元騎士、アイが心配
遅くなりました!!
「ギルドマスターが新人に負けたってまじかよ?」
「まじまじ」
「最初からDランクスタートって噂だぜ」
「ひゃ〜けち臭せぇギルドにしては異例の好待遇だな」
小遣い稼ぎに来たエクティスの耳に入るのはアイの噂話ばかり、それも仕方ない事だ、試験官を倒すなど前代未聞だろう、それも14歳くらいの少女がギルマスを倒したなど大体の人間が興味を示す話題。
事実、ギルド内の人間全員がアイについて話していた。
「…………心配だ……」
エクティスは一人呟く。
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『ブモォォォォォ!!!!』
異形の怪物は咆哮しながら疾駆し、愚かな獲物たちを追いかけ回している
三人は洞窟内を全速力で走り抜けている。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、なんであんなところにミノタウロスがいるんだ……」
「黙って逃げなさい!!」
「あっ、」
三人の内、一人、軽装の少年がコケて惨めに地に転がる。
「か、カルロス何してんの!!!」
「は、早く、立て……う、後ろ!!」
「へっ……あ……」
後ろを見ると怪物は目の前まで迫ってきて、叩き潰そうと棍棒を振り下ろす。
『ブモォォォォォ!!!』
自身の死を確信したカルロスは目を瞑る、硬質な物同士がぶつかった金属音がするだけで、自身がいつまでも無事なことに不思議に思っていると無機質、無感情、機械的な少女の呟きが聞こえてくる。
「………前、大切な人以外どうでもいいって言ったけど………全然そんなことないな………」
『ブモォッ!!?』
「「「へっ!?」」」
あり得ない光景、怪物の渾身の一振りを自分達より小柄で華奢な少女が傘で受け止めている。
「…横槍してごめん……危なそうに見えたからさ…」
少女はこちらに少し顔向けながら謝罪する。
『ブォォォォォ!!!!』
力任せに押し切ろうと力を入れるが、少女は大樹のごとく、全く動かず、逆に怪物の方が少し後退する。
「…………………意外と軽いね………」
『ブォ!!?』
少女は言うや否や、棍棒を受け止めていた鉄傘から力を抜き、武器を受け流す。
釣り合っていた力を抜けられて、そのまま空振るミノタウロス、棍棒が地に埋め込まれる。
「………武器魔硬化完了……」
少女は短い詠唱をすると、鉄傘が少し光沢が増し、棍棒を引き抜こうとしているミノタウロスに傘を突き刺す。
「……………弾けろ………」
瞬間、ミノタウロスは粉々に吹っ飛ぶ。
突き刺した傘から炸裂弾を打ち込み、内部から爆裂させたのだ。
「………余計なお世話を焼いたね………じゃあ……お互いがんばろ………」
踵を返して去ってしまおうとする少女を呼び止めるカルロス。
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
「………うん………?」
「な、名前を教えてください……♡」
「へ?ちょ、カロルス?」
「………アイ……アイだよ……」
「よ、よかったら、俺たちとパーティー組みませんか!!!」
「…………そっちの方がエクスも安心しそうだな…」
「へ?」
「…………うん良いよ……そっちの二人がいいならだけど……」
アイちゃんパーティー初加入!!




