元騎士、新しい剣を買う
新装備!!
「………まさか折れちゃうとはな〜」
ぼやくエクティスは武器屋の前にいた。
鋼鉄大鬼の猛攻を数瞬、添えただけでも彼の剣は耐えきることはできなかった。
家に帰って鞘から抜いてみるとポッキリいっていて、少し泣いた。
別に切れ味がすごいとか、値段が高いとか、価値はそんなに高くない、長年使ってきて愛着があった、ただそれだけの剣。
(……引きずっても仕方ないので、こいつを溶かして素材にでもしてもらうか……)
呑気なことを考えていたら、不意に頭の中に声が響く。
『………ねぇ…そこのお兄さん…ちょちょっと私を試してみない?』
不意に若々しく、妖艶な声が聞こえてくる、慌てて近くを確認するが人はいない。
「え?な、なんだ、エロい女の人の声が聞こえた気がする……」
『ウフフ、こっちこっち……』
冷や汗を浮かべ、青い顔をし出したエクティス、そんな彼を招き寄せる声の主。
「………この剣から声が聞こえた気がした………いや〜そんなバナナ〜」
『アラ、やっぱり気があうわね、私も好きよ……バナナ……』
剣が喋るわけないと寒い親父ギャグをかますエクティス、バナナという単語に反応を示す剣。
「え?す、すげぇ、剣って、最近のはSiriまで付いてんのかよ……」
『いやいや、私をそんなチャチなものと一緒にしないで……私は性剣よ!』
剣だからわからないが、心なしか胸を張って自慢してる姿を幻視するエクティス。
「せ、聖剣?そりゃすげぇな………けど、なんでこんなところにあるの?……ダンジョンの奥とかにあるのが普通だろ?」
『え、そ、そ、それは、あれよ、それなのよ、私は使い手を選ぶというか、持ってきたやつが私を使いこなす力がなかったのよ』
素直な賞賛の後、もっともな疑問をぶつけられ、どもりながら説明する剣。
「えっと、つまり……あんたは選ばれた人間しか使えない、でも、持ってきたやつにはその資格がなくて、武器屋に売られて、今に至る……ってことか?」
『………まぁ平たくいうとそうね…………』
剣の色々誤魔化そうとしていた説明をあっさりわかりやすいように噛み砕き、自身の予想が合ってるかどうか聞く、剣もこれ以上誤魔化すのは無理だと判断し、彼の予想を認める。
「……えっと……じゃあ俺にも……使えないんじゃ?」
『いえ、貴方には私を使いこなすチカラがあるわ、もしかしたら歴代最強といえるほどの才能秘めている』
「え?!?ま、まじ!?!」
至極当然の帰結に辿り着き、自身も資格がないのでは?と言う彼の言葉を良い意味で否定してくる剣。
あなたには才能があると詐欺師の常套句にまんまと引っかかる。
『そうよ、だから私を使いなさい、さすれば、この世の女を手にできるわよ』
「え、この世すべてを手に入れるってまさか、海○王になれるの?」
『私が保証するわ、貴方はハーレム王になれる』
「買った!!!」
「まいどあり〜」
勘違いに勘違いを重ね購入するエクティス。
今週から性剣使いの叡智詠唱が始まります。




