達成されました。推しからのいいねで、チャージが爆速になります。イエーイ』


「イ、イエーイ。ノリ、かっる。あ、でも本当に神ペンが全チャージできてる。すっごーい」

「いいねはひとり一日十個までではなかったのか?」

「そのー、仕様が変わったみたいですね」


 さすがに、ズキューン効果とは言えない。恥ずか死ぬ。


「神ペンが使えるのならば、できることが増えそうだ。では、朝食を食べながら計画を詰めよう」


 名残惜しいけど、いつまでも腕枕を満喫している場合ではない。


 アトラスが壁際に行き、壁についているハンドルを回し始めた。カラカラキコキコ音がする。ハンドルの隣にある扉を開けると、食べ物が載っている。手動エレベーターだ。初めて見た。


「すごい」

「人との接触は避けたいからね。不用意に近づくと、相手が魔力酔いをしてしまう。今はマリエラのおかげで大丈夫だけど」


 ふたりで、テーブルに並べる。パン、チーズ、ゆで卵、果物、王子にしては質素だ。紅茶ポットから注いだお茶はすっかりぬるくなっている。せめてこれ以上冷めないように、保温機能をつけよう。


『ワールド・エディター、フードウォーマー』


 テーブルの上に卓上フードウォーマーが現れた。電気はないけど、魔力なら潤沢にあるので、魔力で温める仕様だ。


「アトラス様の食生活改善はあとで本格的に考えますね。今はとりあえずこれぐらいで。さあ、食べましょう」


 目を丸くしていたアトラスは、ほかほかになったパンを手に取って顔をほころばせる。


「温かい食事は久しぶりだ。マリエラ、ありがとう」


 その笑顔、プライスレス。これを見るためなら、なんだってしちゃう。


 アトラスの前でモグモグするのはまだ緊張するけど、お腹がすいていたのでそれなりに食べられた。


 アトラスから計画を説明され、私もたくさん案を出し、実行することになった。

 いざ、神殿に突撃だ。


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