第17話 2の月40日(1) 成人前夜
第17話 2の月40日(1) 成人前夜
「よし今日はこれで店じまいだ 後片付け頼むぞ」
そう言うとゴートは裏へ下がっていった。
半年間やってきた片づけは手馴れたもので、テキパキと行う。
ゴートの指導はとても厳しいものであった。
普段は今までどおりのゴートであったが、ひとたび仕事に取り掛かるとまるで人が変わったかのようだった。
・・・実際何度も殴られた。
この半年は鍛冶の基礎を徹底的に叩き込まれた。
日本での幼少期に父親から仕込まれていたので、鍛冶の基本くらいはと思っていたが、甘かった。
日本にはもちろんスキルなんてないし、逆に日本で使っていたような機械装置もないので、一からやり直しだった。
店に並べられるような商品が打てるようになったのはつい最近のことだ。
夕食後ゴートに部屋に呼ばれ部屋に向かうとそこにはアイもいた。
「師匠 アイさんが居るんなら後にしようか?」
「いいからそこに座れ」
「はい」
椅子に座るとアイもゴートの隣に座る。
「ライト明日で成人だな おめでとう」
「ありがとうございます」
「それで前々から言っていた話なんだが・・・まずこれを」
ゴートから渡されたものは金貨10枚と銀貨・銅貨が多数入った袋だった。
「こんな大金どうしたの」
「これはお前の母親から預かっていたお金だ お前の人頭税もここから払っていたんだ これからはお前の好きに使え」
「かあさんから・・・」
「お前も明日で成人だ 俺の元を離れ一人立ちするべきだろう」
「・・・」
「お前には半年ではあったが鍛冶を叩き込んだつもりだ 俺はどこに出しても恥ずかしくない腕だと思っている」
「・・・ありがとうございます」
「ライト 昨日俺の元を訪ねて来た人を覚えているか?」
「えっと確かオルフ様とおっしゃっていた気がしますが」
「あいつは俺の古い友人でお前の故郷でもある南の自治区アドの商人ギルド長だ」
「・・・」
「少し前 アドの町で空き店舗ができたらしく オルフからアドの町で店をやらないかと誘われていたんだ」
「アドの町で・・・」
「それで昨日お前を推薦しておいた」
「っえ?自分を・・・ですか」
「一人ではやっていく自信がないか?」
「そんなことはない」
そう強く反論すると、ゴートは笑いながら続ける。
「その意気なら大丈夫だ 俺に恥をかかすなよ 頼んだぞ」
「はい!」
「それからアイさんのことなんだが・・・」
そう言うとアイは椅子から降り地面に土下座する。
「申し訳ありません ご主人様」
「ちょっと アイさん何してるの やめてよ それにご主人様って誰のこと?」
謝り続けるアイをどうにか椅子に座らせ、苦笑いを浮かべるゴートに説明を求める。
「アイさんはなぁ おまえの『奴隷』なんだよ」
一応次話で少年時代は一区切りです




