第13話 4の月6日 ダンジョン
第13話 4の月6日 ダンジョン
「ありがとうございます 150Gになります」
お金を受け取り冒険者と思われる男にポーション等の商品を渡す。
MPポーションを店に並べてもう6日、町の人たちの反応は良く、試供品は直ぐに無くなった。
結構強気の価格設定にもかかわらず、ライトの予定以上の売上数になっていた。
「なぁゴー兄 最近お客さん増えてないか?」
「そうか? たまたまじゃないか?」
「私もそう思いますよ」
アイがライトの意見に同意したとたん、ゴートは手のひらを返したように、
「実は俺もそう思ってたんですよ アイさん」
とかいっている。
そんなやり取りをしてはいるが、実際のところ4の月に入ってから客の数は多い。
最初はMPポーションのおかげかと思っていたのだが、普通のポーションや解毒剤の薬品類も売り上げが1割増だ。
それに最近、明らかに冒険者と思われる人が何人か町を訪れているのだ。
「そういえば昨日お客さんが草原の魔獣たちもピリピリした感じで、なんか好戦的な気がするなんていってました」
アイが言っている事にライトも心当たりがあった。
MPポーションがなかなか好評であるため、草原に頻繁に採取に行っているのだ。
あいかわらず出てくる魔獣はファーラビットだけだが、最近まず個体数が明らかに増えている。
2~3匹で群れていることもあるし、町の人も何人か襲われ怪我したとポーションを求めに来た者もいた。
アイやライトの話を聞いて、ゴートは何か思い当たることがあるようだった。
・・・・・
この後も店には結構な数のお客が来ていた。MPポーションもいくつか売れた。
店に立ち接客をアイとしていると、ゴートに話があるという人が来て、一緒に裏に入っていった。
しばらくして、その人物は帰っていったが、ゴートはそのまま閉店まで店に出てくることはなかった。
夕食時、ゴートが話しかけてきた。
「アイさんやライトの言うとおりだった どうやらこの町の近くにダンジョンができているらしい」
(おいおいダンジョンって ますますゲームっぽくなってますよ 結さん)
「さっき店に来たのは俺の昔からの知り合いでなぁ、商人ギルドからの伝言を伝えに来た」
3日前にロコの町の近くを通った冒険者がたまたま見つけたらしく、商人ギルドに情報があがってきたようだ。
「本当は成人の時にでも教えるつもりだったんだが、これもいい機会だろう」
そう言って、ゴートはライトにこの世界について、そしてダンジョンについて説明してくれた。
この世界は『素』という考え方がある 『素』にはいろんな種類があるという
前世だとエネルギーに近い概念だと思われる
この『素』は至る所にあり、植物が育つのも『素』であり、光も『素』である
生殖活動が確認されていない魔獣やモンスターが発生するのも『素』が原因とされる
この『素』であるが、まれに一部分に滞留することがあるらしい 原因は不明
この滞留に何かしらの条件が重なるとき、ダンジョンが発生するという
昔いたアドにはユング大陸でも大きい方に分類されるダンジョンが3つもある
ダンジョンは『素』の濃度が濃いので、その内部には魔獣やモンスターが発生し、宝やレアな素材などが採掘できるそうだ
内部の『素』が一定量以下になるとダンジョン自体が消滅することもあるらしい
ゴートは真面目な顔で言う。
「いいかライト これは商人にとってはものすごいチャンスだ わかるか?」
ゴートの問いに答える。
ダンジョンが出来れば魔獣やモンスターそして宝や素材を求め冒険者が集まる
そういう冒険者は武具や道具を消費し、食堂で食事し、宿屋に泊まり、町にお金を落とす
町では今まで以上お金が回る事となり、町の人の消費活動も活発になる
するとますます物が売れるようになる
町の経済が良いスパイラルにはいるのだ
答えをゴートは感心しながら聞いていた。
「そうとおりだ ・・・わかってるな? この前の約束を達成するチャンスだぞ」
ライトが頷くとゴートは続けた。
「よし あしたの店はアイさんに任せ一緒にダンジョンまで行くぞ 恐らく中にはまだ入れないだろうが念のため今夜しっかり準備しとけ」
「・・・わかった」
夕食後部屋に戻り、何度も装備と道具を見直し、頭の中で明日の想像をして一人にやける、なんて事をやっていたらすっかり遅くなってしまった。
明日は寝不足で行くことになりそうだ。




