第15話 4の月7日(2) 成長
第15話 4の月7日(2) 成長
帰り道、ゴートとあれこれ話しながら家路を急いでいると、見たことのない生物が現れた。
背丈は子供より少し高いくらいで、顔は醜く、手には棍棒らしき物を握っている。
「ライト あれはゴブリンだ ファーラビットと違い手強いぞ 油断するなよ」
ゴートの真剣な口調に自然と体が強張る。
(まだ距離がある まずは『鑑定』だな)
ゴブリン(子) 種族 獣人
HP 37/37
MP 5/ 5
(体力が多いようだ 長期戦になるかも)
相手との距離が縮まり、戦闘が始まる。
ゴートが先手を取り、胴に向け木槌を振る
ゴブリンは体をひねりかわし、ゴートに攻撃する
「・・・っぐ ライト見たな ファーラビットと違い知能も多少ある 攻撃も単純じゃない 考えて戦え!」
「よっしゃ 了解」
返事と同時くらいに今度はライトに向かって攻撃を仕掛けてくる。
なめし皮の盾を使いゴブリンの攻撃を受け流し、体勢の崩れたところを斬りかかる
ゴートが背後に回りこみ木槌で追撃する
「ギャン ギャゥゥゥ」
案外簡単にいけそうだと思ったとたん、攻撃を受けたゴブリンが闇雲に武器を振り回すと棍棒がライトの頭に直撃
今までに受けたことの無い衝撃に、目の前がチカチカし、足元がおぼつかなくなる。
「バカヤロウ 油断するな 俺がひきつける 早くポーション使え」
レザーバックからポーションを取り出し飲み干すと劇的に回復し、目の前もしっかり見えるようになった。
「回復したな? ライト決めるぞ!」
ゴートが左足を打ち抜くとゴブリンが膝をつく
短剣でのどを刺す
「グゥゥゥ」
ゴブリンは一言唸ると、倒れる。
止めを刺したライトは肩で息をしながら、それを見つめる。
するとゴートから頭に拳骨を落とされる。
「・・・っつ なにするんだよ」
「おまえあの瞬間油断していただろ」
「・・・おれは」
「お前が体で覚えるまで何度でも言うが、冒険では死なない事が第一だ 向こうも生きようと必死だ どんな相手にもどんな時でも油断するな」
「・・・わかったよ」
頭をさすりながら返事する。
「わかったな じゃあありがたい教えの代わりにポーション一個よこせ」
「えっ・・持ってないの」
「実は忘れちまって 頼むよ」
さっきまでライトに油断するなとあれほど説教していたのに、笑いながらそう言うゴートに少しあきれながら渡す。
「そういえばお前 初めてにしては盾うまく使えてたな」
「ゴー兄の見よう見まねだけど、うまくいってよかったよ」
そう言うとふとステータスが気になり『鑑定』する
マース=ライト ♂ 種族 人
HP 30/32
MP 13/13
能力
短剣 2
盾 1
商人 1
鍛冶 2
調合 2
ユニーク能力
会計学 ☆
鑑定
(おっ 盾の能力覚えてる しかも若干HPMPも増えてるし 短剣も数値が2になってる)
どうやら能力の発現には、何かきっかけが必要なようだ。
今回は盾で攻撃をかわす事だったと思われる。
能力の数値は経験値だろう、だが毎日調合しているにもかかわらず数値は伸びていないことを見ると能力の成長は相当骨が折れそうだ。
残りの帰り道、もうゴブリンに会うことは無かった。
店に戻ると、相変わらずだが攻撃を受けた痕のあるライトを見たアイがあわてて駆け寄ってくる。
ゴートは 俺のことも気にかけてくれよ と涙目で言っていたが無視しておいた。
さっき思いついた事を検証してみる。相手はアイだ。
夕食後アイを店に呼び出し、調合を頼む。
最初は わたしなんかが とか 失敗したら材料が勿体無い とか言っていたが頼み込むと渋々やってくれた。
最初の一回で見事に成功し、喜んでいるアイに『鑑定』をかける
アイ ♀ 種族 人
HP 32/32
MP 25/25
能力
調合 1
家事 4
料理 3
接客 3
(よし 調合を覚えているな 検証は成功と こうなると能力の発現の条件をどんどん考え実験して行こう 能力はあればあるほど有利になるだろうからな)
アイに『簡易調合』もできるか試してみようと提案してやらせると、当然調合の能力の発現したアイはスキルの発動もできた。
アイと調合の片づけをして部屋に戻り、床に就く。
3日後にはダンジョンも開放され、冒険者たちが増えることも予想できる。
ますます店は忙しくなりそうだ。
この日を境にライトの店の生産能力は二倍になった。
調合を取得したアイは調合を手伝ってくれるようになったのだ。もちろん手が空いている時間限定だが。
ダンジョンができた事で商品の需要が増え、生産力も二倍になり当面在庫の心配は無くなった。
これなら目標達成も夢ではなさそうだ。
戦闘描写は難しいですね




